帰国体験記5|帝京高等学校 1年生 Iさん

相手の目を見て話す。現地で知ったアイコンタクトの大切さ

英語ができないから、ジェスチャーで「遊ぼう」と伝え、友達を増やした

小学2年生の1学期までは日本の公立小、その後はカリフォルニアの現地小学校に通ったIさん。慣れるまでは戸惑いも味わったという。

「異国での暮らしは楽しみでもあったのですが、英語が全然わからなくて。最初の頃は、出席を取るときに名前を呼ばれるだけで泣き出すほどでした(笑)」

初めこそ困惑したものの、そのうちに、自ら周りに対してコミュニケーションを取るように。

「休み時間になると、クラスの子にジェスチャーで『遊ぼう』と伝えて友だちを増やしていきました。どの生徒も先生も優しくてとても嬉しかったです。ただ少し後悔があって……。学校には様々な国の人がいたのですが、日本人も沢山いて。僕は日本の友だち同士で過ごすことが多かったんです。家では家族と日本語で話していたし、英語を使う機会をもっともてばよかったと思っています」

日本人は目を見ないで話す人が多いけど……目を見て話すように

学校以外の場でサッカーをやっていたことも、現地に早く馴染めた理由だという。4つものチームに所属し、毎日サッカーに夢中になった。

「日本人だけのチームや、アメリカ人が中心のクラブの選抜チームなど4つのチームに入っていました。練習は週6(笑)。平日の放課後だけでなく、週末もサッカーをしていました。練習には母が全部、車で送迎してくれました」

アメリカでの経験は、自分の考えに大きな影響を与えたという。

「多種多様な人たちがそれぞれの価値観を認めあって過ごしていて、その状態を理解する力をもてるようになりました。また、日本人は目を見ないで話す人が多いですが、アメリカではアイコンタクトでコミュニケーションを取るのが普通。言葉が完璧に通じなくても相手の目を見て話すことが大切だと感じました」

日本に帰ってきたのは小6の2学期頃。もともとはアメリカで10年ほど生活する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で帰国が急に早まり、約4年で日本に帰ることになった。現地中学の1年生を修了後、以前通っていた東京都の公立小に戻った。

「アメリカにいる間、年に1、2回は日本に一時帰国をしていました。そのたびに日本の友だちには会っていたので、日本の学校生活にはそれほどギャップは感じなかったです。あ、でも、アメリカではスナックタイムにお菓子を食べていましたが、日本の学校にお菓子を持って行ってはダメなので、その点は少し窮屈だと感じました(笑)。日本に帰ってきて特に嬉しいことは、子どもだけで放課後を過ごしたり、遊びに行ける点です」

高校生活は最高に楽しい。将来は「世界中の人の架け橋」になりたい

急な帰国と進学時期が重なり、中学は、地元の友人と一緒に公立中へ進学した。

「文化祭や運動会といった催しはアメリカにはなく、クラスで一致団結する楽しさを知りました。部活はそれまでずっとサッカーをやっていたので、今度はバスケ部へ。ただ、部員数が少なくて不完全燃焼で……。中2の後半からはバスケ部とサッカー部の掛け持ちをさせてもらいました」

そして、この春からは私立の帝京高等学校インターナショナルコースへ。受験を決めた理由は、英語の教育が充実していることと、スポーツ系の部活の強さに惹かれたためだ。

「高校受験の際には帰国して3年以上が経っていて帰国生枠に当てはまらなかったので、一般の推薦入試を受けて入りました。ただ、サッカー部やバスケ部はレベルが全国有数の強さで、さすがについていけない気がしたので、今はバレー部に入っています。学校には元気な人が多くて最高に楽しいです。勉強面は、数学の問題文が英語だったり、『英語だけを使おう』という特別な日も。海外経験がある人も多くいて、刺激が多いです」

今後は、高校在学中に留学プログラムを経験し、将来は「スポーツの分野で、世界中の人の架け橋になれるような仕事に就きたい」というIさん。そのためにも、まずは英語力に磨きをかけていきたいと意欲的だ。

親への感謝

何よりも海外で生活できるというめちゃくちゃ貴重な経験をさせてくれたことに感謝しています。 そして、現地で大好きなサッカーを思う存分やらせてもらえて嬉しかったです。母はクラブチームの 送り迎えを含め、すべてにおいて支えてくれて、帰国してからも受験の相談に乗ってもらいました。 父は仕事で忙しいなか、現地でサッカーの試合を何回も見に来てくれてありがたかったです。

今、海外にいる同世代へのMessage

現地で回りに日本人がいる環境でも、なるべく英語を使って英語力を身に付ける方が将来のためになると思います。

滞在歴

日本0歳~8歳(小2・7月)、公立小
アメリカ・カルフォルニア州8歳(小2・8月)~12歳(小6・9月)、現地小
日本12歳(小6・9月)~、公立小→公立中→私立高

取材:2025年6月現在 / 文:本誌編集部、田中亜希