帰国体験記9|金沢工業大学国際高等専門学校 1年生Sさん

英語でSTEMを専門的に学び、将来は工学を通じて社会貢献をしたい!

帰国を告げられ複雑な中で日本で通いたい学校を発見

石川県の雄大な白山麓(はくさんろく)のふもとに位置する金沢工業大学国際高等専門学校(以下、国際高専)1年生のSさんは、小3から約6年間をアメリカ・ジョージア州で過ごし、1年ほど前に帰国した。

Sさん「現地中学の1年生だった頃に『1年後に日本に帰るよ』と両親から言われたのですが、『このままアメリカでずっと暮らしたい』という思いと、『別の新たな生活にチャレンジしてみたい』という思いが交じりあって、複雑な気持ちでした」

気持ちが揺れ動きつつも、とにかく本帰国の準備を始めたSさん。帰国後の高校選びをする中で、母親が国際高専を発見。以降は自身でウェブサイトやSNSでさらに調べ進め、一時帰国して学校見学にも参加した結果、「入学したい」という気持ちが大きく膨らんでいったという。

Sさん「学校見学では、ほとんどすべての授業を英語で行うこと、コンピュータラボやメーカーズスタジオなどの施設の充実ぶり、寮環境の良さなどに心が躍りました。僕は日本に帰国してもアメリカで得た英語力を向上させたいと思っており、小さい頃からLEGOやプラモデル制作が好きでモノづくりに興味が湧いていたので、まさに希望通りの学校だったんです」

高校のマーチングバンドでワシントン D.C. のパレードに参加した旅にて

目指す学校が決まってからは、着実に受験準備を進めていった。

Sさん「帰国後は、いったん、公立中学の3年に秋から編入したのですが、約6年ぶりの日本の学校だったので宿題や総合テストに戸惑ってしまって。そうした中での受験準備だったので、とても大変でした。受験方法は一般入試(数学・英語・面接)と迷った結果、グローバル入試という30分の英語面接を受けることにしました。様々な質問を想定して何度も練習したり、オンラインの英会話教室に入ったりもしながら準備しました」

工学の分野の学び進め「好き」を見つけたい

そうした努力が実り、無事に合格したSさん。入学して約半年経った現在の学校生活は、「思い描いていた通り」と笑顔で語る。

Sさん「英語でSTEM科目(科学・技術・工学・数学)を専門的に学んでいるのですが、アメリカに滞在していたおかげで英語に苦労することなく授業についていくことができています。また現地校で学んでいた内容と重なる部分もあり、大きなアドバンテージを持っているなと感じています。好きな授業は2つあります。1つ目は『エンジニアリングデザイン』。身の回りで困った事例などを学生たちで見つけ出し、プロトタイプ(試作品)を作成しながら解決を試みるという授業です。2つ目は『物理基礎』という授業で、日常の疑問を様々な計算の法則や公式、数学を応用しながら解きほぐしていくのが楽しいです」

将来は「エンジニアになりたい」そうで、Sさんのモノづくりにかける思いは授業外の部活動、ロボコン活動でも発揮されている。ロボコン活動とは、日本全国の高等専門学校が競い合うロボットコンテスト(全国高等専門学校ロボットコンテスト=高専ロボコン)や、校内で開催されるロボット関連のイベントに向けて、ロボットを製作する活動のことだ。

Sさん「今年の高専ロボコンでは、主にアルミパーツの加工や設計、ロボットと台車を連結させる機構の3D設計を担当しました。人生初めての本格的な工作機械を使いながらのパーツ加工では、初めは穴のずれなどミスも多く、うまくできるまで何度も修正したりやり直したりしました。また、大会まであと2週間という時期に部品が破損してしまうトラブルに見舞われたりもしましたが、仲間と協力しあうなかで、多くのことを学べた気がしています。今後は、来年の高専ロボコンはもちろん、半年後に校内でロボコンが開かれる予定なので、それにも挑戦する予定です」

エンジニアになる夢に向けて、校内でも高成績を収めているSさん。しっかりと着実に歩みを進めている。

Sさん「国際高専の授業や課外活動に力を入れ、まずは工学の考え方や知識、技術、活用方法などについて基礎からきっちりと学びたいと思っています。卒業後は日本の大学に編入する予定で、そこで工学の専門分野についてより深く学んでいきたいです。そして、自分の『好き』を見つけ出したうえで、将来は、技術を通じて人々の暮らしをラクにし、海外進出を進めている企業で活躍したいです。工学の分野を通じて社会貢献をする。これが、今の僕が描いている夢です」

日本では見られない景色に衝撃を受けた、ザイオン国立公園

Thank you to Parents

アメリカに行った頃、ABCしか知らない状態だった僕に、英語を基礎から教えてくれたり、一緒に英語の本を読んで理解度を高めてくれたり、色々とサポートしてくれました。そのおかげで、今はスムーズに英語を使うことができています。また、中1の頃から「行きたい」と思っていた国際高専に入学させてくれたことにも心から感謝しています。感謝の気持ちを忘れずに、これからも授業や課外活動を精一杯頑張りたいです。

滞在歴

日本0歳~8歳(小3・7月)
アメリカ・ジョージア州8歳(G3・7月)~14歳(G9・10月)、現地小→現地中→現地高
日本14歳(中3:10月)~、:公立中→私立高専

取材:2025年10月現在 取材・文/本誌編集部、田中亜希