神戸大学学生が作る、次世代教育ボードゲーム

神戸大学起業部の学生チームが開発した起業体験ボードゲーム『みらいクエスト』をご存じですか? 楽しみながら起業プロセスを体験できるボードゲームで、新時代の次世代教育ツールとして期待されています。今春、いよいよ製品化に向けてクラウドファンディングを開始したといいます。今回は、このボードゲームについて、生まれたきっかけから今後の展望までご紹介します。

4年連続日本一! 神戸大学起業部

創部以来、数々のビジネスプランコンテストで4年連続日本一の実績を持つ「神戸大学起業部」。その中に所属する学生チーム「Standy(スタンディー)」は、小学生から大人まで楽しみながら起業プロセスを体験できるボードゲーム『みらいクエスト』の製品化を目指し、2026年2月よりクラウドファンディングを開始しました。

さらに、このチーム「Standy」は、今年3月12〜13日に東京・神田明神ホールで開催されたビジネスプランコンテスト「JAPAN Business Design & Action Award 2025-2026」(主催:一般社団法人ビジネスアクションクラブ)にて、『JAPAN ビジネスアイデアプラン部門 準グランプリ』『ビジネスアスリート賞』を受賞するなど、その手腕が確かに評価されています。
そんな彼らが作ったボードゲームとは、どんなものなのでしょうか?

神戸大学起業部Standy のメンバー(左から日野口、大西、石川、伊藤)。

確かな教育効果とエンターテインメント性を両立

本プロジェクトは、神戸大学産官学連携本部教授であり、アントレプレナーシップ教育の第一人者である熊野正樹氏の監修・指導のもと開発されました。

小学生を対象とした過去4回開催のイベントは、いずれも満員御礼。そして国立大附属小学校での授業導入でも高い評価を得てきました。 『みらいクエスト』は、確かな教育効果とエンターテインメント性を両立させた、次世代の教育ツールです。

僕たちだから、気づけたこと

実は、Standyのメンバーは全員が塾講師なのです。
このプロジェクト以外の場面でも、日々子どもたちのリアルな現状に向き合ってきました。しかし、現場で目にするのは「将来何をしたいかわからない」「別に将来やりたいこともない」と、どこか冷めた目をした子どもたちの姿でした。
「どうすれば、子どもたちの目が輝くんだろう?」
「どうすれば、夢中になれるようになるんだろう?」
その手段を模索し続けた結果、答えは自分たちが日々取り組んでいる「起業」の活動の中にあることに気づいたそうです。

自分の夢を語り、失敗を恐れない熱意

彼らが起業活動を通して出会った人たちは、みんな目がキラキラしていて、自分の夢を語り、正解のない問いに悩みながらも、失敗を恐れずに仲間たちと挑戦を楽しんでいる人ばかりだったといいます。
この「起業家の熱狂」は、決して一部の特別な人たちだけではなく、これからの未来を生きるすべての子どもたちに必要な「生きる力」そのものなんじゃないか。
そんな想いから、現役の大学生ならではの視点、そして、日々起業を学び、実践する者としての知見を活かして、この「ボードゲーム」は生まれました。

ボードゲーム『みらいクエスト』の3つの特徴

※画像はイメージです。

このゲームはサイコロを振ってコマを進め、スタートからゴールを目指す、すごろく形式のゲームです。 ただし、ただ進むだけではなく、止まったマスによって、「クエスト(課題)」や「バトル」など様々なイベントが発生する、運と戦略の両方が試されるゲームです。
プレイヤーは社長となり、学校内で発生するクエストを解決しながら自分の会社を成長させていきます。
ゲームを通じて、①「正解」のないアイデア勝負、②リアルな経営シミュレーション、③「競争」よりも「共助」が学べる、といった特徴もあります。

専門性と教育的価値の両立を求めて

今回のボードゲームの製作過程について、Standy代表の大西拓斗さんは、次にように話してくれました。
「ゲームとしての面白さを一切妥協したくないという思いから、ゲーム設計にはものすごくこだわりました。ボードゲームカフェの店長様や、過去にボドゲ開発・販売を経験されたプロの方々のところに何度も足を運び、専門的な視点から多くのアドバイスをいただきました。
しかし、プロの意見をすべて取り入れようとすると、内容が高度になりすぎたり、盛りだくさんになってしまい、教育的要素が逆に薄れ、子どもたちには難解なものになってしまうという壁にぶつかりました。
そこで私たちは『現場での検証』を最も重視しました。実際に子どもたちにプレイしてもらい、その反応をダイレクトに反映させることで、専門家が認める『面白さ』と、子どもたちが夢中になれる『分かりやすさ』、そして起業を学ぶという『教育的価値』を高い次元で両立させることに徹底してこだわりました。」

想像を超える反響と広がる支援の輪

そうして苦労を乗り越えてできあがった本製品は、学校教育と一般イベントの両軸で実証実験を行ってきた結果、子どもたち、そして保護者から、開催後のアンケートなどで高い評価を得ています。こうした反響について、大西さんは次のように話してくれました。

「一番の喜びは、体験してくれた子どもたちや保護者の方々から圧倒的な支持をいただけたことです。小学校での授業後のアンケートでは5点満点中4.98点、イベント全体でも平均4.85点超えという非常に高い満足度をいただきました。
またそういった定量的な指標以上に、『早く商品化してほしい!』『家で兄弟と一緒に遊びたい!』といった熱い言葉を数多くいただいたことが、今回のクラウドファンディングに挑戦する大きな原動力となりました。
加えてクラウドファンディング開始後わずか10日間で80万円の支援を達成し、80名を超える方々から応援をいただけたことも大きな喜びです。支援者の方々から寄せられる温かいメッセージの一つひとつが、私たちの活動の何よりの励みになっています。」

「自ら考え、行動する力」を育てたい

今回のクラウドファンディングで集まった資金は、ボードゲームの製作費および量産費用、さらにボードゲームの学習効果を可視化するための連動アプリの開発費(初期費用)に充てる予定だといいます。
彼らが目指すのは、このゲームを通じて、「起業家を増やす」ことだけでなく、どんな職業に就いても必要となる「自ら考え、行動する力(=起業家精神)」を持つ子どもたちを育てること。今後のさらなる展開が期待されます。

最後に、世界で学ぶ『グローバル子女教育便利帳』の読者に、大西さんは以下のメッセージを届けてくれました。
「僕たちがこの活動を通じて最も伝えたいのは、『アントレプレナーシップ(起業家精神)は、将来起業する人だけでなく、すべての人にとって必要なマインドである』ということです。
不確実な世の中において、身近な課題を見つけ、チームで協力して、自分たちのアイデアで解決しようと一歩を踏み出す姿勢は、どのような道に進んでも皆さんの力強い武器になります。特に普段から他の人より多く『海外』という多様な価値観の中で過ごされている皆さんは、すでにその視点をたくさん持たれているはずです。
このボードゲームを通じて、失敗を恐れずに挑戦する楽しさや、自分の力で未知のアイデアを生み出すワクワク感を体験してみてください!きっとみなさんの将来にとって大きな武器となる、唯一無二の体験ができると思います!」

(取材・文/小野眞由子)

◼︎チーム概要
・チーム名:Standy(神戸大学起業部 所属)
・代表:大西 拓斗(法学部法律学科3年)
・メンバー:石川 咲良(経営学部経営学科2年)、伊藤 龍成(国際人間科学部環境共生学科1年)、日野口 菜央(文学部人文学科1年)
・活動拠点:神戸大学産官学連携本部

◼︎クラウドファンディング概要
・プロジェクト名:現役神戸大生が開発!起業体験ボードゲーム『みらいクエスト』製品化プロジェクト
・期間:2026年2月17日(火)14:00 ~ 3月31日(火)23:59
・目標金額(1st ゴール):100万円
・プラットフォーム:CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
・クラウドファンディング ページURL: https://camp-fire.jp/projects/897429