海外で長く暮らした子どもや英語圏の現地校やインターナショナルスクールに長く在籍した子どもにとって、日本帰国後の重要な学校候補のひとつとなるインターナショナルスクール。
「学費は高いの?」「勉強は大変?」「卒業後の進路はどうなるの?」など気になる質問を、インターナショナルスクールに精通している『インターナショナルスクールタイムズ』編集長・村田学氏に伺いました。
Q 勉強は難しいの? ついていけなかったら?
インターナショナルスクールの学びは、自分で考える力を育てます。例えば「なぜ、この花は赤いのか?」という課題があるとしたら、花の赤の色素やDNA、育った土壌、気候などさまざまな切り口で考え、調べ、仮説を立て、検証していきます。このプロセスで、科目を越えた学習が行われます。いわゆる知識を詰め込むだけではないですね。
そのため、勉強が難しい生徒には、補習や、学校によっては上級生がチューターとして下級生の勉強をみたりするところもあります。
それでも授業についていけない場合は、その子のことを考え、進級 を認めない場合もあります。生徒一人ひとり違うことを前提としているため、学力も違うと考えているからです。ですので「留年」はあっても「退学」は、素行がひどい場合を除いてほとんどありません。
また、インターナショナルスクール間の転校も一般的です。そのため、帰国生にとってインターナショナルスクールは、英語で学び続けられる貴重な存在といえます。
Q 学費はどれくらいかかる? ものすごく高額なの?
学校によっても異なりますが、おおよそ入学金が30 万円、年間施設費が50 万円、年間授業料が200万円前後が目安です。
インターナショナルスクールが日本に増加した1900年代以降は、年間授業料が120万円前後の新興インターナショナルスクールも増えました。しかし日本の学校ならば、私立でも年間授業料が100万円を超えるところはほとんどないので、やはり高額といえます(一部、奨学金あり)。
インターナショナルスクールの授業料が高い理由ですが、日本の学校(一条校)には自治体などから公的補助金が出ていますが、一条校ではないインターナショナルスクールはほとんど受け取っていないことが一番の理由です。税金の優遇なども低く、運営費をほぼすべて自分たちでまかなっているのです。
また、世界各国にインターナショナルスクールが多く設立されて、国際バカロレアなどの教員は世界的に高騰し、ベテラン教員の争奪戦が起きています。優秀な外国人教師を確保するための人件費なども考えると、今後もインターナショナルスクールの授業料が下がるとは考えにくい状況です。
Q 日本人学校育ちや短い海外滞在期間でも適応可能?
学年相応の英語力が必要ですので、海外滞在歴が長くインターナショナルスクールや現地校(英語圏)で学んだお子さんが向いています。一方、日本語で学ぶ日本人学校育ちの場合、インターナショナルスクールで英語で学ぶことはなかなか難しいと思います。
英語圏やインターナショナルスクールで3年以上学んできたお子さんは、学年にもよりますが、帰国時にインターナショナルスクールの選択も視野に入れたいですね。特に幼児から小学校低学年なら、年齢的にも適応しやすいと思います。
小学校中高学年の場合、学校によっては英語力が足りない場合、ESL(English as a Second Language=非英語圏の生徒のための英語指導)を行ってくれる場合もあります。ただし、ESLを履修する場合、別途費用がかかる学校もあります。
英語と日本語のバイリンガルで育ったお子さん̶̶特に幼児、小学校低学年のお子さんは、帰国後にすぐに英語を忘れる傾向にあります。そのためバイリンガルに育てたい場合は、幼児・低学年の帰国生にとってインターナショナルスクールの選択は有効でしょう。
お話を伺った方
『インターナショナルスクールタイムズ』編集長
村田学(むらた・まなぶ)氏
インターナショナルスクール、国際バカロレア教育、英語教育など、子どもたちがグローバルに活躍するための教育情報を配信しているウェブサイト『インターナショナルスクールタイムズ』の編集長。日本国内のインターナショナルスクール各校を調査や取材にもとづき、中立公正に紹介している。
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