海外からのお引越し
日本で快適な生活を始めるためにも、事前に作業の流れやポイントを把握しておくことは必須。基本的な手順をおさえておきましょう。
引越し荷物の算出方法
帰国時に引越し費用を負担する会社の多くでは、制限を設けていることが一般的。送ることのできる容積、重量などは会社によりまちまちなので、事前に確認しておきたい。荷物の算出方法は、船便と航空便で異なる。会社で出される費用内で引越しをするのであれば、船便は荷物の容積で、航空便は重量で算出されることをふまえ、実際の容積や重量を会社規定範囲内でおさめる工夫をしたい。
海外からの帰国スケジュール
【STEP1】業者へ連絡する
帰国が決まったら、できるだけ早い時期に引越し業者へ連絡を入れ、下見日(自宅まで来てもらう日)を決定したい。日本国内での引越しとは比べものにならないくらいさまざまな作業や事務手続きが発生するのが海外からの引越しだ。一般的には、日本での配達予定日の約2カ月前から準備をスタートさせれば、ある程度時間的に余裕のある引越しが可能とされている。
スケジューリングにあたっては、次の点に注意しながら進めよう。
スケジューリングの注意点
❶日本での荷物の通関は本人が帰国してからになる。
❷通関の時点で書類の不備などがあった場合は日数がさらにかかる。
❸輸送日数は輸送手段(船便・航空便)によって変わる。
❹実際の輸送日数スケジュールは、船や飛行機での輸送日数だけではなく、海外の自宅から日本の自宅(配送先)までの輸送日数を考慮して逆算して考える (実際の輸送日数スケジュール=海外の自宅→倉庫への輸送期間→日本への輸送期間→空港(港)からの輸送期間→日本の自宅)。
引越し業者の選定にあたっては、当然ながら信頼のおける業者を選ぶことが大前提。勤めている会社と契約している業者がないなどの場合は自ら選定することになるが、すでに経験のある知人・友人などの情報をぜひ参考にしたいところだ。
また、海外からの引越しで発生する煩雑な作業を考えると、現地国・地域の業者より、できれば現地に法人がある日本の業者に依頼したほうがなにかと安心できるだろう。
各国・各都市から日本までの船便&航空便のスケジュール(目安)
国・都市によっては、通関の際に検査手続きを必要とする品目(食品、新品の電化製品など)が設けられており、そうした物を送る場合は当然日程が遅くなる。また天候やコロナ禍などの諸事情によっても日程と大きくずれるため、あくまで目安として把握しておきたい。
【STEP2】荷物を選別する
業者による下見日までに、何をどの方法(手荷物・航空便・船便)で持ち帰り、処分するかといった荷物の選別をして部屋ごとにまとめておくと、より正確な見積もりが期待できる。
お土産など後日購入して荷物が増える予定があれば、どんなものでどれくらいの量になるかを業者に伝えることも忘れずに。
携帯品として持ち帰るもの
パスポート、航空券、宝石、貴金属、高価な装身具(アクセサリーや腕時計など)、貨幣、紙幣、株券、債券、証券、預貯金通帳、ノート型パソコン、携帯できる精密機器、代替が不可能な大切なものなど。
航空便で送るもの
帰国直前まで使用するもの、帰国後早くに必要なもの(洋服や靴など)が当てはまる。また、チェックイン時に預けられる「受託航空手荷物」は、制限範囲内なら無料。
船便で送るもの
家具など重量が重く、容量が大きいものや、帰国後すぐには必要ないものを送る。2回に分ける場合、1便で全体の約80%を送り、2便には帰国前の約1カ月間に必要なものを残し、帰国の2、3日数前に出す。
譲渡・売却・廃棄するもの
大きすぎる家具など日本の家屋には不向きなもの、日本と仕様の違う電化製品などは、できるだけ早い時期に後任や友人・知人に譲るか、新聞やSNSなどで告知して売却したい。自宅の庭でガレージセールを開くのもわたしの手だ。引越し業者のホームページ内でそうした案内をしている場合もある。廃棄は最終手段として考えたいところ。
【STEP3】下見・見積り依頼
下見の際は、引越し荷物を見てもらうと同時に、今後のスケジュールや疑問点(引越し荷物に貨物保険をかける方法など)を打ち合わせ・相談しておこう。
また、見積もりをした後に、会社の費用負担で送ることができる規定(容積、重量、回数など)を超えていた場合は勤め先と相談する。
2社以上から見積もりを取る場合は、下見後に見積もりが届いたら、料金の安さだけでなく、サービス面なども考慮して引越し業者を最終的に決定したい。
荷造りの際に注意を要する品目
これらの品物は、荷造りの際に注意が必要。
【衣類・寝具】 よく干して、湿気をしっかり取っておく
【防虫剤】 シミになってしまうことがあるので、異なる種類のものは同梱しないように注意する(荷物に入れられない地域もある)
【靴】 汚れをしっかり落として、湿気を取っておく
【食器類】 柔らかい布、エアークッションなどでひとつずつ包む。または、引越し業者に依頼すれば安心
【液体が入ったもの】 割れやすいビンのままにするのはできるだけ避け、プラスチックなどの割れにくい容器に入れ直す
【乾電池つきの製品】 爆発物と誤解される恐れがあるので、必ず電池を取り外しておく
【冷蔵庫】 中身をすべて処分しておき、引き取り日の前日までに電源を切って霜を取っておく
【パソコン・カメラ類】 万が一のことを考えて、データはすべてバックアップをしておく
【米、酒】 通関時の検査対象となるため、それぞれひとまとめにしておく
【貴金属・アクセサリー】 必ず手荷物にする
【鍵のかかるもの】 鍵をかけない(税関検査される場合がある為)
Q プロならではの特別な梱包方法ってあるの?
A アメリカなどからお引越しをされる方などは「レースドール」を持ちかえる方が結構いらっしゃいます。レースドールは少し手が触れただけでも非常に傷つきやすいので、人形の形状にもよりますが特別な梱包をさせていただくことが多いですね。具体的には、レースドールを箱の中で宙づりにするんです。箱の四隅に紐をつけて、レースドールの腕など引っかけられるところに引っかけていきます。また、卵を使った美術作品「エッグアート」などもフワフワのもので慎重に包んでいきます。(引越し業者)
私の引っ越し体験記 Move from アメリカ
引っ越し前の“ガレージセール”は絶対におススメです
苦労したことは、荷物の仕分け。別送品は船便2回、航空便1回に分けましたが、何をどの便にするのか考えるのは頭が混乱して大変でした。結局、船便の着くタイミングでその季節に必要な衣類を十分に揃えられなくて…。一番の良い思い出は、家でやったガレージセールです。出品したのは、日本では使えそうにない大きな家具や、庭用のおもちゃ、子どもが成長して着られなくなった洋服、車など。あとは和風食器や日本食材(お蕎麦など)も出したのですが、それらが飛ぶように売れたのには驚きました。近所や学校のお友だちがお別れの挨拶がわりにたくさん来てくれて、「やって良かった」と思いました。子どもたちも各種ソーダなどを売るお店を出したりして楽しんでいました。(3girls さん)
【STEP4】荷造りをする
荷造りや梱包は引越し業者にすべて任せることも可能だが、自分でする場合は以下の手順を参考に行う。なお、食器やガラス器具、そのほか壊れやすいものは業者に梱包をお願いしたほうが安心だ。
荷造りの手順
❶段ボールを用意する
船便は、段ボールをまとめたものを強化ダンボール(トライウォールなど)で囲って梱包し、輸送する。サイズの違うダンボールを使うと、外枠内に無駄な空間ができることで料金直結の全体容積が増える上に、強度も損なわれてしまうため、なるべく同じサイズを業者に注文して揃えたい。その際、壊れ物の梱包に必要なエアークッションももらっておくと便利だろう。
❷段ボール箱に詰める
ダンボールの底にクッションになるものを詰め、重いものは小さな段ボールに、軽いものは大きなダンボールに、隙間をつくらないようにしながら詰める(コツ/お皿など平たいものは縦に詰めると壊れにくく開梱時に分かりやすい)。壊れやすいものは必ずひとつずつ柔らかい紙やエアーズキャップなどで包んでから収めよう。種類・目的別など関連するものをなるべくまとめて詰めておくと、開梱するときに便利だろう。
❸箱に通し番号を記入
ダンボールに氏名、目的地、「1番」からの通し番号を書く。箱に荷物の種別も書いておくと、開梱する時にとても便利。壊れ物の場合は“取り扱い注意”さらには“FRAGILE”の文言をダンボールに記入して、封をせずに置いておく(引越し当日に業者に確認してもらうため)。
❹梱包明細書を記入
ダンボールに通し番号を記入する際、一緒に梱包明細書も記入しよう。通関と貨物輸送保険を手配する正式書類なため、正確な記入が求められる。通関の際、記入したもの以外のものや免税範囲を超える荷物が入っていた場合は、課税や申告漏れの罰則の対象となる。
【STEP5】引き取り日当日
荷物の中身や日本で必要になる書類の書き方などを最終確認する。引越し業者に荷造りを依頼した場合は、一緒に梱包を確認しながら自分で梱包明細書を記入する。荷物の通関や保険請求の際に必要な書類となるので丁寧に作成しよう。貨物保険は指定の用紙に記入する(運送約款によって損害の補償が限定されるので必ず入る)。また当日までに購入した新品のレシートコピーは業者へ渡しておく(引き取り日以降は各自で保管する)。
【STEP6】帰国日当日の手順
日本へ向かう機内で「携帯品・別送品申告書」が配られるので2枚受け取り、両方に同じ内容を記入しておく。日本の空港に到着したら、入国審査を受ける。この際、自動ゲートではなく有人窓口を利用する。後に引越し荷物が輸入通関審査を受ける際に、パスポートに押印された入国管理局の帰国印のコピーを提出する必要があるが、自動ゲートを使うと帰国印が押印されないからだ。入国審査後に荷物を受け取り、税関の手荷物の検査に進み、「携帯品・別送品申告書」の2通を税関員に提出し、戻ってきた1通を受け取る。この1通と必要書類(下記)を引越し業者に速やかに手渡す。多くの引越し we 業者は空港内の到着ロビーに「別送品申は業者へ渡しておく(引き取り日以降は各自で保管する)。
告書受付カウンター」を設けているのですぐに預けておこう。空港内にカウンターを設けていない引越し業者にお願いしている場合は、後日郵送での対応になる。
輸入通関手続きに必要なもの(※)
❶パスポート(コピー)
滞在地でパスポートを更新している場合は、古いパスポートも必要。
❷携帯品・別送品申告書
❸梱包明細書
❹購入品のレシート(コピー)
新品を持ち帰った場合。
❺スーツケースの鍵
鍵をかけた場合は、内容品チェックのために必要になる。
❻通関委任状・配達依頼書
❼そのほかの特別な書類
規制対象のものを輸入する場合、検査証明書や輸出許可証など。
【STEP7】荷物を受け取る
輸入通関後、別送品で送った荷物が到着する。荷物が届く前に、大まかな家具の配置を決めておくと搬入時の手間が省けるだろう。ハウスクリーニングも必要に応じて行うとよい。また、当面必要としない荷物がある場合は、専門業者(引越し業者が紹介してくれる場合も)のトランクルームを利用するのも一案だ。
荷物を開梱する際は、破損や損傷などがないかをしっかり確認しておこう。開梱後、いらなくなった段ボールは、引越し業者が後日回収にきてくれることが多い。
一般の関税率が適用されるもの(例)
●米などの穀物とその調製品
●ミルク、クリームなどとその調整品
●ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
●たばこ、精製塩
●旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
●ニット製衣類
●履物
●身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)
簡易税率が適用されるもの(総額20万円以下の場合)
携帯品・別送品の免税の範囲(成人一人当たり)
※…申告を行う税関によって必要書類が異なる場合がある。また、航空便と船便は同時の通関はできない。ほか、「携帯品・別送品申告書」を税関に提出できなかった場合は特別な手続きが必 要となり、さらにお土産やたばこ、新品の免税適用がなくなる。














