なぜ海の生きものの“カタチ”? 科学館の担当者に話を聞いた
科学の面白さに触れてもらいたい
頭が横に広がっていたり、眼が飛び出していたり、体がシュッと細長かったり、海のなかには不思議なカタチの生きものがたくさんすんでいます。そんな“カタチ”をテーマにした2026夏の企画展「海の生きもののカタチ」が東京都の港区立みなと科学館で開催中です。なぜ“カタチ”に注目するのか、“カタチ”から何がわかるのか、担当者に伺いました。
今回の企画展では、港区から見える東京湾を入口に、標本、模型、映像、体験展示を通して、浅い海や広い海、深い海などさまざまな環境でくらす海の生きものの多様なカタチを紹介。会場には、全長5メートルを超える世界最大のエイの仲間・オニイトマキエイの実寸模型や、透明な頭部の中に目をもつ深海魚デメニギスの拡大模型、本来の色彩や質感を残したメンダコの色彩保存標本など、ふだん目にする機会の少ない海の生きものの展示が並びます。
港区立みなと科学館 教育普及チーム 守岡聖真さんは、「昨年は『気象』をテーマに、私たちの身近で起こる自然現象を科学的な視点から紹介しました。今年は少し視点を変え、生きものを観察することを入口に、科学の面白さに触れてもらいたいと考え、『海の生きもののカタチ』をテーマに選びました」と話します。
“カタチ”という視点で紹介したい生きものを選択
どのような生きものを展示するのかについても、こだわったと言います。 「海には、私たちが思い浮かべる魚の姿とは大きく異なる生きものが数多くいます。その形は、動き方や食べ方、身の守り方、生息する環境など、さまざまな暮らしと関わっています。科学館には、研究によってわかってきたことや、まだ広く知られていない生きものを一般の方へ伝える役割があると考えています。そのため今回は、知名度にかかわらず、“カタチ”という視点で紹介したい生きものを取り上げてみました。実際に標本や模型を見ながら、まずは『こんな生きものがいるのか』と姿の面白さを楽しみ、そこから『なぜこの形なのだろう』と考えてもらえる展示にしたいと思っています」(守岡さん)
その形に疑問を持ってもらえると嬉しい
水族館で泳ぐ魚を見るのも楽しいけれど、変わった形の海の生きもの標本や模型を見るのもまた面白そうです。
「水族館では、生きものが実際に泳ぐ姿や、生きているときの色や模様、同じ環境にくらす生きもの同士の関わりを見られることが大きな魅力です。今回の企画展では、それとは異なる見方として、標本や模型、映像などを用い、生息場所や分類の異なる生きものを“カタチ”という一つの視点で横断的に見比べられるようにしました。水族館の見せ方を小さく再現するのではなく、科学館ならではの『知る・比べる・考える』展示を目指しています」(守岡さん)
さまざまな“カタチ”を目にする子どもたちに何を学んでほしいのか、企画担当者としての思いを守岡さんはこう話します。
「子どもたちにはまず『こんな生きものがいるなんて知らなかった』『少し怖いけれど面白い』『かわいい』など、自由に感じてほしいと思っています。そして、同じ魚の仲間でも体の形が大きく違うことに気づき、『この形はどのように役に立つのだろう』と少しでも疑問をもってもらえたらうれしいです。展示を見た後に、また水族館や図鑑で生きものを見たくなったり、海洋生物に限らず、生きものを見るときに体の形やその働きにも目を向けるようになったりすることを期待しています」(守岡さん)
(取材・文/中山恵子)
【開催概要】
港区立みなと科学館 2026 夏の企画展「海の生きもののカタチ」
会期/2026年7月15日(水)~2026年9月13日(日) ※8月24日 (月) は休館日
会場/港区立みなと科学館 多目的ロビー










