<第6回>白山麓キャンパス・レポート
Welcome to Hakusanroku!: 地域伝統の檜細工を体験
国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa 以下、国際高専)は、英語で学ぶ工学基礎を重視したSTEM教育を行う新しい高等教育機関です。国際高専のウェブサイトでは、キャンパスの今を伝える「白山麓ジャーナル」を英語と日本語で随時配信しています。
この「白山麓ジャーナル」から、トピックスをピックアップして紹介する連載企画の第6回目は、1,2年生が体験した檜(ひのき)細工のワークショップをレポートします。
400年前に地域に伝わった檜細工の技術。時を超えて、石川県の伝統工芸に
9月中旬、1、2年生の特別活動として、白山麓キャンパスに特別講師を招き、この地域に古くから伝わる檜細工のワークショップを開催しました。
檜細工は約400年前に、旅の僧が旧尾口村深瀬(現在の白山市深瀬)を訪れた際に、農民たちに檜笠の作り方を教えたことが始まりで、江戸中期には村の重要な産物になっていたといわれます。
軽くて通気性が良く、丈夫な檜細工は、山仕事や農作業の時にかぶる笠をつくる技術として発展しました。そして、長い年月をかけて地域の人々に受け継がれ、1988年には石川県の伝統工芸に指定されています。
檜細工は、網代天井という天井の仕上げの一つとして、伝統的な日本建築や茶室、和室などに使用されているのを目にすることもあります。また、最近ではデザイン性の高いかごや花器など、さまざまな工芸品がつくられています。
檜細工の大きな特徴は、ヒンナと呼ばれる檜を薄く細くした板材を使うことにあります。ヒンナを編むのは手作業。これには熟練の技術が必要なのですが、檜細工の従事者はほとんどが高齢であるため、後継者が今後の課題となっています。
手を使った細かい作業に悪戦苦闘。織ってはほどき…を繰り返しながら、完成させる
檜細工の講師としてキャンパスにお招きしたのは、深瀬出身で石川県伝統工芸士でもある香月久代さんと、香月さんに師事するスーザン・メイさんのお二人です。スーザンさんは、白山手取川ジオパーク推進協議会の職員として勤務する傍ら、檜細工の作品作りや情報発信にも取り組んでいます。
ワークショップには、1、2年生合わせて19名が参加しました。学生たちはまず、スーザンさんによる檜細工についての英語での講義を受講。そして、それぞれが「檜細工コースターの作り方」という手順書を手に、檜細工にチャレンジしました。
学生たちに渡されたヒンナは、一人当たり10本です。檜を薄く削ったヒンナは乾いた状態で曲げようとすると、折れてしまいます。そこで、最初にヒンナにスプレーで水をかけて、折り曲げやすいよう柔らかくしてから織る作業を始めました。
パソコンを使いこなしたデジタルのものづくりには慣れている学生たちなのですが、檜細工は手を使った細かい作業です。いつもと勝手が違うため、苦戦する学生が続出していたようです。
黙々と作業をする学生たち。やり方を仲間と相談したり、織ってはほどき、織ってはほどきを繰り返す光景もみられました。なかには、参加した教員に作り方を教えている学生もいました。
香月さんとスーザンさんは、そんな学生たちの作業を見守りながら、一人ひとりにアドバイスしたり、サポートをしたりと、とても丁寧な指導をしてくれました。
1時間30分ほどで、参加した学生全員がコースターを完成させました。
サイエンスや数学は世界共通。だからこそ英語で学ぶ
国際高専は、国内外から幅広く学生が集まるグローバルな環境で、刺激を受け合いながら、共に成長できる教育環境を整えています。プロトタイプを作りながら解決策を考えていく「エンジニアリングデザイン」の授業では、国連・SDGsの17の目標を念頭におきながら、地域の課題にチームで取り組み、サイエンスの知識とテクノロジーを応用しながらイノベーションを創出します。
教育の柱のひとつとして、英語で行う「STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育」を重視しています。それは、科学や数学が世界共通の真理であるため、これらの分野を英語で学ぶことは、のちに留学して専門分野を探究したり、卒業後グローバルな企業で活躍するのに役立つからです。
1、2年生は、自然豊かな白山麓キャンパスにある全寮制スクールで、英語で数学、理科、情報を学ぶほか、徹底した英語スキルの修得を目指します。3年生は、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクに留学。そして、4、5年生は併設校である金沢工業大学と連携し、分野横断型の研究やプロジェクトに取り組みます。
さらに金沢工業大学 大学院 情報工学専攻まで進学すると、最短2年間で全米ベスト大学の一つ、ロチェスター工科大と金沢工業大の2大学の修士号取得の道もあります。
「国際高等専門学校(5年間)」+「金沢工業大学の学部及び大学院(4年間)」の9年一貫教育により、グローバル・イノベーターを育成します。
【学校へのお問合せ】
金沢キャンパス
〒921-8601 石川県金沢市久安2-270
TEL 076-248-1080 FAX 076-248-5548
白山麓キャンパス
〒920-2331 石川県白山市瀬戸辰3-1
国際高専入試センター
Mail:admissions@ict-kanazawa.ac.jp
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