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全国学力テスト・中学校英語「話すこと」調査の検証報告

2019年から、学力テストの教科調査に「中学校英語」が追加

「2019年度全国学力・学習状況調査」における「中学校英語『話すこと』調査」の検証報告書を文部科学省が公表した。

今回の調査にあたっては、2019年4月18日に教科調査として初めて中学校英語「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4技能調査が導入されたことが背景にある。このうち、「話すこと」については筆記方式では調査できないため、初めて学校PCを利用した音声録音方式を導入。筆記調査では通常起こらない、また予期しない事象が発生しうると想定されていた。

そのため「2019年度英語『話すこと』調査検証ワーキンググループ」を設置し、実際にどのような事象が発生したのかを整理。音声録音方式に関わる課題を整理・分析し、2019年9月20日に開催された学力調査に関する専門家会議で報告した。その内容が、今回の検証報告書にあたる。中学校英語調査を実施した学校数は9,988校。生徒数98万2,944人のうち、94.3%にあたる92万7,196人(学校数9,489校)を対象に調査を行った。

調査を実施した17.5%の学校で音声データに欠損が見られたことが発覚

これによると、「話すこと」調査を実施した1.6%の生徒(学校数では17.5%)の音声データに欠損等が見られたことが明らかとなった。原因として考えられるPCの事象としては「ヘッドセットと内蔵マイクとのハウリングの可能性」「PCの動作スペックに余裕がなく、プログラムが正常に作動しなかった可能性」などが考えられる。調査設計上の課題としては「調査時に録音・保存が正常になされているかを確認する機能がなかったこと」「採点システムの制約上、音声データ欠損を理由とする調査のやり直しは当日限りという扱いになっていたため、やり直しができなかったこと」などが挙げられた。

一方で、学校や設置管理者からは、「実際に『話すこと』調査が行われたことにより、現在の生徒の会話力の把握ができ、今後の指導への示唆が得られた」との意見や、「生徒が真剣に『話すこと』調査に臨む姿を見て、英語4技能をバランスよく育成することの重要性と『話すこと』調査の意義を改めて認識した」との意見が聞かれた。また。「中学校の定期考査や高校入試の改善、小学校の外国語指導の良い影響、生徒のみならず保護者への『話すこと』に対する意識改革等が期待される」という意見も見られた。

調査検証ワーキンググループは「今回の検証結果を踏まえ、『話すこと』調査の方法のさらなる改善を図った上で、次回の中学校英語調査を着実に実施することを文部科学省に求めたい」と、調査報告を締めくくっている。

(取材・文/松井さおり)