海外から帰国する際、帰国子女である子どもの学校選択には何かと悩みが生じるもの。そこで、帰国後、私立中学(中高一貫校)に入学したお子さんをもつ3名のママたちが登場。「なぜ私立中学校を選んだのか?」「中学受験前に保護者として心がけたことは?」「中学受験に対する子どものやる気をどう促した?」などの直球の質問に、三者三様、じっくり答えて下さいました。今回は2回シリーズの後編です(前編はコチラ)。
【帰国子女の母親・座談会メンバー紹介】
Aさん | ベトナム・ホーチミンに約3年滞在 |
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長女日本人学校→タイ・バンコクの会場で帰国生入試受験→私立中に入学。進学した中学校の受験科目は、日本語作文、国語、算数、本人面接(日本語) |
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Bさん | ベトナム・ハノイに約3年滞在 |
長女インターナショナルスクール→ 公立小6年に編入→一般入試を受験→私立中に入学。進学した中学校の受験科目は、国語、算数、理科、社会、本人面接(日本語) |
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Cさん | アメリカに約9年滞在 |
長女現地校→ 公立小5年に編入→帰国生入試を受験→私立中に入学。進学した中学校の受験項目は、日本語作文、英語、本人面接(英語)、親子面接(日本語) |
―海外で中学受験の準備をするのは難しいことなのですね。
Aさん
そうですね。中学受験の勉強は自宅で私が見ていましたが、よく喧嘩になりました。
志望校の中学受験内容に「日本語の作文を1時間以内に書く」というのがあったんですが、その対策はなかなか大変な作業でしたね。私の「はじめ!」という合図で娘が書き始めるという(笑)。
Cさん
そういうことをしていたのですね。すごい!
―ご主人はお子さんの中学受験に対してどのように対応していたのでしょう?
Aさん
「私立がダメな場合は、公立の中学校に行く選択もある」ということは理屈で分かりつつもやっぱり不安だった私と違って、夫は楽観的でしたね。
娘の中学受験に対しては「きっと大丈夫!」と言っていて、「何の根拠があってそう言えるの?」と思ったほど(笑)。
Cさん
うちもそうですね。ほとんどのことは私が決めて、それに対して夫は「いいんじゃない?」と(笑)。
でも両親ともに頑張りすぎてしまうと、子どもはプレッシャーを感じるように思います。
Bさん
我が家も似た感じですね。私は娘の成績に対して、つい口出しをしてしまうことがあったのですが、夫は娘と中学受験の勉強の話はほとんどしていなかったようで。娘は気が楽だったみたいです。
Cさん
受験がもしうまくいかなかった場合、「本人はきつい思いをするのでは…」とも思っていました。
だから私は公立中学校の話題をわざと出して、「あの公立中学校もいいよね」などと話をしていましたね。娘は、それに対して「絶対嫌だ!」と言っていましたけど(笑)。
Aさん
うちも、幸い中学受験を受ける時期が早かったので、ダメだった場合の候補となりうるものは、私のなかだけでこっそり持っていました。
ー合格されて本当に良かったですね。中学に入学後の様子はどうですか?
Bさん
我が家は、12月と1月に帰国生入試で2校を受験しました。そのあと、2月に、娘にとって一番の憧れの学校の一般入試に挑戦したところ、幸運なことに合格をいただきました。憧れの学校に入ることができたので、毎日楽しくて仕方ないようです。
Aさん
うちの娘は、入学直後はとても戸惑ったようです。
というのも、周りは小学3年生ぐらいから塾に通って夜中まで中学受験の勉強してきた子たちだらけで。そこに、中学受験トレーニングをまるでしていなかった自分がポンと入って、理科と社会のレベルがあまりに高く、「何をやっているのかわからない」と言っていました。
ただ、同じ境遇の帰国子女も学校に結構いたので、お友だちの面では恵まれていました。頑張れたのは、お友だちのおかげと、自分自身でその学校の受験を決めたからだと思います。
Cさん
うちも入学当初は勉強の仕方に戸惑っていたようです。
でも学校の先生が、親子面談のときに「帰国生はだんだん勉強のコツがつかめるようになって伸びていくので、焦らずに見守っていて下さい」と言ってくださったのでホッとしたのを覚えています。
―海外滞在中で中学受験を考える親御さんに、アドバイスをお願いします。
Bさん
子どもにとって、親以外に信頼できる大人がいるといいかもしれません。
うちの場合は、帰国後にお世話になった一般入試向けの塾の先生がとても親身になってくれました。6年生の1学期の終わりという遅い時期の入塾にもかかわらず、先生は丁寧にフォローして下さり、相談事にも乗って下さって。
それからは、私は後方支援に回りました。たとえば、インフルエンザの予防策として、除菌グッズやヨーグルトを買ってきたり(笑)。モノに頼ることは、親自身の気休めにもなっていいですね。
Aさん
うちは喧嘩もたくさんしましたが、一人っ子なので、ふだんからよく話をしていました。いいことも悪いことも、わりとよく聞いていた気がします。
娘が違和感を口にした場合、「ああ、そうだよねー」と同意したり。そうしないと、子どもにとって逃げ場がなくなりますから。
それと、娘が先日言っていたのですが、受験をする場合、自分が行きたいと思う学校じゃないと子どもは頑張れないそうです。親が必死に望んでもダメなものはダメだ、と。あとは、親がピリピリしているのは逆効果とも言っていました。
Cさん
中学受験のモードに突入し、環境が変わると、子どもは精神的に相当負担を抱えると思います。そのときは、保護者は余計なことは言わずに、ご飯を作って話を聞く。それだけで充分のような気がします。
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