就活の振り返りと将来への思いなどを調査
日本では多くの企業で新卒採用者を対象にした内定式が行われた10月。
新卒就職支援企業の最大手である株式会社マイナビ(東京都千代田区)は10月6日に「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査」の9月版を、20日に10月中旬版を発表した。9月は内定式前に就活を振り返った学生の声、10月は内定式後に将来に思いをはせる学生の声などを調査。そこで、内定式前後の学生の思いがよく表れた2つの調査結果を、今日と明日とで見ていこう。
本日は9月版をチェック!
【調査概要】「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査(9月)」
調査期間 | 2023年9月24日(日)~9月30日(土) |
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調査方法 | マイナビ2024の会員に対するWEBアンケート |
調査対象 | 2024年3月卒業見込みの全国の大学生、大学院生 |
有効回答数 | 1837名(文系男子446名 文系女子746名 理系男子323名 理系女子322名) |
「就活での挫折・失敗が人生の中での大きなショック」が3割
就職活動で経験した挫折・失敗が、これまでの人生における挫折・失敗と比べてどの程度のショックだったかを聞いたところ、「人生の中で最もショックな挫折・失敗だったと思う」(6.8%)と「人生の中でも上位に入るショックな挫折・失敗だったと思う」(22.5%)を合わせると約3割となり、就職活動中の挫折・失敗を人生においてもかなり大きな出来事として捉える学生が一定数いた。
一方、「ショックな挫折・失敗だったが、これまでの人生での挫折・失敗と比べると小さなものだと思った」は26.7%だった。
面接での失敗が大きな挫折経験に
就職活動中に挫折・失敗を経験した学生に、その挫折・失敗は、就職活動のどの段階での出来事かを問うと、1位が「1次・2次面接(人事・現場社員との面接)」(53.8%)、2位「最終面接(役員・社長面接)」(33.5%)となり、面接に関する項目が上位に入った。
人格を否定されたと落ち込む一方、切り替え上手な学生も
ペーパーテストによるものでなく、面接という人柄をみる場面で落とされると、ショックはよりいっそう大きいようで、具体的には「面接官からいい反応をもらえたのに不合格だった」や「憧れの企業の2次面接で落ちた挫折感。ずっと働きたいと思っていたところから拒絶された感覚」といった声が寄せられた。
一方で、そうしたショックを受けつつも、「気分転換に友だちと会った」「自分を責めないようにした」など、うまく気持ちを切り替えて自分を鼓舞している様子もうかがえた。
属性 | 内容 |
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面接官からいい反応をもらえたのに不合格をくらったこと。一生立ち直れる気がしないので、初めて自分のことで他人を頼ってキャリアセンターの人に相談しに行った。 | |
面接で思うように自分の事を話せなく挫折した。友人などに面接の手伝いをしてもらい、自身をつけて気持ちを切り替えた | |
面接という人柄を見られる場面で落とされる事が辛かったです。 面接に落ちると自分の人格を否定されたような気分になり、実際にそれに近い事を言われることもありました。 特に最終面接まで行って落とされた時は掛けた時間も相まってショックが大きかったです。 これに関しては、失敗を分析して次の企業に意識を向ける事で落ちた企業の事を忘れるようにしていました。むしろ、その会社よりも大きい規模の会社に就職することで見返してやるというマインドで頑張りました |
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憧れの企業の2次面接で落ちた挫折感。ずっと働きたいと思っていたところから拒絶された感覚。落とした企業を後悔させてやるという気持ちでその企業より大手に入ることだけを考えて気持ちを切り替えた。 | |
自分と人を比べて焦ったり落ち込んだりしました。エントリーシートや、適性検査、面接で落とされるたびに人格を否定されているような気分になった。自分は自分と言い聞かせて乗り越えた。たまに気分転換に友達と会ったりして現実逃避をしたりして、乗り越えた。 | |
6月に最終面接で落ち続けた事。1か月くらい休みつつも自己分析を行い夏採用に向けての対策をすることで、徐々に乗り越えていったと思います。 | |
反省はするが、自分にはあわなかっただけだという考えるようにすること。 | |
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これまでがんばってきたのに志望理由も聞かれないまま落とされたり面接官の態度が気に食わなかったりして悔しかった。そういった場合には企業側に見る目がないんだと思いこみ、自分を責めないようにした。 |
面接の合否はマッチングによるもの、資質や人格の問題ではない
調査結果や学生たちの声に対し、株式会社マイナビ「キャリアリサーチラボ」研究員の長谷川洋介(はせがわ・ようすけ)氏は次のようにコメントする。
「約3割の学生が、就職活動での挫折・失敗を人生においても非常に大きな挫折・失敗であったと感じており、その多くを面接の場で経験したことがわかりました。『面接が不合格だったことで人格を否定された気分になった』という声もあり、希望していた企業から不採用の連絡をもらうと、どうしても落ち込んでしまうと思います。ですが面接の合否はあくまで『学生と企業のマッチングの結果』で、自分自身の資質や人格の問題ではないと冷静に捉えて自分なりの方法で気持ちを切り替えてもらいたいと思います。
一方で、大きな挫折・失敗を経験し、それと向き合い、自分なりに克服するサイクルは今後社会に出ていくうえで欠かせないもので、社会人として成長するための貴重な第一歩であるとも言えます。就職活動をすでに終えた学生だけでなく、今後も継続する学生や現在準備をしている学生にも、挫折・失敗の経験を次のステップに活かす気持ちを大切にしてもらいたいと思います」
(取材・文/大友康子)