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先輩からのメッセージ 帰国体験記|サレジアン国際学園中学校 1年生  M・Kさん(13歳)


オールイングリッシュがメインの学習環境で日本語も学びながらの充実した毎日

サレジアン国際学園中学校 1年生  M・Kさん(13歳)

※2023年10月の取材時

渡航歴

日本 生まれ~0歳
マレーシア 0歳~4歳、インターナショナルスクール
タイ 5歳~12歳(G6)、インターナショナルスクール
日本 12歳(小6・4月)、公立校→私立中学校

0歳から海外育ち
帰国後は慣れない環境に戸惑いも

生後間もなくから12歳まで、長い期間を東南アジアで暮らしてきたM ・Kさん。幼稚園の年中までをマレーシア、それ以降はタイで成長した。タイではケンブリッジ国際認定校のインターナショナルスクールで学び、英語については申し分ない実力を身につけた。一方で、日本語は家庭で家族と会話するだけという状況だった。

「小学校を卒業するまで、ずっと英語中心の環境でした。日本の学校や塾に通ったことはなく、日本へは旅行を兼ねて祖母に会いにいく程度。読み書きもしっかりとは習ってこなかったので、帰国当時の日本語力は、だいたい小2レベルでした」

小6で帰国し、公立小学校に通った。当初は慣れない環境と日本語に戸惑うことも多かった。

「最初の頃は、電車に乗ることすら難しかったんです。案内に何が書いてあるのかも読めなくて、どこから乗ればいいのかもわからない。ここが自分の国のはずなのに、まるで海外の人になったようだと感じていました。それと、私にとって母語は英語なので、日本語で話すと間違いが気になって、つい消極的になるんです。英語なら何も気にせず、大きな声でどんどん話せるのに、日本語だと自分が自分じゃないみたいで」

左/マレーシアのインターナショナルスクール時代。中央列右から3番目が川又さん。右/タイで国内旅行したときの写真。タイでは新鮮な魚市場が少なかったので、沢山の魚にびっくり!

『日本語は苦手だけど……』
友だちの助けを借りて徐々に克服

日本の小学校での授業は、クラスメイトと大きく差が開いた状態からのスタートだった。英語や算数は問題なかったが、理科、社会、国語など、内容を理解するために日本語力が求められる教科が壁になった。そんな時に日本語の習得をサポートしてくれたのは、周りの友だちだった。

「国語の授業で順に教科書を読む時などに、私の教科書の漢字の部分にさっとふり仮名を書いてくれたりしました。公立小学校では日本語ですごく苦労しましたが、その時の友だちの優しさのおかげで、辛い思い出にはなりませんでした。同年代の周りに助けてもらいながら前に進むという経験は、自分の中ではものすごく意味のあるものになりました。『一人で頑張りすぎなくていい、分からなかったら助けてもらってもいい』と思えるようになった大きな出来事でした」

中学受験までは友だちの支えを受けながら、ひたすら国語の書き取りをした。「絶対に覚える」という強い意志で、着々と日本語を学んでいった。

英語環境ならではの安心感
学校生活を満喫する毎日

日本語の習得は重要だが、培った英語力を維持するためには、日常的に英語を使うことも大切だ。そのため、中学からは多くをオールイングリッシュで学べるコースのあるサレジアン国際学園中学校に通うことに。

「クラスメイトは帰国子女や日本国内にあるインターナショナルスクール出身者が多くて、みんな同じような経験をしてきています。似た者同士でオープンだから、とても話しやすいです。私はまだ日本語で話すとわからなくなってしまう部分があるのですが、ここなら、いったん英語に戻ってやり直したり、英語と日本語を場面ごとに使い分けたりしても、周りは理解してくれます。間違っても大丈夫、という安心感はとても大きいです」

授業以外でも学校生活は充実している。部活動はダンスを選び、本科の生徒も一緒になって、体を使って表現することを楽しんでいる。

「K-POPが好きで、あんなふうに踊ってみたいと思ったのが入部のきっかけです。コースの違う生徒も一緒なので活動は日本語。話すのが難しい時もありますが、ダンスという同じ趣味があるので仲良くなりやすいです」

校庭で仲間と鬼ごっこする前にパシャリ

将来の夢は、まだ固まっておらず、自分と対峙し、色々な可能性を模索している最中だ。

「自分がどんな仕事に情熱を持てるか、今のところ分からない部分があって、夢は毎週のように変わっています。でも少なくとも、好きな数字や化学にかかわる仕事がいいなと思います。今は、苦手な感じをしっかり克服することが目標。高校からはもっと勉強も忙しくなると思うので、今のうちにいろいろなことに挑戦していきたいです。また、これから帰国・受験の予定がある人には、『大変なのは一時のことで、受験が終われば必ず落ち着く。大丈夫だよ』というメッセージを伝えたいです。受験で学んだことは今後必ず役に立つので、前を向いて頑張ってください」

親への感謝

英語を第一言語にという方針で、しっかりと学ばせてくれました。おかげで、ナチュラルなアクセントや、海外でしか得られない言語力が身についたと思います。授業料の高額なインターナショナルスクールと私立の中高に12年も通わせてくれたこと、将来についても押し付けることなく見守ってくれること、とても感謝しています。

取材・文/本誌編集部、竹部伸[株式会社ニイモモクリエイト]