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帰国までの賢いスケジューリング⑧「帰国後、駐在の同行者がキャリアで輝くためには?」

不測の事態で、様々な予定の再調整が必要になることも多い昨今。受けるダメージを最小限にするにはあらかじめスケジュールをイメージしておき、いざというときに調整しなおせる範囲を把握しておくことが得策です。そこで専門家に、帰国を前提とした海外滞在のなかでよく伺う6つの希望を叶えるためのスケジューリングのコツを伺いました。今回は、「帰国後、海外駐在の同行者がキャリアで輝くため」の賢いスケジューリングに焦点を当てます。

帰国後、同行者がキャリアで輝くためのポイント

夫婦共働きを当たり前と捉える世代に海外駐在をする人が増えている昨今。夫の海外駐在に同行する妻が帰国後に「働こう」と考えるケースもますます増加している。そんな中、自身も元駐在妻であり、駐在妻のキャリアサポートコーチをしている飯沼ミチエ氏は、駐在同行に伴う退職や休職でキャリアがいったんストップすることを不安視する女性に何度も出会ってきたという。

「退職や休職で自身の存在意義がぐらつくような感覚を覚える方もいます。でも時間を有効に使うことができれば、海外駐在の同行時期は、次のキャリアのためのステップアップ期間になりえます。ポイントは『語学力やフレキシブルな対応力など、海外生活で磨いている力を、形に残しながら生活すること』です」(飯沼氏)。

POINT 1

配偶者の海外駐在に同行する期間を「次のキャリアのためのステップアップ期間」と捉える。海外滞在中は多方面で「自慢できる経験」や「人脈」をできるだけ増やしていこう。

POINT 2

世の中の状況は刻々と変化していき、それに伴って、仕事で求められる力もどんどん変化する。いざというときに慌てずに済むよう、キャリア情報の収集は帰国前から定期的に。

POINT 3

海外で身に付けた語学は、点数や級で“見える化”を。海外生活で磨いた様々な力や現時点での理想は、“言語化”。帰国日までに“仮の履歴書”を作成してみよう。

 

 

キャリアで輝くための理想のスケジュール

【滞在中ずっと】転職に関する情報の収集をスタート

情報収集は駐在同行開始から帰国日まで、できるだけ日常的に行っておくのがいい。

「当然ながら、求人は景気や世の中の状況に左右されますし、求められる力は変化していきます。現地での生活を楽しみつつも、転職サイト・エージェントなどで定期的に情報を集めておくといいでしょう」(飯沼氏)

【同行開始から帰国決定前①】外国語を学習して検定を受ける

海外生活で語学力を磨く際、やっておくといいのが「点数や級で“見える化”しておくこと」だという。

「渡航後の早い段階で、英語であればTOEIC®などを受けて自分の語学レベルを測っておくと、目標設定がしやすくなります。『頑張っても実感を得られないから、努力が続かない』と感じがちな人には特におすすめです。点数や級を持っていると履歴書でアピールしやすくもなります」(飯沼氏)

【同行開始から帰国決定前②】自慢できる経験と人脈を増やす

文化の違いを感じながらの子育て、自身の習い事など、唯一無二の経験を重ねていく。

「現地で楽しんだという自慢話が多ければ多いほど再就職はしやすい、とあるキャリアカウンセラーの方は話しています。また、そうしたなかで『日本では出会えない人と知り合う』という副産物を得るのも大事。視野が広がり、帰国後のキャリアにつながることも多いはずです」(飯沼氏)

【同行開始から帰国決定前③】現地で働く、ボランティアをする

海外駐在者(夫)の会社の規定やビザなどの関係で難しいことも多いが、可能であれば現地で働いてみよう。

「日本とは違う労働環境で働くことにより、大きな自信が得られます。働けない場合でも、ボランティアに挑戦することを強くおすすめします。現地での居場所を持てる、誰かの役に立ってポジティブな気持ちでいられる、自己肯定感を保てるなど、多くのメリットがあるからです」(飯沼氏)

【帰国決定時から帰国日①】海外生活で得られた力を言語化

海外生活のなかで知らず知らずのうちに磨かれている、判断力、決断力、フレキシブルな対応力、適応力、調整力。「そうした財産をどう身に付け、活かしてきたか、ブログやノートに書いてみてください。言語化することで頭のなかが整理でき、SNSの場合は反応も得られ、今後のキャリアに活かしやすくなります。もし今のご自身を過小評価しているとしたら、それはやめましょう」(飯沼氏)

【帰国決定時から帰国日②】理想を言語化、履歴書作り

海外生活中に価値観が変わるのはよくあること。「帰国後はどんな働き方をしたいのか。時間、場所、業種は?逆にやりたくないことは?働いているときの子どもの居場所は?そんな理想を言語化するのも大事です」(飯沼氏)。

前述の海外生活で得られた力と、帰国後の理想のキャリアの言語化ができたら、集大成として仮の履歴書を作成してみるといいという。

私の体験談~やってよかったこと~

  • 滞在中はずっと、現地校での保護者主体のボランティア活動に積極的に参加していた。そこでアメリカの教育制度について直に学べたのはとても貴重なこと。今後の活動にぜひ役立てたい。(アメリカに滞在したM・Oさん)
  • 渡航前にフランス語を専門に勉強していたため、滞在中はずっと大学付属の語学センターでフランス語力を高める努力をした。現地ではビジネスフランス語の資格、帰国後は通訳案内士の資格を取得。今は通訳やガイドとして仕事をしている。(ベルギーに滞在したY・Yさん)
  • 滞在中はずっと、子どもたちのことで精いっぱいで、自分の帰国後のキャリアについてはノープランだった。ただ日本の医療関係の有資格者なので、8年のブランクはありながら、帰国後4カ月ほどで前職に戻ることができた。後悔は、もっと英語力をアップさせていれば、医療通訳など別の資格も取れたかもしれないということ。(アメリカに滞在したU・Eさん)
  • 滞在期間5年のうちの3年を使い、ビジネス中国語レベルとされる新HSK6級を取得した。帰国後は英語と中国語の両方を活かせる大学の事務職として働いている。(中国に滞在したN・Cさん)

 

お話を伺った方

飯沼ミチエ氏

駐在妻のキャリアサポートコーチ

飯沼ミチエ氏

元駐在妻の経験を活かして、海外駐在妻、元駐在妻、プレ駐在妻のキャリアをサポートする。駐在妻のための情報交換・交流サイト『駐妻café』の運営責任者。

 

 

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