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帰国までの賢いスケジューリング⑦「子どもを、日本の難関大学に帰国生入試で合格させるには?」

不測の事態で、様々な予定の再調整が必要になることも多い昨今。受けるダメージを最小限にするにはあらかじめスケジュールをイメージしておき、いざというときに調整しなおせる範囲を把握しておくことが得策です。そこで専門家に、帰国を前提とした海外滞在のなかでよく伺う6つの希望を叶えるためのスケジューリングのコツを伺いました。今回は、「子どもを、日本の難関大学に帰国生入試で合格させるため」の賢いスケジューリングに焦点を当てます。

合格させるためのポイント

我が子が帰国生として臨む大学受験。保護者はどんな心構えでいるといいのだろう。帰国生の大学入試事情に詳しい予備校2校に伺った。

「準備に際しては本人主導で動き、保護者は陰のサポート役を。ただし、人生の大半を海外で過ごしている場合や滞在地域・学校に日本人がいない場合は、本人が自力で動くことに限界があるため、保護者がサポートを強めます」(駿台国際教育センター。以下、駿台)

難関大学受験ではプラスアルファの対策も必要になるため、本人が難関大学を意識する前から、保護者が学校選びなどを通じて選択肢を増やしておくという案もある。

「近年はIB入試を実施する大学が増えたので海外で通う学校にIB認可校を選ぶのも◎。またTOEFLR、IELTS™、統一試験が重要視されるケースが多いため、計画的なスコアアップを促しておく必要もあります」(代々木ゼミナール国際教育センター。以下、代ゼミ)

POINT 1

受験の準備は子ども本人主導で行い、保護者は陰でサポート。ただし、「人生の大半を海外で過ごしている」など日本に極端に不慣れな場合は、本人が自力で動くことに限界があるため、サポートを強める。

POINT 2

TOEFL®、IELTS™、統一試験(SAT®など)のスコアは重要視される。特に受験1年前からはスコアアップに力を入れるよう促そう。専門の塾への通塾が得策。

POINT 3

医学部や超上位校を志望する場合は、まずそれぞれの戦略を知り、準備を効率的に進めるようにしよう。合格校の確保も忘れずに。

 

 

合格させるための理想のスケジュール

【滞在中ずっと(保護者)】心の準備と教育費の準備

本人が英語圏の現地校やインターナショナルスクールに長く通っている場合は、保護者の帰国うんぬんに関わらず「大学もそのまま海外」というケースもありうる。保護者としては、その心の準備をしておくようにしたい。

また、資金面での準備も大事。「例えばTOEFL、IELTS、統一試験を受けるにも、スコアアップのために専門の塾に通うにも、当然ですが費用がかかります。こうした支出と並行して、大学の教育費の準備をあらためて開始しておく必要があります」(代ゼミ)

【受験2年前(本人)】日本か海外か、大まかな分野も考える

日本か海外か。そして日本なら、文系か理系かといったおおよその志望分野を考え、必要な科目選択などをしていくのがこの時期。

「理系の難関大学を志望する場合は、数学や理科はなるべく難度の高い授業を履修します。日本の教科書や教科書に基づいた参考書を入手し、日本の学習範囲と比較して不足している部分の補習をするのもいいでしょう。また、専門用語を日本語で理解することと計算力の向上に努めておくと役立ちます」(代ゼミ)

【受験2~1年前(親子)】志望先の戦略を頭に入れて対策開始

戦略と対策の一例を以下に列挙(駿台。2020年8月現在)。TOEFL、IELTS、統一試験に関しては、受験1年前からは特にスコアアップに力を入れていく。

●医学部●

求められるのは、一般生と同等の学力だ。日本の学習指導要領に沿った数学と理科の2科目が日本語で課せられる。その準備を日本の塾や日本人の家庭教師のサポートのもとで自主的に進めておく。サポートを受けられない環境下なら、一時帰国して予備校に通い、現地に戻ったらその復習を繰り返すことで乗り切る。また、医療系のボランティアを経験しておくと、志望理由書作成や面接時にも活かせる。

●東京大学●

書類選考が非常に厳しく、統一試験でもハイスコアが求められるため、そのスコア取得が大前提。文系は、日本語と英語の小論文、英語(一般入試と同問題)、面接が課せられるため、バランスよく、かつ高度な学力を身に付けておかなければならない。理系は、日本語と英語の小論文、一般入試と同じ数学、理科、面接。海外滞在中から日本語の数学と理科の準備をいかに進められるかがポイントに。

●早稲田大学●

学部単位で帰国生入試廃止の流れがあり、2021年度入試では法、商、教育、理工系3学部の計6学部に。TOEFLが必須(教育や法はIELTSも可)だが、統一試験は求められない。試験は現代文、小論文、数学(商)、面接(教育)。理工は数学と理科の2科目、面接。

●慶應義塾大学●

TOEFLまたはIELTSほか、統一試験が必須であり、ハイスコアが求められるため、両方に力を入れなければならない。2次試験は小論文と面接。

●上智大学●

帰国生入試でTOEFL等のスコアは出願資格としてのみ使用。合否は当日の筆記試験と面接で決まるため、現地でTOEFL等が伸び悩んだ場合は、第一志望に設定するのもいいだろう。筆記試験はほとんどが小論文で、学科によっては英語や数学のことも。

 

【受験半年前~本番(本人)】書類手配、日本での直前対策

受験直前に通う予備校を決め、現地の学校に用意してもらうもの(推薦状など)を手配。

「統一試験のスコアが必要な場合は、大学にスコアを直送する手続きも必要になります。分からない場合は帰国後に通う予備校にアドバイスをもらいましょう」(代ゼミ)。

帰国後は予備校に通って直前対策。国公立志望の場合は、先に私立を受けて合格校を確保しておきたい。

我が家の体験談~やってよかったこと~

  • 赴任前に子どもに志望大学を聞いておき、それらの大学の帰国生入試の実施状況や出願資格などを調べ、SAT®とTOEFL®の結果が重視されることを確認。滞在中はずっと、スコアアップに努めさせた。(アメリカに滞在したF・Kさん。お子さんは現地校に通い、高3で帰国)
  • 「帰国後は大学で一から友だちを作って生活をスタートさせればいい」という考えで、帰国2年前に日本の大学への進学を決定。子どもは高1から高3までずっとSAT®のスコアアップを図るために専門の先生(アメリカ人)のもとで学び、日本の大学への進学を決めてからは国語、小論文、数学を日本の塾で学んだ。(アメリカに滞在したK・Eさん。お子さんは現地校に通い、高校卒業のタイミングで帰国)
  • 帰国半年前くらいから、現地校での生活に追われる娘に代わり、現地での活躍を証明できる賞状などをまとめておいた。(アメリカに滞在したM・Nさん。お子さんは現地校に通い、高校卒業のタイミングで帰国)
  • 【子ども自身の経験談】帰国1カ月前には帰国生入試の面接やエッセイに備えて、自分が大きく成長できた現地での経験について考えをまとめた。(アメリカに滞在したS・Yさんのお子さん。現地校に通い、中3で帰国)

 

お話を伺った方

駿台国際教育センター(文中では、駿台と記載)
代々木ゼミナール国際教育センター(文中では、代ゼミと記載)

 

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