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帰国までの賢いスケジューリング⑥「上位の中高一貫校・高校に帰国生入試で合格するには?」

不測の事態で、様々な予定の再調整が必要になることも多い昨今。受けるダメージを最小限にするにはあらかじめスケジュールをイメージしておき、いざというときに調整しなおせる範囲を把握しておくことが得策です。そこで専門家に、帰国を前提とした海外滞在のなかでよく伺う6つの希望を叶えるためのスケジューリングのコツを伺いました。今回は、「上位の中高一貫校・高校に帰国生入試で合格させるため」の賢いスケジューリングに焦点を当てます。

子どもを上位の中高一貫校・高校に帰国生入試で合格させるためのポイント

帰国後の我が子の学校選びは、多くの保護者にとって大きな関心事。海外滞在経験を活かせる学校、さらには〝上位校〟に通わせたい、と願う保護者も少なくないだろう。

「上位校を目指す場合、現地での生活が家と学校と塾の〝トライアングル移動〟だけになりがちです。それを避け、現地の生活にも触れられるようにサポートしてあげてください。現地での貴重な経験こそが本人の自信につながり、小論文や作文、面接などの試験対策にもなりえます」(早稲田アカデミー国際部。以下、早稲アカ)

POINT 1

上位校の教科試験は当該校の一般入試と同等でハイレベル。準備開始は、中学で国語・算数を含む受験をするなら小4頃から、高校受験の場合は中2から始めると安心。

POINT 2

「英語特化型」での受験では、英検準1級レベルが求められる。また、面接に加え、小論文または作文を課される場合が多い。対策期間は約3カ月を見ておこう。

POINT 3

子どもは準備に忙しく、家と学校と塾の“トライアングル移動”だけになりがち。保護者は子どもが現地の生活も楽しめるようサポートを。

 

上位の中高一貫校・高校に帰国生入試で合格させるための理想のスケジュール

願いを叶えるためのスケジュールを、帰国生の中高入試事情に詳しい受験塾2社に伺った。上位校受験では、準備に必要な時間が通常の学校を受験するよりも長い。そのため、保護者は子どもの生活をよく気遣う必要があるという。

【受験3年~1年半前①】学校説明会に参加、小4・中2から開始

一時帰国時、学校説明会に参加して志望校に目星をつけていく。現在はオンラインでの説明会も活用したい。そして国語や算数など教科試験を受ける場合、対策は国内生と同時期からスタート。

「国内生と同じ中学受験向けのカリキュラムを学んでいないと太刀打ちできないのが上位校です。中学受験なら小4のはじめ頃から、高校受験の場合は現地での学習状況(※1)や志望校の科目数によって変動しますが、中2の夏前から対策を」(早稲アカ)

【受験3年~1年半前②】中学受験なら英検準1級を目指す

「英語特化型」の中学受験をする場合、英検をこの時期から受けておくのがいいだろう。

「英検の試験は年3回ですので、受験前年の10月の出願に間に合わせるには、同年の6月時点で目標の取得級を取っておかなければなりません。英語特化型で求められるのは、多くが英検準1級レベルです(※2)」(日能研関東中学部。以下、日能研関東)

【受験1年前】帰国後の入試直前期に通う塾選び

現地で日本の受験塾に通っている場合でも、上位校受験では入試直前期(受験3カ月前)には帰国して通塾し、志望校の出題傾向に合致した学習を集中的に(※3)。塾や塾校舎との相性もあるため、できればこの頃から季節講習会などに参加して検討をスタート。

【受験6カ月前】募集要項を確認して受験校を確定

帰国生入試は例年、7~9月に各学校から募集要項が発表される。取りこぼしがないよう、7月にはスタンバイして各校の情報を仕入れたい(※4)。仕入れた情報を比較検討したら、受験校を確定させよう。

【日本での受験前】10月以降に海外入試の受験に挑戦させる

例年10月以降、滞在国・地域で受験ができる海外入試が始まる。

「上位校を狙っている場合は特に、合格校を確保しておくことをおすすめします。その点、海外入試はチャンスの回数が増えるという意味でも無視できません。また学校によっては、郵送のやり取りだけで合否が決まることもあります」(早稲アカ)

【受験直前①】約3カ月で小論文や作文の集中対策

日本語や外国語(主に英語)での小論文や作文の対策には、約3カ月を要する。

「常日頃から海外生活での経験を自分ならではの視点で見つめていくことは当然として、さらに、日本語受験なら『話し言葉ではなく書き言葉を扱えるようにする』『漢字を正しく使う』、外国語(主に英語)受験なら『英語特有の小論文の構成を学ぶ』『英語での表現力を磨く』といったことに力を入れる必要があります」(日能研関東)

【受験直前②】約3カ月で日本での直前対策

入試直前期(受験3カ月前)には直前対策を。面接の対策には1カ月を見ておこう。

「面接は落とすものではなく、あくまでも帰国生の強みを見るもの。海外生活での経験に自信を持ち、落ち着いて練習してほしいと思います」(日能研関東)

我が家の体験談~やってよかったこと~

  • 帰国生枠の条件を「海外滞在2年以上」とする学校が多く、我が子はそれに満たないと事前に分かっていたので、滞在中はずっと、日常的に「滞在2年未満でも編入できる学校」や「高校受験のタイミングで帰国生入試がある学校」を調べていた。(モザンビーク共和国に滞在したA・Fさん。お子さんはインターに通い、中1で帰国)
  • 帰国2年前、小5になる前の春休みに一時帰国し、学校見学をした。「海外から一時帰国をして見学」ということで、ほとんどの学校が個別の対応をしてくれて、ゆっくり見学できた。(インドネシア他2国に滞在したT・Yさん。お子さんは日本人学校に通い、中1で帰国)
  • 帰国生枠での中学受験を考えていたため、帰国2年前、小5の時点で、すでに帰国した親仲間や帰国生受験の指導をしている日本の受験塾の先生とコンタクトを密にとって相談。学校選びを進めた。小6に進級したら、息子自身も日本の公立中高一貫校への進学を望み始めたため、日本の受験塾の先生にインターネット電話を介して作文や面接の指導を依頼。事前の情報収集と行動のおかげで、親子共々慌てることなく動くことができた。(中国に滞在したN・Cさん。お子さんは日本人学校に通い、中1で帰国)

 

お話を伺った方

早稲田アカデミー国際部(文中では、早稲アカと記載)

日能研関東中学部(文中では、日能研関東と記載)

 

 

※1…日系塾の有無、通っている学校の種類など
※2…英検準1級から「読む・聞く・書く(=エッセイ)」の設問が日本語から英語に変わり、一気に難度が上がるため、早い時期から受けてレベルを徐々に引きあげておくといい
※3…現地に日本の受験塾がない場合は、母子だけでこの時期(受験1年前)に帰国して公立小中学校などに通いながら、日本の受験塾で勉強を進めるケースも多い
※4…2021年度は昨今の情勢により、入試日程を変更する学校が多く、オンライン入試の導入など入試スタイルの変更もみられるため特に注意が必要

 

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