Web面接での生成AIカンニング、面接官はどう対応?
先月の記事「就活の相談は“親よりAI”になってしまうかも!?」でも、就職活動中の大学生・大学院生の約85%がエントリーシートや面接対策など、なんらかの形で就職活動に生成AIを使用していることを紹介しました。
現在は、採用活動のオンライン化が急速に進み、Web面接(オンライン面接)が主要な選考方法として広く定着しています。そうしたなか、今、課題になっているのは、“生成AIカンニング”です。これは、トップ画像のようにWeb面接で使用しているPCのすぐ前にカメラには映らないようにスマートフォンを置き、面接官の質問を生成AIに音声入力して、その回答を参照するというもの。
Web面接中に学生が生成AIをカンニングしている可能性について、採用側の面接官はどう思い、どのように対応しているのでしょうか? オンライン試験サービス「スマート入試®」の開発・提供などを行っている株式会社サーティファイ(東京都中央区)は、「Web面接(オンライン面接)における面接官の認識と対応」を調査しました。その結果を見てみましょう。
【「Web面接(オンライン面接)における面接官の認識と対応」調査概要】
■調査期間:2026年4月10~15日
■調査方法:インターネット
■調査対象:Web面接の面接官経験者(2025年4月1日~2026年3月31日の1年間)
■有効回答:363人
面接官の約9割が「Web面接で不正をする応募者がいる」と認識
「Web面接でどのくらいの応募者が不正をしていると思うか」を問うと、「不正をする応募者はほとんどいない」と回答した割合は、Web面接を年間1~2名担当した面接官では11%、年間3名以上を担当した面接官ではわずか6%にとどまりました。つまり、9割以上の面接官がWeb面接では程度の差はあれ「不正をする応募者がいる」と認識しています。 Web面接における不正行為が一部の例外ではなく、採用現場における現実的なリスクとして受け止められていることがうかがえます。
AI不正利用が疑わしい場合はその場で指摘する?
「Web面接時に不正と疑わしい素振りがあった場合にはどのように対応するか」を問うと、疑わしい素振りがあった場合、「その場で指摘する」と回答した割合は全体で24%にとどまりました。一方で「指摘はせず社内に共有・報告する」と回答した割合は、Web面接年間担当人数1~2名で66%、3名以上で71%に上りました。
限られた面接時間内での円滑な進行や、確証がない中での指摘の難しさを背景に、面接官がその場での直接的な確認を避ける傾向にあることが考えられます。
不正疑惑が指摘されず、「サイレント減点」が生じることも
「Web面接時に不正と疑わしい素振りがあった場合には評価をどのようにするか」を問うと、証拠がない場合でも、不正が疑われる素振りがあった際に「評価を下げる」と回答した面接官が、年間担当人数1~2名で79%、3名以上で87%に上りました。
これは、Web面接における視線、話し方、回答までの間の取り方などが、採用評価に影響している可能性を示しています。一方で、緊張や考え込む癖などが不正と誤認されれば、不正をしていない応募者の評価が本人に何も知らされないまま下がってしまう、いわば「サイレント減点」が生じるおそれもあります。その場で不正疑惑を指摘されるのも衝撃ではありますが、不正をしていなかった場合には猛烈に疑惑を否定したいところです。
企業サイドにとっては、不正を見逃さない防衛策だけでなく、悪意のない挙動を不正と誤認せず、正当な評価を守るための仕組みづくりが重要なテーマとなっています。
不正対策と公平な評価の両立が問われる
調査を行った株式会社サーティファイはアンケート結果を次のように総評します。
「応募者側では、既にWeb面接中に生成AIを参照する行為が広がっています。今回の調査では、採用側においても、不正の可能性を意識し、疑わしい素振りを評価や組織内共有に反映している実態が確認されました。
一方で、Web面接における不正判断には難しさもあります。視線や挙動だけでは不正を見逃す可能性がある一方、緊張や考え込む癖などを不正と誤認すれば、採用の公平性を損なう可能性があります。
生成AIの普及により、Web面接では『不正をどう防ぐか』だけでなく、『生成AIの利用をどこまで許容するか』『疑わしいと感じた場合にどのように確認し、評価に反映するか』が新たな論点になりつつあります。採用現場では、生成AI利用に関するルールを明確にしたうえで、不正対策と公平な評価をどのように両立するかが問われています」
(取材・文/大友康子)










