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インターナショナルスクール|今さら聞けない2つの違い

インターナショナルスクール&ナショナルスクール、プリスクール&インター附属幼稚部、似ているようで微妙な違いがあるようです。国際教育評論家の村田学氏に話を伺いました。

インターナショナルスクールとナショナルスクールの違いって?

日本では、インターナショナルスクール(以下、インター)もナショナルスクール(以下、ナショナル)も、学校教育法第一条に規定されている「一条校(学校)」ではなく、それ以外の「各種学校」に分類されている(一部のインターを除く)。そのため、インターとナショナルの明確な定義は法令で定められていない。ただ、通例上、大まかな違いの傾向はあるという。

「学校ごとの違いや例外もありますが、日本では、インターは無宗教・多国籍で、IBなどの国際的なカリキュラムを導入し、英語で授業を行う学校。一方、ナショナルは民族学校とも呼ばれていて、特定の民族や文化圏の人が通い、カリキュラムも使用言語も特定の民族や文化圏のものが使用されている学校のことを指します。ただ、この定義ですとアメリカンスクールやカナダ、イギリスのインターもナショナルに近くなりますが、日本ではインターとされることが多いです」(村田氏)

近年、日本で増加しているインド系の学校はどうなのだろうか?

「インド系は、インド州政府のカリキュラムに沿った教育をしながらも学内公用語は英語で、IBも取り入れるなど、いわば、インターとナショナルの部分取りのような特徴があります。日本人も多く受け入れているため、インターとして扱われています」(村田氏)

通例上大まかに分けられるインターとナショナルだが、時代とともに学校はその在り方を変化させている。

「時代を紐解けば、どちらも宣教師や外交官、貿易商、さらにはGHQ関連の子どもたちを受け入れる学校などから始まっているため、ナショナル寄り。しかし国際化が進む昨今、宗教色を弱めたり、より多くの国籍の子どもを受け入れるなどしてインター寄りになった学校も多く見受けられます」(村田氏)

プリスクールとインター附属幼稚部の違いって?

また、ややこしいものにプリスクールとインター附属幼稚部がある。両者はどう違うのだろうか。

「これも明確な定義はなく、どちらも未就学児に対して英語で保育・教育をする施設ですが、通例上、インター附属幼稚部は初等部に内部進学枠がある点が大きく異なります。プリスクールは、英語で探究的な学びに取り組みますが、その後は、国公私立小学校に進学する児童がほとんどです。一方、インター附属幼稚部の児童は、インターの初等部に進学を前提として入学し、内部進学で附属のインター初等部に進学していきます。インター附属幼稚部は、入学時からインターで学び続けることを前提として入学するご家庭がほとんどなので、小学校受験や中学受験という日本の教育制度とは異なる進路に進んでいきます」(村田氏)

2つの大まかな違い

プリスクール インター附属幼稚部
卒業後の進路 国公立の小学校 同じインターの初等部
大まかな英語力 入園時にゼロでもOK 年齢相応の力が必要

お話を伺った方

国際教育評論家
村田学(むらた・まなぶ)氏

国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了した国際教育評論家で、プリスクール元経営者、幼小中インターナショナルスクールの共同オーナー。ウェブサイト「インターナショナルスクールスクールタイムズ」の編集長。アメリカで生まれ、6歳で帰国して英語力を丸ごと失った、という苦い経験を現職に活かしている。

文・取材/本誌編集部、中山恵子