新成人が読んだ本、18歳と20歳で違いアリ(後編)
昨日はハイブリッド型総合書店「honto」が発表した、「20歳」と「18歳」の直近一年間の書籍購買動向を比較した結果に着目し、ジャンル総合(すべてのジャンルを総合した集計)では20歳は『呪術廻戦』、18歳は学習参考書がトップ3を独占、文庫では20歳・18歳とも「TikTok売れ」の本と若者向けの文学的名作がともにランクインしている現状を見た。
本日はノンフィクション部門の結果と、hontoのブックキュレーターが新成人へお勧めする本を見ていこう。
ノンフィクション部門|20歳はビジネス書、18歳はYouTuberのエッセイ
20歳 | 18歳 | |
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第1位 | 人は話し方が9割/永松茂久/すばる舎 | 聖域/コムドットやまと/KADOKAWA |
第2位 | 20代で得た知見/F/KADOKAWA | 人は話し方が9割/永松茂久/すばる舎 |
第3位 | 聖域/コムドットやまと/KADOKAWA | 1%の努力/ひろゆき/ダイヤモンド社 |
ノンフィクション部門の「20歳」の第1位は2021年のビジネス書としてベストセラーを記録した『人は話し方が9割』が登場。「20歳」は社会に出るための準備としてビジネス書の購入意欲が高まるようだ。
一方、「18歳」の第1位は『聖域』。Z世代とされる10代~20代前半の若者に絶大な影響力を持つ5人組YouTuber「コムドット」のリーダー・やまとによる初のエッセイがトップになった。エッセイの中の“悩む時間を動く時間に変えた瞬間に、人生が変わる”といった言葉に背中を押される人も多いのかもしれない。
ブックキュレーターが厳選 新成人向けの3冊
hontoではブックキュレーター・矢部潤子(やべ・じゅんこ)氏による、“今じゃなくて、20歳のころに読みたかった本”も紹介している。
●これは水です 思いやりのある生きかたについて大切な機会に少し考えてみたこと/デヴィッド・フォスター・ウォレス著・阿部 重夫訳/田畑書店
●チェルノブイリの祈り 未来の物語 完全版/スヴェトラーナ・20アレクシエーヴィチ著・松本妙子訳/岩波書店
●戦記 新装版/開高健/朝日新聞出版
●誰のために法は生まれた/木庭顕/朝日出版社
●ハイパーハードボイルドグルメリポート/上出遼平/朝日出版社
「本を読むのに年齢なんて関係ないと思っていました。今でも関係ないと思いたい。でも実際には、その年齢に相応しい本というのはあります。ある程度年齢を重ねた頃に読むことでより味わい深くなる本もあるけれど、視力、気力、体力が整ったころに読んでこそ深く入り込める本もある。そして、それはおおよそ後から気付くもの。今、生まれてからまだ20年しか生きていないとしたら、こんな本を没頭して読みたかったと切実に思います」(hontoブックキュレーター・矢部潤子)
(取材・文/大友康子)