「帰国後の中学受験に向けて、子どもに勉強はさせているけれど、足りている?」など、海外にいると、日本の中学受験事情が分からず、不安が募りがちだ。
そこで、海外・帰国子女に対する塾展開をはじめ、無料の教育相談も受け付けているJOBAの帰国生相談員の方に、帰国生の中学受験における保護者からの代表的な心配事への回答とともに、効率的なサポート方法について伺った。
子どもの中学受験で最も大事なことは家庭での「教育方針の一本化」
海外・帰国子女の教育に関する専門機関・JОBAで相談員を務める須藤聡美(すとう・さとみ)氏によると、子どもの中学受験の際に保護者が最も気を付けることは「家庭での教育方針の一本化」だという。
「家庭での教育方針が決まっていなければ、何も始まりません。教育方針とはつまり、我が子に『どんな中学・高校時代を過ごしてもらいたいのか、将来はどんな大人になってほしいのか』という親自身の明確なビジョンです。それが明確であれば、おのずと中学受験をするか・しないかが決まります。そして『する』となれば、親子共々、中学受験に対して前向きに進むことができのです」(須藤氏)。
では、夫婦で教育方針が合わないときは、どのように一本化していけばいいのか? 須藤氏は言う。
「一時帰国の際などにご両親とお子さんが揃って、公立私立問わず学校見学に行くことが有効です。地元の公立中学と、通える範囲でザッピングした私立中学の現状を調べて、よく引き比べてみるといいですね。それから塾の説明会にも参加して、周りの保護者たちの雰囲気にもふれてみましょう。そうすると、お子さん自身のモチベーションアップはいわずもがな、夫婦でも、子どもの教育について『我が家ももっと真剣に考えた方がいい』とか『子どもにもっと勉強させた方がいいんだな』などとすんなり感じとることができ、夫婦で話し合おう、意見を合わせていこう、という機運が高まります」
教育方針が定まると、志望校が定まり、必要な受験対策が見えてくる
さて「受験する」となった際は、志望校決定の段階に進むことになるが、ここでも、教育方針は重要だ。JОBAに「我が子に合う学校はどれか?」といった質問が寄せられたときも、まず教育方針を確認し、それから住んでいる場所、さらに現在の受験対策度を把握したうえで、いくつかの学校名を挙げて進言することができるという。
例えば下の質問例「帰国生入試と一般入試、どちらがいいか」も、第1志望校が帰国生入試を行っていれば、受験科目が少なく受験回数が多くある帰国生入試がおすすめ。行っていなければ一般入試で頑張るしかない。
「その際、第1志望に似通った科目で試験を行う学校を第2、第3の志望校にしましょう。第1志望は国算理社の4科目なのに第2志望用に英語を勉強するといったことをしていると、どれも中途半端になってしまう可能性があります」(須藤氏)。
このように、中学受験に関する心配事を相談して解消すると、受験にむけて子どもにやらせなければいけないことのポイントが決まり、勉強の効率化につながる。気軽にJОBAに問合せてみるといいだろう。
帰国生入試に関する保護者からの相談例
Q. 中学受験の直前に帰国する予定ですが、もっと早く帰国すべき?
志望校に難関対策が必要なら、早めの帰国が有効です。逆に英語面接や筆記試験での合否の比重が大きい学校は、受験対策ができる環境であれば、ギリギリまで海外にいる方が得策です。
Q. 帰国生入試で合格しても、入学後についていけるものでしょうか?
国語と算数を含めて受験している場合は、勉強の基礎はできていますので心配無用です。小論文や英語のみで受ける帰国生入試の場合は早くに合格が決まるので、学校が決まったら、中1の1学期までの数学を予習してください。一般入試の子たちと差が付くとしたら、数学です。
Q. 子ども自身に「この学校に行きたい」という目標が定まりません。
いろいろな学校の見学に連れていきましょう。学校それぞれの特徴やメリットを知ることで、子どもがやる気になって目標が定まってくるはずです。
お話を伺った方
須藤 聡美氏 JОBA帰国生相談員
海外・帰国子女教育専門機関JОBAにて帰国生を応援する。JОBAの教育相談や通信教育、講習会、帰国子女センター試験、学校フェスについての詳細はコチラでチェック。