昨日に続き、大手総合就職・転職情報会社である株式会社学情が行った内々定に関するアンケートをチェックしていく。2社以上の内々定を獲得した学生のうち約6割がすでに内々定企業を1社に絞り込んでいることが分かったが、同時に複数の「内々定」を保有することについて、学生たちはどう思っているのか?
結果、「抵抗がある」「やや抵抗がある」と回答した学生が38.3%に上った。「自分が内々定を持っていることで、他の学生が採用されるチャンスを奪うことになってしまう」「企業に迷惑がかかると思う」などの声が挙がっており、他の学生や企業の採用計画への影響を考慮し、「複数企業の内々定を持つこと」に「抵抗」を感じていると推察される。
内々定複数保有についての学生の声
・自分が内々定を持っていることで、他の学生が採用されるチャンスを奪うことになってしまう
・他の学生の迷惑になる。出来るだけ早めに決断し、連絡を入れるようにしていた
・自分のせいで、本当に入社したかった誰かの席を奪っているという感じがしてしまう
・インターンシップや選考で良くしてもらった人事担当者に申し訳ないので、早くお断りするべきだと思う
・入社する企業は1社なので、早めに辞退したほうが、後ろめたさがない
・内々定を複数持っていることは不誠実だと思う
「他者を尊重し、環境や社会に配慮する」2022年卒学生
株式会社学情の営業部門担当執行役員・歌津智義(うたづ・としのり)氏はアンケート調査の結果について次のように語る。
「昨年より、コロナ禍で『内定取り消し』が発生するケースもあり、学生は内々定を獲得後も、『複数の内々定を保有し続ける』と想定されていましたが、実際には逆の傾向となっています。複数の内々定を獲得した学生の約6割は、『内々定保有企業』を1社に絞り込み、入社意思のある企業以外には『辞退』の連絡を済ませています。『自身が内々定を持ち続けること』で生じる、他の学生や、企業の採用計画への影響を考慮し、『複数企業の内々定を持つこと』に抵抗を感じる誠実な姿勢は、『他者を尊重する』『環境や社会に配慮する』など、2022年卒における特徴的な価値観の表れなのかもしれません。企業側にも、2022年卒の特徴や価値観を尊重しながら、採用活動を展開していくことが求められています」
(取材・文/大友康子)