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2025年度版 賢い一時帰国

日本への一時帰国は、子どもにとっても保護者にとっても貴重な機会。日本でしかできない用事をしっかりこなしつつ、思い出の1ページとして、いつまでも覚えていられるような滞在にしたいものです。

そんな有意義な一時帰国を実現するために、事前に知っておきたい情報をまとめました。免税については、 2023年4月から制度が変わったので注意が必要です。

日本に行く前の準備

一時帰国が決まってから到着までにしておきたい準備事項をまとめました。「何をしたいか」といった行動計画のリストアップから日本での通信手段の確保などの事務的な作業まで多岐に渡ります。

日本に行く前の準備 To Do List

決定後すぐ 日本での滞在場所の手配 体験入学対象校のリサーチ
学校見学対象校のリサーチ 一時帰国中に通う進学塾のリサーチ
通学中の学校や習い事への欠席連絡 使用人等への連絡
3~2カ月前 航空券の予約・購入 一時帰国中の海外旅行保険の申し込み
パスポートの有効期限の確認 日本の運転免許の有効期限の確認
体験入学校管轄の教育委員会への連絡 体験入学する学校への連絡(挨拶等)
学校見学する学校への連絡(挨拶等) 進学塾の季節講座や模試の申し込み
家族旅行実行や行事参加のための手配 健康診断や人間ドックの問い合わせ・予約 <1>
歯科・眼科検診のリサーチ・予約 <2> 親戚や友人との約束
住宅メーカーとの面談調整
1カ月~一時帰国前日 空港までの移動手段の手配 帰国後の出迎え依頼
手荷物の準備 日本円への換金
日本でのレンタカー手配 <3> お土産のリストアップ・購入 <4>
国民健康保険についてのリサーチ・準備 <5> スマホ・Wi-Fi など通信手段の予約 <6>
保険見直しの予約 美容室やエステの予約
ガス・水道・電気の開通連絡(持ち家) 日本国内配送のみの通販サイトでの購入
一時帰国すぐ 自動化ゲートを通らずに入国スタンプを押してもらう レンタカーの引き取り
スマホ・Wi-Fiなど通信手段の引き取り 国民健康保健の手続き
ガス・水道・電気の開通作業(持ち家)

1.健康診断や人間ドッグの問い合わせ・予約

まずは被保険者の属する会社の人事部などに確認

健康診断と人間ドックどちらも一時帰国の際、夫など被保険者だけでなく、被扶養者となる家族の受診機会を設けている健康保険組合があり、費用が低額負担や免除になるケースも。内容や手続きはそれぞれ異なるので、まずは夫の会社の人事部などに問い合わせるといいだろう。確認や手続きには時間がかかることがあるため、問い合わせは一時帰国の2〜3カ月前(または一時帰国決定後すぐ)にするのが望ましい。

2.歯科・眼科健診のリサーチ・予約

健診は基本的に全額自費 治療費には多くが補填される

歯科や眼科検診の機会を設ける健康保険組合もある。一時帰国期間に加入する一般的な保険(海外旅行保険)は検診目的での受診には適用されず、緊急治療以外での受診は全額自費負担に。治療は補償可だが、保険会社によって条件がまちまちなのであらかじめ確認しておきたい。

3.日本でのレンタカー手配

アクティブに動くなら中長期のレンタルを

短期間ではなく、「日本滞在期間(1週間~1カ月程度)を通した中長期のレンタル」をする家族も多い。1日当たり2,000円〜3.500円と一般的なレンタカーのおよそ半額~三分の一といった安い料金で借りることができる。人気なのは大荷物を積めるミニバンだとか。空港発着のサービスをするレンタル会社も多い。

中長期のレンタカー相場

※カーナビ、ETC、任意保健料込

コンパクトカー(5人乗り) ミニバン(7人乗り)
1週間 25,000円前後 40,000円前後
1カ月 60,000 円前後 80,000 円前後

4.お土産のリストアップ・購入

選びたいのはやはり滞在地の名産品

編集者のおすすめは次の通り。

●スナック菓子 ●ナッツやドライフルーツ ●ランチョンマット ●エコバックやショッピングバッグ ●ファッション小物 ●紅茶 ●クリスマスやハロウィンの飾り

日本への「持ち込み禁止品」

食品・・・ハムやソーセージなどの肉製品、果物など。
植物・・・土がついている花や木、植物の種など。
毛皮、皮革製品、象牙製品・・・ネコ科の動物の毛皮、爬虫類の皮で作られたバッグなど。有名ブランド品のコピーも規制対象。

5.国民健康保険についてのリサーチ・準備

滞在する地区町村の役所に問い合わせ

一時帰国中に決まった生活拠点がある場合は、住民票をその市区町村に移して国民健康保険に加入することを検討してみてもいいだろう。加入できればもちろん保険料を支払うことになるが、滞在中のケガや病気のときに、または健康診断を受けるときに、お金の心配をさほどすることなく医者にかかることができる。まずは市区町村に問い合わせて加入したい旨を伝え、手続きに必要なものの確認を。海外に戻るときは転出届の手続きに加えて、国民健康保険脱退の手続きも忘れずにしよう。

6.スマホ・Wi-Fiなど通信手段の予約

近年、使用目的に合わせ細かい調達が可能に

最近では「現在使用中の自身のスマートフォンをそのまま使いたい」ということで、ポケットWi-Fiをレンタルする人が増えている。予約はレンタル会社のHPから。1日あたり100〜300円程度で借りられる場合が多く、受け取り・返却は空港などで直接、あるいは郵送で。電話機能を頻繁に利用する場合はレンタルのスマートフォンや携帯電話の利用を検討したい。SIMカードのみをレンタルしたり、プリペイドSIMカードを購入したりする方法もある。希望に合うものを調べてみよう。

期間中、子どもに体験させたいこと

海外在住の小中学生のほとんどが一時帰国中に体験するものといえば日本の学校への体験入学ですが、それ以外の有意義な過ごし方を紹介します。お子さんの性格や意欲を尊重しつつ、計画を立ててみてはいかがでしょう。

1.受験の準備

本帰国後、学校への進学を予定している場合は、左記(例)のことの検討を。ネット検索やオンラインサービスでは分からないことや、海外ではなかなかできないことに集中して行いたい。

 学校説明会・相談会への参加、志望校訪問、学校の寮訪問、帰国生対象の塾などの期間プログラム受講、模擬試験受験

2.世界遺産巡り

現在(2024年2月末時点)、日本には北海道から沖縄県まで27の都道府県に25件の世界遺産が点在する(文化遺産20件、自然遺産5件)。このほか、直接見に行ける国宝や重要文化財もある。

3.社会・歴史教育

社会科の教科書に記載されている史跡や遺跡、文化財など伝統文化に関する事柄は押さえておきたいところ。博物館ほか体験型パークに行くのも有益。

 ウポポイ(民族共生象徴空間)(北海道)、国立歴史民俗博物館(千葉県)、江戸東京たてもの園(東京都)、東京国立博物館(東京都)、伊賀流忍者博物館(三重県)、東映太秦映画村(京都府)

4.工場・産業見学

お菓子や飲み物などの食品、おもちゃ、文房具など様々な製品を作る様子が見られる工場見学。多くは予約制で、人気の工場は数カ月先まで予約で埋まっていることもある。

また、野菜や果物の収穫や、田植え稲刈りなどの農業体験も、近年、宿泊や親子参加型など様々な日数や形式で数多く開催されている。

5.日本の祭り体験

2023年5月にCOVID-19がインフルエンザと同等の5類になったことを受け、多くの祭りが復活または制限のない通常開催となっている。有名な祭りのほか、一時帰国での滞在地周辺の祭り(盆踊りなど)の予定も確認しておきたい。

 【日本三大祭り】神田祭(東京都・5月)、祗園祭(京都府・7月)天神祭(大阪府・7月)【東北三大祭り】青森ねぶた祭(青森県・8月)、秋田竿燈(かんとう)まつり(秋田県・8月)、仙台七夕まつり(宮城県・7月)【四国三大祭り】阿波おどり(徳島県・8月)、よさこい祭り(高知県・8月)、新居浜(にいはま)太鼓祭り(愛媛県・10月)

6.政治的教養教育

「政治的教養を養うことは、学校教育においても社会教育においてもこれに務めなければならない」と定めた教育基本法に基づき、文部科学省を中心に各省庁などが連携して「こども霞が関見学デー」を夏休みに開催している。2023年は8月2日・3日に28府省庁などが連携して実施。

また、最高裁判所でも「夏休み子ども見学会」を開催している。2023年は8月1日に小4~小6を対象に計2回(各回100名)で開催。大法廷の見学や判決言い渡し体験、裁判官による仕事紹介などが企画された。

7.スポーツ体験

子どもがスポーツ好きであれば、短期の教室や合宿に参加させるという案もある。主な主催者は、サッカー、テニス、野球、乗馬など各地のスポーツ教室であることが多い。

スポーツ教室や合宿への参加は、練習方法や勝負に対する考え方の違いなど、滞在地との違いを肌で感じられるいい機会。また、上下関係や、目上の人に対する接し方など、日本ならではの礼節や道徳観にもふれることができるはずだ。

免税のこと

大手百貨店、大手ドラッグストアなど「免税店」の許可を受けた店舗では、条件を満たせば免税を受けることができる。

対象者…日本国籍を有する非居住者(※1)

●日本国内以外の地域に、引き続き2年以上、居住していることを証明書類(在留証明書(※2)または戸籍の附票の写し(※3))で確認できる者。

※1…外国籍を有する方は「短期滞在」「外交」「公用」の在留資格を持つ方が対象です。※2…在留証明…原本。「住所(または居所)を定めた年月日」および「本籍の地番」の記載が必要です。※3…戸籍の附票の写し…原本。「本籍の地番」の記載が必要です。

対象物品…通常生活の用に供される物品(一般物品、消耗品)

一般物品(家電製品、鞄、靴、洋服、着物、時計、宝飾品、民芸品)…「1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5,000円以上」

消耗品(食品、果物、飲料、化粧品、医薬品)…「1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5,000円以上、50 万円までの範囲内であること」、「消費されないように指定された方法による包装がされていること」