勉強をはじめ、ダンスやアートなど、さまざまな分野のレッスンを定額無制限で受講できるサブスクリプション方式(月額固定)の教育サービス「スタコレ(Study Collect)」が話題を呼んでいる。
ライバルは、スクールではなくゲームやテレビなどのエンタメ
スタコレの講師陣は、採用率8%という狭き門をくぐり抜けた精鋭たち。中には海外で活躍する講師もおり、ハイレベルなレッスンを受けられると評判を呼んでいる。
「応募者全員とオンライン面接を行っていますが、スタコレの採用基準は“子どもに見せたい大人の背中を持っているか”ということ。キャリアはもちろんですが、我々が掲げるビジョンに共感していただけることや、内部の勉強会にも積極的に参加してくれるような成長意欲の高さも、講師を採用する上で大切な要素と考えています」(CEO:米倉久曜さん)
興味深いのは、スタコレのライバルは、スクールではなくゲームや動画配信サービス、テレビといった“子どもたちの放課後時間”を奪っているあらゆるエンタメだと捉えているということ。講師たちは、子どもたちが勉強や習い事を“エンタメ”として楽しみながら積極的に学べるレッスンを日々研究していて、コンテンツづくりに多くの時間を割いている。人気講師は、毎回新たなオリジナル教材を準備するなど、生徒に飽きさせないための準備にも余念がない。
「教育やエンタメに関するさまざまな理念を講師陣と共有するために、毎日のフィードバックも怠りません。子どもたちが、『ゲームをするよりも、遠くに住む講師や友達と一緒に学びたい』と思えるようなレッスンを展開できているオンラインスクールは、現状スタコレだけだと自負しています」。(米倉さん)
マスク無しのオンラインレッスンだからこそ養えるコミュニケーション能力
オンラインレッスンのデメリットが語られることもあるが、コロナ禍にある現在は特に、「対面式の授業やレッスンに勝るメリットがある」と米倉さんは語る。
「現在の対面式の授業やレッスンで最も欠けているものは、“表情”。教師も生徒も、マスクを着用することが日常化しており、目以外のビジュアルから表情を読み取ることが困難になっていますが、本来、子どもたちは自分と関わる友人や大人の口元、そして顔全体から表情を読み取り、さまざまな感情を学んでいきます。こうした表情から『相手はどう感じるか』という客観性やコミュニケーションを本能レベルで習得していくんですね。こうしたスキルは、僕らが大切にしている非認知能力の根幹としても挙げられる“EQ”や“コミュニケーション・社会性”という部分に直結していくと考えています」(米倉さん)
一斉休校が解除された現在もオンラインのスクール事業に力を入れているのは、「指導者の表情が見えることの大切さを伝えたいから」だとも。
「この先も、しばらくマスク着用の常態化による感染予防は続いていくので、オンラインレッスンが、メイン学習の場としても補助学習の場としても活躍していくと信じています」と米倉さん。オンラインの習い事は、子どもたちのスキルアップに相互で働きかけてくれるようだ。
(取材・文/松井さおり)
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