東京都の私立中高における帰国生入試の厳格化、中高一貫校の高校募集停止が相次ぐなど、中高の帰国生入試を取り巻く状況は転換期を迎えています。変化の内容と対応策について、帰国生入試の専門家・大神田氏に伺いました。
入試が厳格化、受験計画を入念に
東京都私立中学高等学校協会は2024年度から帰国生入試の出願資格を「海外滞在1年以上、帰国後3年以内」と明確化。さらに、昨今の入試日程の早期化も問題視し、2024年度入試は「11月10日以降」、2025年度入試は「11月20日以降」の実施を定めた。これに対し、帰国生入試の専門家・大神田氏は「併願校選びや受験スケジュールを今まで以上に入念に情報収集したうえで決定するのが肝心」と言う。今までは早いところでは9月から始まり1月末まで続いていたため、志望度の低い学校から受け始めて後のほうで第一志望を受験という理想的なスケジュールを組みやすかったが、それが難しくなったからだ。
「入試日が早いことにより、特に高校の帰国生入試では一部の学校で最後に習う単元(数学なら三平方の定理等)が出題されない傾向がありましたが、今後はきっちり最後の単元まで学習しておくのがよさそうです」(大神田氏)
高校募集継続校に人気が集中
また昨今、中高一貫校の「高校での募集停止」が広がっている。理由は「中3で高校範囲の先取り学習を進めている中入生と高入生ではスタート位置が違い、高校のカリキュラム運営が難しい」ことや、「学校がアピールしたい合格実績で難関大学合格者の多くは中入生が占めていることが多い」ことなどが考えられる。いずれにしても、高校募集を廃止した中高一貫校では〝中学入試〟が、大学の附属校などをはじめ高校募集を継続している中学一貫校では〝高校入試〟での人気に拍車がかかっている。そのため、「ほんの数カ月の受験対策では、とても太刀打ちできません。募集に動きのあった学校では特に、今までより早くから受験対策を始める必要が出てきています」(大神田氏)
お話を伺った方
JOBA教育カウンセラー
大神田 篤(おおかんだ・あつし)氏
約17年の中国滞在を経て2020年夏に帰国。JOBAにて海外生・帰国生のサポートに携わる。帰国子女入試に関する教育相談やオンライン授業などの情報は 海外・帰国子女教育専門機関JOBA