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世界で進むSTEM(ステム)教育、日本ではどうなってるの?③|駒込中学校・高等学校の事例

日本初!高校3年間を通してのSTEM教育を実施

私立の中高一貫校である駒込中学校・高等学校は、2017年度より高等学校の一部コースにてSTEM教育を導入。高校3年間を通じてのSTEM教育実施は、日本初の試みとなる。

理系と文系の全科目でSTEM的な考えを導入

駒込高等学校では2017年度より、理系先進コースにおいてSTEM教育を導入した。その経緯を同コース主任・石井彰人(いしい・あきひと)氏はこう話す。

「高校3年生に進路指導をするうちに、大学に入学してもやりたいことがわからず中退してしまう人がいることを残念に思うとともに、大学進学をゴールとする教育に限界を感じました。自分は何をしたいのかを考えて、それを学べる場所へ進むことが本来の姿ではないのか。進路指導を見直すなかでSTEM教育を知り、“これだ”と思いました」

理系先進コースの特長は、日本ではいち早くSTEM教育の研究を始めた埼玉大学STEM教育研究センターと提携して行う「STEM教育特別講義」や「科学倫理」、「実践数学」の3つの授業があることと、文系科目でもSTEM教育の考えを取り入れていることだ。

「3つの授業を通じて、自分の意見を持つこと、世の中にはさまざまな考えがあることを知ること、科学を扱ううえでの倫理観・技術を生活に応用することなどを学びます。ただし、3つの授業だけがSTEM教育ではなく、各科目と相互に関連させることで意味を持つのです」(石井氏)

生徒自ら〝ロボコン〟に参加して決勝進出を果たす

初年度の生徒たちへの手ごたえを石井氏に聞いた。

「多くの生徒が自分の考えを発表できるようになりました。私が一番嬉しかったのは、生徒数名が自主的に世界的なロボットコンテストに出場し、日本国内の決勝大会へ進出したことです。麦の種まきから刈り取りまでを自動で行う機械をつくったのですが、学んだ技術をどうしたら生活に役立てられるのかを真剣に考えたことが伝わってきました」

石井氏は日頃から生徒たちに、「授業で学んだことは受験のためではなく、人生を豊かにするためにあるんだよ」と伝えているという。さらに、こう続ける。

「特定の技術ができるだけでは、AIにとってかわられてしまいます。AIはひとつの能力は秀でていても、さまざまな能力を柔軟に組み合わせて使うことは現段階では難しい。それをできるのは人間だけです。だからこそ、STEM教育を学ぶことが大切なのです」

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