昨日はレバレジーズ株式会社が運営するフリーター・既卒・第二新卒向け就職支援サービス「ハタラクティブ」が、新卒で入社した会社を半年未満で退職した経験がある男女300名を対象に実施した、短期離職の調査結果をチェックした。短期離職者の約2割が1週間未満で退職を検討し始めていたり、短期離職者の約4割はその会社の就活中の志望度は高かった実態などがわかった。
本日も調査結果の続きを見ていこう。
【短期離職についての調査概要】
調査対象 | 2019年~2023年に大学を卒業し、新卒で入社した会社を半年未満で退職した経験がある男女300人 |
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調査年月 | 2023年9月15~25日 |
調査方法 | インターネット |
3人に1人「他者のSNSでの短期離職の発信」が退職に影響
「退職を考えたきっかけとして影響を受けた外的要因」について問うと、半数以上の62.3%が「会社の上司や先輩の発言」と回答。一方で、3人に1人(32%)は第三者の「SNSによる退職を検討している投稿」と回答した。「同じ悩みを抱えている」「自分は少数派ではない」などの安心感をSNS上で感じることが、短期離職の決断を後押ししているようだ。
また、約4割(39.7%)は「早期転職に対するポジティブなイメージ」が短期離職に影響していると回答した。昨今では、「第二新卒」の文言をアピールしている「卒業後約3年以内の人をターゲットとした求人」は、web上の求人サイトでも多く見受けられる。「経歴が浅いうちに転職活動を行う」や「違和感を感じたら早めに判断をするべき」といった認識が広がっているのかもしれない。
短期離職後の転職活動、半数以上が苦戦
半年未満の短期離職後の転職活動について聞いたところ、半数以上が「苦戦した」53.9%と回答。
苦戦した理由で最も多かったのは、「資格やスキルが足りない」41.4%、「希望する求人が見つからない」41.4%となった。短期離職後の経歴やスキルでは、希望する条件や環境の求人は見つけることが困難であったり、見つかったとしてもその求人の応募条件に達していないケースが多いようだ。
3人に1人は、「面接がうまくいかない」35.1%、「書類が通過しない」30.6%を挙げている。「第二新卒」などの早期離職に対するポジティブなイメージを持っている人は多いものの、実際はうまくいかずに苦戦している人が一定数いることが見受けられた。
短期離職につながるミスマッチの削減に注力を
調査を行った「ハタラクティブ」は今回の結果に対し、採用する企業サイドに向けて次のように語る。
「直近5年間に新卒として入社した社員は、入社後にギャップを感じると、早い段階で退職を決断している傾向にあることがわかりました。半年未満で退職した人のおよそ4割が、退職理由について『仕事内容が大変だった』ことを理由に挙げています。短期離職には採用段階で企業側が『情報を詳細に伝えきれていない』ことが入社後のギャップに繋がっているケースや、採用のミスマッチが影響している可能性が大きいのではないでしょうか。
総務省の調査によると、SNSの利用経験が『ある』と回答した20代は約8割に上り、他の年代と比較して20代のSNSの利用率は高い傾向にあります。今回の調査結果でもSNSの影響は色濃く、半年未満の短期離職をしている人の3人に1人が『短期離職に関してSNSの影響を受けた』と回答しています。短期離職のきっかけは、会社の上司や友人といった身近な人からの影響のほかにも、SNSを通して自身とは関係のない第三者の影響も受けやすいことが見受けられました。
SNSにはレコメンド機能があるものが多く、一度検索をかけると興味・関心を持った話題の関連記事や動画は、自然と表示されるようになります。その結果、『他の人も入社後にミスマッチを感じている』『違うと思ったら退職した方がいい』などといった第三者の意見に触れる機会が必然的に増え、『自分一人だけではない』といった安心感が、短期離職を後押ししているのかもしれません。
今後、人手不足による採用の売り手市場は、より一層強まることが予想されます。企業は、採用数を確保するだけではなく、いかに長期的に勤務し会社に貢献してくれる人材を採用段階で見極めることができるかを重視する必要があります。若い世代の社員の定着率を課題にしている企業は、『採用段階で企業側の情報を詳細に伝え、採用のミスマッチをどれだけ減らすことができるか』に注力することが求められそうです」
(取材・文/大友康子)