全国の学童保育(放課後児童クラブ)の入所児童数は121万1522人で、前年に比べどの学年でも増加。待機児童数は1万6957人にのぼることが、全国学童保育連絡協議会の調査で明らかになった。同調査は毎年実施しており、今回も1741すべての市町村を対象に調査基準日を2018年5月1日として実施した。
2018年5月の学童保育の入所児童を学年別の割合でみると1年生が31.5%、2年生が28.1%、3年生が21.7%、4年生が11.1%、5年生が5.1%、6年生が2.5%だった。
入所児童数は前年に比べ6万3204人の増加でどの学年でも増加している。特に4~6年生の増加が目立ち、4年生が前年比109.8%、5年生が113.3%、6年生が115.1%だった。
学年別の入所児童数と割合の推移(人)
1年生 | 2年生 | |
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2015年 | 343,502 (33.8%) | 298,806 (29.4%) |
2016年 | 351,666 (32.7%) | 312,310 (29.0%) |
2017年 | 368,336 (32.1%) | 324,858 (28.3%) |
2018年 | 381,184 (31.5%) | 340,377 (28.1%) |
増加数・前年比 | 12,848 (103.5%) | 15,519 (104.8%) |
3年生 | 4年生 | |
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2015年 | 224,715 (22.1%) | 92,173 (9.1%) |
2016年 | 237,975 (22.1%) | 106,057 (9.9%) |
2017年 | 251,512 (21.9%) | 122,006 (10.6%) |
2018年 | 263,498 (21.7%) | 133,983 (11.1%) |
増加数・前年比 | 11,986 (104.8%) | 11,977 (109.8%) |
5年生 | 6年生 | |
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2015年 | 37,007 (3.6%) | 19,711 (1.9%) |
2016年 | 45,433 (4.2%) | 21,933 (2.0%) |
2017年 | 54,201 (4.7%) | 26,497 (2.3%) |
2018年 | 61,389 (5.1%) | 30,500 (2.5%) |
増加数・前年比 | 7,188 (113.3%) | 4,003 (115.1%) |
その他※ | |
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2015年 | 1,515 (0.1%) |
2016年 | 1,197 (0.1%) |
2017年 | 908 (0.1%) |
2018年 | 591 (0.0%) |
増加数・前年比 | ▲317 (65.1%) |
※その他は、幼児も対象とする学童保育があるため
この4年生以上の児童数の増加は、児童福祉法の改正が背景にある。これまでの児童福祉法では学童保育の対象者を「10歳未満の児童」、つまり小3以下の児童としてきたが2015年4月に改正された法が施行され「小学校に就学している児童」(=全学年の小学生)が対象となった。
もちろん自治体や施設によって受け入れ体制は様々で、この法律の改正以前から高学年が通うことができた学童保育もあれば、法改正後も財政上の理由などから6年生までの受け入れを制限している自治体もある。
学童保育に入れない「待機児童」数は約1万7000人
学童保育に申し込みをしても、入所がかなわない子どもたちは「待機児童」と呼ばれる。
2018年度の学童保育の待機児童数は全国で1万6957人。都道府県別にみると東京都が3812人と最も多く、次いで埼玉県が1655人、千葉県が1455人となった。
一方で待機児童数を把握している自治体が1449あったのに対し「把握していない」と答えた自治体は165。この理由としては、これまで学童保育には定員や規模といった国の基準がなかったため自治体や施設によっては入所数に制限を設けておらず、具体的な待機児童数の把握ができないこと。また公営や公設民営の学童保育以外では、保護者が運営者や施設に直接申し込むことが多く、市町村が実態を把握できていないという現状があげられる。さらに小学校の学区内に学童保育がない校区は2935(全体の15.2%)存在するなど課題は多い。
2018年5月、文部科学省は厚生労働省と共同で放課後児童クラブの待機児童の早期解消や活動内容を充実すべく「新・放課後子ども総合プラン」を策定したと発表した。学童保育のさまざまな課題解決策として期待したい。
参考
学童保育とは、就労しているなどの理由で保護者が家庭にいない小学生を対象に、学校がある日の放課後と土曜日、春・夏・冬休みなどの学校の長期休業日に子どもの生活を保障する施設。平日は放課後以降に児童を受け入れ、18時半から19時まで、長期休業日など朝は8時もしくは8時半からを開所時間とする施設が多い。運営主体は公立公営が全体の約3割を占め、その他に行政から委託や補助などを受けた社会福祉協議会、NPO法人、民間企業などがある。
(取材/文:橘晶子)