帰国後の選択肢として高い人気を誇る、私立の中学校(多くは中高一貫校)。
近年、入学競争は熾烈です。保護者として、滞在中から準備をしっかり始めておきましょう。
情報収集
帰国のタイミングがいつきてもいいように、子どもに合った学校を子どもと一緒にリストアップしておこう。
志望校の代表的な探し方
❶ 模擬試験や英検、TOEFLなどを受けて学力・英語力を把握する
❷ インターネットで総合&学校独自のサイトを閲覧
❸ 日本から受験関連の情報誌を入手
❹ 海外にある「日本の受験塾」で情報を入手
❺ 海外の大都市をメインにして行われる、日本の学校の(合同)説明会に参加
❻ 一時帰国を利用して、日本で行われる「学校説明会」や「入試説明会」「学校フェア(JOBA主催)」などに参加
❼ 一時帰国時などに、文化祭などの学校行事を見学
❽ 各学校に直接電話やメールで問い合わせる
学習の準備
教科試験対策は、選考方法に沿って行うのが効率的だ。
入学試験
帰国生専用に、「国語」、「算数」(理科、社会)が出題される場合、問題の多くや合格基準は「一般入試の基礎的なレベル」だ。それを念頭に置き、学習を進めておきたい。
〝一般入試とほぼ同一〟で実施・選考されるなら、国内生と同様、通信教育や進学塾を活用するなど、さらなる対策が必要だ。
「外国語(英語)」が出題される場合は、概してレベルが高い。入手できれば過去問題や高校の参考書を使って学習を進めたい。また、教科試験が「外国語(英語)のみ」であれば、難易度はさらに高い。外国語能力試験などの問題集で、文法、語彙、読解力、文章作成能力などを強化しておくとよい。
編入学試験
基本的には入学試験と同じ対策で良いだろう。ただし、「試験直前の学期」で履修した範囲から出題されることが多いため、あらかじめ志望校の進度を確認しておきたい(私立校は総じて進度が早い)。「算数」が「数学」に変わることにも注意。
作文使用言語は「日本語」または「外国語(英語)」。「外国語(英語)」の場合に注意すべきなのは、口語英語の力だけでは不十分ということ。文法や文章表現としての語彙がしっかり見られる。問題意識を持って自らの考えを決まった文字数で記述する力をつけることも大切だ。
作文のテーマ例
◎住んでいた国や街で見つけたもの。 ◎住んでいた国や街の人々へ ◎温暖化を防止するためにあなたにできることは何か ◎戦争がなくならないのは何が欠けているからか ◎自分が感じた日本のよさ ◎一番悔しかったこと ◎ファーストフードについ て、良いか悪いか自分の意見を述べよ ◎私と花について ◎海外生活のなかで、一番心に残っている行事について
◎For all its good and evil, technology appears to be here to st ay. Imagine a world without technology. What would you do after the sun went down? What would you eat? How would you get to school? In short, what would an average day in your life without technology? Write an essay describing how a day in your life would be witho ut technology. Be sure to use comparisons with how your life is presently to illustrate the differences. If you have time, conclude with a paragraph about what technology you would miss the most and why. ◎Why do you think so many Japanese people seek out and purchase expensive brand-name items? Write an essay explaining the reason(s) why and exploring those reasons in greater detail. You may use specific examples from your own experience, observations, and reading to help back up your analysis. ◎If you could create a new international public holiday, what would you call it and what would the purpose be?
◎あなたにとって、大人と子どもの違いは何か ◎あなたは日本に似た国の指導者になって3つの決まりを作ることになった。あなたは どんな決まりを作るか。また、その理由を述べよ ◎あなたが大切にしているものをひとつあげなさい。なぜ大切にしているのかについて も書きなさい ◎自分の住んでいた国・地域から日本に輸入したいもの ◎私の好きな街 ◎自分が住んでいた国で問題だと思 うことは何か。自分が改善するとしたら、どのような方法で改善するか ◎魔法の薬で、3日間、自分の好きな動物になりました。その3日 間で体験したことを書きなさい ◎「□□□の思い出、今願うこと」(□に住んでいた国を入れる) ◎印象に残る日本人の行動 ◎東海村で死者が出た新聞記事を読んで、「福島第一原発についてどう思うか。また、どういう取り組みをすればよいか」
◎The Poet Wordsworth once wrote, ”Getting and spending, we lay waste our powers.” In other words, focusing on earning and spending money is a waste of human potential.……Do you agree with Wordsworth? In a carefully written and reasoned essay, explain why or why not. Be sure to clearly state your position and to offer evidence from your own experience or reading to support your claim. ◎According to a recent survey, over 90% of Japanese women in th eir 20s own a brand-name fashion item, like an expensive designer handbag or shoes.……Why do you think many Jap anese people seek out and purchase expensive brand-name items? Write an essay explaining the reason(s) why and exploring those reasons in greater detail. You may use specific examples from your own experience, observations, and reading to help back up your analysis.
使用言語は「日本語」が多いが、「外国語(英語)」の場合も。表現方法を学ぶほか、経験や考えを整理しておくとよいだろう。
面接での質問例
◎住んでいた所はどんなところか ◎自分の住んでいた国の好きなところ(良いところ)嫌いなところ(悪いところ) ◎海外(住んでいたところ)と日本はどう違うか ◎海外で印象に残ったこと ◎海外生活で楽しかったこと ◎海外で学んだこと ◎海外で大変だったこと ◎海外で何か作ったものはあるか ◎通っていた学校はどんな学校だったか ◎日本の学校と現地校の違い ◎学校で楽しかった思い出について ◎学校生活で印象に残ったこと。どんな教科を習ったか ◎どうやって英語を身につけたか ◎海外でどんな遊びをしたか ◎友人の名前
帰国後の生活・思い◎帰国後苦労したこと ◎帰国後どのようにして英語を維持しているか ◎将来英語の力をどのように生かしていきたいか ◎日本のよいところ ◎海外でどこに行きたいか
一般的な質問◎自己紹介 ◎志望理由 ◎入学後何をしたいか ◎将来の夢 ◎自分の長所・短所 ◎最近読んだ本について ◎趣味 ◎暇な時は何をすることが好きか ◎本校にどんなことを望むか ◎好きなスポーツについて ◎他にどんな学校を受験しているか ◎テストの出来 ◎毎日家庭学習は出来るか ◎規則を守ることは出来るか
出願書類の手配&作成上の注意点
近年、WEB(インターネット)出願ができる学校が急増。パソコンやタブレットのほか、顔写真のデータ、PDF閲覧ソフト、プリンターも事前に用意しておきましょう。
1. 入学願書
記入例などを参考に、丁寧で読みやすい字で書く。日本の住所が定まっていなくても「仮住所」を記入する必要があるので、親類などに了解をとっておくとよいだろう
2. 現地在籍校の成績証明書・成績表・在学証明書・卒業証明書
学校によって提出書類は異なる。「成績証明書(コピー)」や「成績表(コピー)」を提出するのが一般的だが、「在学証明書」や「卒業証明書」を提出する場合も。また、これらの書類の「和訳」の添付を義務付ける学校もある。この場合は、成績表の評価基準の説明書きも付けておきたい(例:「1が一番良く、5が一番悪い」など)。
3. 海外在留証明書
海外にどれくらいの期間在留していたかを証明する書類。通常、勤務先に依頼すれば、公印のあるものを発行してくれる。このほか、独自の指定用紙への記入や、パスポートのコピーを提出させることによって、出国・帰国日の確認をするところも。
4. 授業料納入証明書
受験料を出願時に現金で直接支払う学校もあるが、前もって銀行へ振り込み、 その領収書を出願書類に同封する場合が多い。直接銀行へ出向く以外の振り込み方法(ネットバンキングやATM)にする場合は、証明書をどのようにするか、しっかり確認を。場合によっては、親類に依頼する必要も出てくる。
5. 活動記録・海外歴表・推薦状など
上記の提出を求める学校も。いずれも作成には時間がかかるので、締め切りには注意。
6. 日本国内の小学校の成績証明書(調査書)※帰国後に通った場合
帰国してから日本国内の小学校に通った場合は、卒業までの通知表のコピーを 提出するのが通常だ。学校によって、「海外帰国子女証明書(書式自由)」や、帰国後に在籍した小学校の学校長に「在外歴の証明を求める」というように、独自の書類を要求されることもある。
情報の窓口
海外での情報収集に便利なウェブサイト
JOBA On Line
主催/海外・帰国子女教育専門機関JOBA
海外・帰国子女のための中学進学情報
主催/ NGS日能研グローバル・サービス
海外から取り寄せできる進学ガイドブック
『海外・帰国生のためのスクールガイド Bibros』
編/ JOBAビブロス編集部 出版/東京学参(株)
『帰国子女のための学校便覧』
編・発行╱(公財)海外子女教育振興財団
『母親が歩いて見た帰国生のための学校案内 首都圏版 中学・高校編』※PDF版あり
編・発行╱フレンズ 帰国生 母の会
『帰国生への学校案内≪関西≫』
編・発行/関西帰国生親の会かけはし
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