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2024年版|帰国生入試で高校に入る方法①

日本全国で増加中の高校での「帰国生入試」。概要、実態、準備方法をお伝えします。

出願資格

帰国生入試に出願するための資格は、主に次の2つ。

❶すでに海外・日本国内合わせて9カ年の学校教育課程(小学・中学課程)を修了している、または入学年の3月末日までに修了見込みであること。

❷海外の学校に継続または通算して在籍した年数が一定以上あり、帰国日から受験する日までの年数が経過しすぎていないこと。

❷の年数は2年以上、「帰国から受験までの経過期間」は1〜3年の間で設定されることが多い。そのほか追加される場合、「入学後は保護者と同居すること」、「指定する通学地域に居住すること(または、その予定があること)」、「保護者の帰国後に受験者本人だけで在留した期間や、本人単独で留学した期間は、海外の学校での在籍年数に含まない」などが代表例だ。

選考方法

首都圏の一般入試では、私立は3教科(英語・数学・国語)、国公立では5教科(英語・数学・国語・理科・社会)での学科試験を中心にした選考が行われている。

しかし帰国生入試では、国公私立問わず海外で受けてきた教育内容に配慮して一般入試とは別の観点から評価できるよう工夫されていることも多い(下記参照)。学科試験の教科数が5教科ではなく、3教科に軽減されているケースもある。

帰国生入試における4つの主な選考方法

書類・作文・面接 「帰国生の受け入れ」を主な目的として設置された学校を中心に実施。学科試験は行わず、海外で在籍していた学校での成績表や活動歴などを記した「書類」、日本語または外国語(英語の場合が多い)による「作文」、「面接」で選考する。
英語力を重視 私立の進学校などで実施。学科は「英語」のみ、またはそれに「国語」が加わったり、「作文」「適性検査」「面接」が加わることも。3教科の学科試験を課す場合でも、「出願書類の英語能力試験の成績を含めて評価」するなど英語力を重視した措置が執られている。
帰国生専用の問題 一部の学校で実施。専用に作られた学科試験(3教科または5教科)で選考される。「数学」「国語」は一般の入試問題より難度を下げる、「英語」をやや難しくするなどの工夫がされることも。
一般と同じ問題 国公私立の難関校で多く実施されている。一般生と同等の学力を要求するもので、帰国生には合格基準点を若干下げるなどの配慮がされることもあるが、競争はかなり厳しい。

Point|グルーバル化で帰国生入試を本格化させる学校が増えたり、大学附属校の人気が高まったりと動向は常に流動的です。

情報収集

志望校の選定は、海外にいても可能だ。インターネットでウェブサイトを閲覧したり、海外から書籍を入手したりするほか、日本からの駐在員が多い都市に滞在していれば、現地の進学塾で情報を得ることもできるだろう。

学校(志望校)を選ぶ際、帰国生を受け入れている日本国内の学校の体制は大きく3つ(下記参照)に分かれることをふまえ、家族で比較・検討してみよう。

帰国生受け入れ校の教育体制の代表例

❶帰国生の受け入れを主な目的として設置され、生徒の大半を占める帰国生のことを中心に位置付ける教育環境を持つ学校。

❷帰国生受け入れが主な目的ではないが、日本語の補習や一般生とは異なる特別な語学クラス、帰国生にも対応した生活指導センターなど、帰国生に対する〝何らか〟の体制を持つ学校。

❸帰国生枠での入試制度は設けるが、帰国生を対象にした特別な受け入れ体制を持たず、基本は一般生と同様の教育を行う学校。

また、志望校が固まり始めたら、実際に学校へ足を運んでみたい。帰国生を受け入れている学校では、帰国生に対応した学校説明会や入試説明会を開催するだけでなく、事前に問い合わせれば個別の学校訪問に応じてくれるところが数多い。さらには、文化祭などの行事を公開していれば、それに行ってみるのも一案だろう。里帰りや一時帰国を利用して、参加してみることをぜひおすすめする。

ただし、参加には事前の予約が必要になる場合や、帰国生としての資格認定を義務付けている学校もあるので、計画はお早めに。

出願書類の手配&作成上の注意点

1.入学願書一式
最近はインターネット上で出願することができるWEB出願を採用する学校が増えているが、すべてをWEBで行えるわけではなく、WEB出願後に成績証明書や推薦書などの送付が必要になることも覚えておこう。

2.現地在籍校の在学・卒業・成績証明書(※)
学校により提出書類は異なるが、在学・卒業証明書に加え、成績 証明書(原紙)、または成績表のコピー提出が通常となっている。 「厳封」は現地の先生に説明が必要。和訳添付の場合、教科名や成 績表の評価の基準も説明しておく(例:1が一番よく、5 が一番 悪いなど)。

3.海外在留証明書
海外に何年間在留していたかを証明する書類で、通常は保護者の勤務先が発行する。パスポートのコピーの提出で出国・帰国日を確認する学校や、規定の用紙への記入を求めたり、勤務先の公印を求めたりする学校もある。

4.海外滞在歴一覧・志望理由書
本人作成の海外滞在歴の提出を求める学校も多い。志望理由書は考えをまとめ、丁寧に自筆する。

5.受験料納入証明書
支払い方法は3つ。受験料を出願時に現金で直接支払う学校、銀行に振り込んだ領収証を出願書類に添付する学校、クレジットカードで決済する学校だ。ネットバンキングやATM 振り込みでは 領収書がもらえないため、海外から出願する場合は、振り込みの手段を確認し、必要なら親戚などに依頼を。クレジットカード決 済は、WEB出願を採用する学校で可能となっている。

6.日本国内の中学校の成績証明書(調査書)
帰国後、日本国内の中学校に在籍した場合は、成績証明書(調査書)が必要になる(一般生と同じもの)。入試の日程を考え、早めに中学校の担任に依頼することを心掛けたい。

※このほかに、語学運用能力試験のスコア・各種表彰状などの提出を求める学校もある。

情報の窓口|海外から取り寄せできる進学ガイドブック

帰国子女のための学校便覧|編・発行/(財)海外子女教育振興財団

『母親が歩いて見た帰国生のための学校案内中学・高校編 首都圏版』|編・発行/フレンズ帰国生 母の会

監修(DATA除く)/SAPIX国際教育センター