昨日は、「駐在妻の帰国後の再就職は非正規が多く、待遇も赴任同行前より下がる」ケースが多いという現状を見た。では、駐在妻の再就職活動はどのように行われているのだろうか?
帰国後1年以内に再就職活動を開始
本格的に再就職活動を始めた時期については、帰国から1年未満で再就職活動を始めた方が83%と大多数。また、帰国前から活動を始めた方も16.7%いた。これは、新型コロナウィルスの影響でオンラインによる採用活動が拡大していることを反映していると思われる。本帰国後1年以内に就職活動を開始する人が大多数という結果に、駐在妻の就労意欲の高さが伺える。
また再就職先を知った情報媒体については、知人の紹介や前職といった個人的な繋がりを挙げる人が34%だった。
応募した企業数については、1-5社と答えた方が82.5%と大多数。一般的な転職での応募社数平均は8.4社、かつ年齢が上がるほど増える傾向にあると言われている。
再就職のためにやっておいてよかったことは?
帰国後~再就職に向けてやっておいてよかったことについては、就職活動、そして学習関連の行動を挙げる方が多かった。また人脈を通じた就職活動をあげる声もあった。
再就職をする上で大変だったことは?
再就職をする上で大変だったこと、後悔していることについて、再就職活動に関し「ブランクが長かったので書類審査がなかなか通らず苦労した」「焦って準備不足だった」「急いで決めてしまったので、待遇面で不満が残っている」といった声があった。焦らずにじっくり探していくことが、納得のいく結果につながるのかもしれない。
海外滞在中もアンテナを高く張って!
「駐在妻の再就職アンケート」プロジェクトリーダー・田中里枝(たなか・りえ)氏は、アンケート結果を踏まえ、駐在妻に向けて次のように提言する。
「駐在妻が自分の望むキャリアを形成していくためには、駐在妻側が心掛けていくべき部分と、企業側が変わっていくべき部分があると感じます。駐在妻側は、一般的な再就職市場ではハンデを負ってしまうという現状を認識したうえで、ブランクを抱えながらも評価される人材となるために何をしていくべきか、戦略的に考え、自ら行動を起こしていくことが求められるでしょう。
そのためにはまず、自分がこの先の人生をどう歩んでいきたいのか、どういったキャリアパスを望むのか、じっくりと自己理解を深めて、中長期的なキャリアビジョンを持つことが大事なステップになると思います。目指す方向性が明確になったら、そこに繋がる経験やスキルを、どんな形であれ積んでいくことが重要です(有償・無償問わず)。
ポジションに関連する経験は再就職において重視され、評価に繋がります。今はインターネットを通じて海外にいてもできることはたくさんあるので、ぜひアンテナを高く張って、何事にもチャレンジしてみてください。
また再就職活動をするにあたっては、これまでの待遇や働き方にこだわらない姿勢も求められてくるでしょう。雇用形態や企業規模にとらわれず、自分のキャリアビジョンに向かってまずはファーストステップを踏むことが重要です。新型コロナウイルスの影響で働き方はかなり変化してきており、柔軟な働き方を求める駐在妻にとってはチャンスが広がっています。最近は業務委託など、新しい形の働き方も増えてきています」
(取材・文/大友康子)