文系大学生の7割超「プログラミング・コンプレックス」

プログラミング必修化前の大学生の意識はいかに?
Z(ゼット)世代(1995年頃から2010年頃生まれで現在30歳前後〜15歳前後)は、生まれたときからインターネットやパソコンなどのデジタル環境が身近にあった世代で、「デジタルネイティブ」などと呼ばれます。さらに、小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度からプログラミング教育が必修化され、ITスキルを身に着けています。
しかしながら、Z世代のなかでも現在の大学2年生以上は、義務教育課程でプログラミングが必修化されていなかった最後の世代です。となると、特に大学でもプログラミングを学ぶチャンスの少ない文系大学生は、プログラミングについてどのような意識を抱いているのでしょうか?
国際NGOプラン・インターナショナル(東京都世田谷区)は、プログラミング必修化後の現大学1年生が入学する前の本年2〜3月、文系の大学生を対象に「プログラミングとキャリアについての意識調査」を行いました。その結果を見てみましょう。
【「プログラミングとキャリアについての意識調査」概要】
・調査対象 : 2025年2〜3月時点の現役文系大学生
・回答数 : 1034人
・調査期間 : 2025年2月18日(火)〜3月6日(木)
・調査方法 : インターネット
・調査主体 : 国際NGOプラン・インターナショナル
文系大学生「必修化世代の存在は社会に好影響」
まず、前年度時点の文系大学生を対象に、「プログラミング教育必修化世代が社会に出たとき、社会にどんな変化が起こると思うか」を質問。「職場のデジタル化が進む(35.8%)」「下の世代の考えに刺激を受ける(27.5%)」と前向きな回答が上位を占めました。
文系大学生「必修化世代が羨ましい」「置いていかれる」
一方、「必修化世代についてどう感じるか」を問うと、「自分たちが置いていかれそうで不安(32.2%)」「羨ましい(31.4%)」と感じる人も多いことが分かりました。
実際、文系大学生の71.8%がITスキル習得に心理的ハードルを感じており、「プログラミング・コンプレックス」といえるような意識を抱えていることがうかがえます。必要性を認識しつつも、学び直しに踏み出せない現状が課題といえそうです。
文系大学生「プログラミングが必修だったら、進路が違ったかも」
次に、小中学生の頃にプログラミングを学んでいないことがキャリアや進路に与える影響を調査。その結果、「就職活動やキャリアに影響がある」と考える学生は55.6%。約半数(47.1%)が「もし必修だったら進路が変わっていたかもしれない」と回答しました。
プログラミングのようなITスキルを学ぶ機会がなかったことを、キャリア選択に関係する要素として捉えている文系大学生が多いことが分かります。
「ITスキルを学びたい」と思う文系大学生が過半数超え
「今からでもプログラミングのようなITスキルを学びたいと思うか」どうかを問うと、「学びたい」と考える現役大学生は過半数(53.9%)にのぼりました。
習得することで「ITやデジタル分野に強くなる(46.1%)」だけでなく、「幅広い職業選択が可能になる(35.9%)」「高収入の仕事を目指せる(26.7%)」といったポジティブな将来像を描く学生も多いことが分かりました。さらに、ITスキルを身につけることで、理系企業など就職先の選択肢が広がると考える学生も56.9%に達しています。
ITスキルの未学習が進路の可能性を狭めるものではない
国際NGOプラン・インターナショナルは調査結果を次のように統括します。
「本調査で、プログラミング必修化前最後の世代である現役大学生の中に、必修化された教育課程で学んだ後輩たちと比べて『プログラミング・コンプレックス』を感じている学生が多いことが明らかになりました。
一方で、今からでもプログラミングのようなITスキルを学びたいと考える学生も多いことがわかります。近年、プログラミングを学べるサービスが増加しており、学ぶ機会は十分にあります。「国際NGOプラン・インターナショナル」では、プログラミングのようなITスキルの未学習が進路の可能性を狭めるものではないことを強調し、ITスキルに触れ、学び、身につけることで、仕事や人生の選択肢が広がることを提言します」
(取材・文/大友康子)