子どもの写真を飾ってほめる「ほめ写」が、子どもの脳に効く!?

自己肯定感の低さを「ほめ写」で改善できる?
さまざまな保育サービス「はいチーズ!」を展開する千株式会社 (東京都千代田区)は、全国の保育園や幼稚園・小学校に通う子どもを持つ保護者1225名を対象に「写真と子どもの自己肯定感に関する意識調査」を実施。その結果、子どもが写真を見返したときに「笑顔が増える」などの、良い変化を実感している人が多いことが分かりました。教育評論家の親野智可等(おやのちから)氏が中心となって提唱する「ほめ写プロジェクト」(*)の効果は確かなようです。
*ほめ写プロジェクト:「子どもの写真を飾り、日常的にほめること(ほめ写)」で、子どもの自己肯定感を向上させるという取り組み。写真を見ながら、そのときの頑張りをほめたり、赤ちゃんの時の写真などに触れることで存在そのものを肯定し愛されている実感を子どもに与えることを勧める。
近年、日本の子どもの自己肯定感の低さが社会課題となっています。こども家庭庁が2024年に発表した調査では「自分に満足している」と答えた子どもの割合は、下のグラフの通り、諸外国に比べ低い水準にあります。果たして「ほめる」と「写真」でそれを改善できるのでしょうか? 調査結果を見てみましょう。

子どもの写真、親だけで閲覧が多数
子どもの写真がいつでも見て楽しめる場所にあるかどうかを聞くと、「ある」と回答したのは84.5%でした。

写真を見返す頻度については「保護者(親)のみ」では週1回以上が55.6%と半数を超えた一方、「子どもと保護者(親)で一緒」では40.2%に減少。写真は保護者自身の楽しみになりがちで、親子で共有する機会が意外に少ないことが分かりました。

自己肯定感に不安を感じる保護者は約3割
子どもの自己肯定感について聞いたところ「不安・課題がある」と回答した人は28.7%でした。

一方で、写真を通じて「子どもが自分に自信を持ったり、前向きな気持ちになる」と感じたことがある保護者は59.1%にのぼりました。子どもが写真を見返したときに「笑顔が増える」「楽しかった出来事を具体的に話すようになる」などの、良い変化を実感している人が多い結果となりました。

「ほめ写」で自己肯定感が向上
「ほめ写プロジェクト」は、普段は写真を飾っていない32組のご家庭で、3週間「ほめ写」を体験してもらい、その前後の変化について調査したところ、「ほめ写」により自己肯定感が向上することが確認されました。

「ほめ写」を3週間実施し、脳活動の差を測定したところ、自分の写真を見るとポジティブなイメージが強化され、子どもの自己肯定感が向上する可能性があることも明らかになっています。

「家に写真を飾ること」は、「子どもの存在を認めること」
写真の活用がほめることに効果的な理由は「子どもが頑張った時の写真や大切な家族の写真を家の中に飾る」という行為そのものが、子どもの存在を認めていることにつながるためだそうです。親としても、写真を見ながらだと、自然な会話の中で子どもの努力や魅力を伝えることがしやすいでしょう。
ほめ写プロジェクトのリーダーである親野氏は「無条件にほめることによって、子どもは親の愛情を実感できるようになり、自分の存在も肯定できるようになります。すると、他者を思いやる気持ちや頑張るエネルギーが自然にわいてきます」と述べています。
筆者自身も子ども時代、アルバムを見返して、親の愛情をとても感じたような記憶があります。また親になってからは、わが子のアルバムを見返していると、子どもがそばにやってきて、嬉しそうに一緒に見ていたことが度々あったという記憶もあります。
長男・長女の時はたくさん写真を撮るのに、下の子になるにつれ、撮る写真の枚数が減りがちで、すでに子どもが大きくなった筆者も大いに反省しています。撮る枚数はともかく、家に飾る写真はぜひとも同数にして、同じように「ほめ写」をたっぷり行うのがよさそうですね。
(取材・文/大友康子)