就活における気になる巡り合わせ「配属ガチャ」
親ガチャ、子ガチャ、隣人ガチャ、上司ガチャ……。自分では選択できない運による巡り合いについて、何が出るかわからないガチャガチャ(カプセルトイ)になぞらえた「〇〇ガチャ」という表現が、Z世代を中心によく用いられるようになってきた。人生を自分で切り開くことなく環境や巡り合わせをただ嘆くようで、あまり良い言葉ではないと思うが、いまや就活において「配属ガチャ」という言葉も登場している。
大学1・2年時点から学生と接点を持ち採用へとつなげていく「リレーション採用」を支援する株式会社インタツアー(東京都港区)は、2025~2027年卒業の学生を対象とした「『配属ガチャ』についての意識調査」を実施した。今日と明日とで見てみよう。
【「配属ガチャ」についての意識調査】
調査期間 | 株式会社インタツアー |
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調査対象者 | 2025~2027年卒の大学生 |
回答数 | 958名 |
調査方法 | リレーション採用プラットフォーム「インタツアー」マイページまたはSNS経由によるWebアンケート |
調査期間 | 2024年1月22~31日 |
8割の学生「内定式までに配属先を知りたい」
配属先を告知されるタイミングについて希望を聞いたところ、最も回答が多かったのは「内定通知~内定式」65.1%。以下、「内定式後~入社式」16.7%、「入社研修の間」3.8%が続き、「希望無し」はわずか2.6%だった。
一方で、「事前にわからないとエントリーしない」は11.8%と1割以上存在している。それも合わせると、内定式までに配属先を知りたい学生は合計76.9%と8割近くに及び、より早期に配属先を知りたい希望が強いことがわかる。
対比となる企業側の配属通知時期については具体的なデータがないが、内定式後、あるいは入社後に配属先を示すのが一般的とみられ、学生の感覚とのギャップが大きいと考えられる。
“就社”よりも“就職”を意識か!?
配属先の告知が希望の時期よりも遅い場合に、辞退などを検討する要因となるかどうか、志望度に与える影響を聞いた。
「内定承諾保留や内定辞退の要因になる」と答えた学生は29.9%で、「内定辞退を検討する要因になる」31.1%と併せて6割以上の学生が志望度に影響を受けると回答。
この回答を、前問とクロス集計をすると、より傾向がはっきりとする。「内定式までに配属先を知りたい(内定通知~内定式)」学生だけを見ると、「内定承諾保留や内定辞退の要因になる」33.9%、「内定辞退を検討する要因になる」35.6%、合計69.5%とほぼ7割の学生が志望度の影響を受けると回答した。
売り手市場の影響を受けて内定承諾後でも辞退する学生が増加しており、配属先の告知時期は最終的な入社の決断要因となり得ることがわかる。
保護者世代の就活においても配属先は非常に気になっただろうが、今以上に入社前に配属先が明らかにされることはほぼなかったし、配属先告知の遅さが内定辞退に結びつくこともあまりなかっただろう。現在の学生が“就社”よりも“就職”意識をより強く持っている表れだろう。
関連して、明日は勤務地やジョブ型雇用についての学生の考えを見てみよう。
(取材・文/大友康子)