Press "Enter" to skip to content

就活のオンライン試験、45%が不正実行

オンライン就職活動における不正行為の実態は?

新型コロナウイルス感染症の影響で、就職活動のオンライン化が急速に進み、オンラインによる面接、一般常識やSPIなどの筆記テストをオンラインで実施することが標準的な形式となった。

しかし、その利便性の裏で不正行為が急増し、オンライン試験の信頼性が揺らいでいる。特に2022年には「替え玉受験」の不正が発覚し、替え玉受験を代行する業者が逮捕され、依頼していた学生3名も書類送検される事件が発生した。この事件を機に、オンライン試験でのさらなる不正行為が問題視され始めている。

この状況を受け、ビジネス能力・技能に関する認定試験を開発・実施している株式会社サーティファイ(東京都中央区)は、詳細な不正行為の実態を把握すべく2024年卒業生から2026年卒業予定のオンライン就職活動経験者に対し、「オンライン就職活動における不正行為の実態調査」を実施した。

【オンライン就職活動における不正行為の実態調査】

調査期間 2024年10月16~18日
調査方法 インターネットリサーチ
調査対象 オンライン就職活動経験者 (2024年卒業~2026年卒業予定)
有効回答 591名
(2024年卒:179名、2025年卒予定:297名、2026年卒予定:115名)

生成AI悪用が横行

「オンライン試験で実行したカンニング」を問うと、調査対象者の45.5%にあたる269名が自宅などで受験したオンライン試験で「何らかのカンニング」を実行したと回答。カンニングを行わなかったのは54.5%(322名)に留まった。

回答が一番多かった選択肢は「「スマートフォンで検索や参考資料を見た」17.6%(104名)。しかし、「スマートフォンで生成AIを使用した」と「パソコンやタブレットで生成AIを使用した」を合わせると、生成AIの悪用が計19.3%(150名)で一番多いことになる。以前の「替え玉受験」などに比べ、生成AIの普及により不正行為がより手軽になった可能性が示されている。

オンライン試験不正で内定ゲット62.5%

カンニングを実行した269名に「カンニングを行った企業から内定を得たか」どうかを問うと、62.5%にあたる168名が「内定を得たことがある」と答えた。オンライン就職活動者全体の591名で見ると、28.4%がカンニングで内定を獲得しており、企業が不正を見抜けていない現状が浮き彫りになった。

株式会社サーティファイはこの実態に対し、「不正行為が見過ごされることは、公平で透明な採用活動を損ない、企業が本来採用すべき優秀な人材を見逃すリスクを高めます。さらに、不正を行った応募者が社員として入社することで、企業内にコンプライアンスの問題が持ち込まれ、企業のガバナンスやブランド価値に長期的なダメージを与えるリスクが高まります」と警鐘を鳴らしている。

明日は、不正行為を行わず試験に臨んだ学生に対して、その後の就職活動や企業への印象について影響を把握するために実施した、追加調査の結果を見てみよう。

(取材・文/大友康子)