日本への帰国を前提とした海外での暮らしの中で、帰国後の子どもの教育に疑問や悩みを持っている保護者も少なくないようです。そこで、海外に住む保護者からの様々な質問に、帰国子女対象の英語塾「帰国子女アカデミー」の英語ネイティブの先生が答えてくれました。今回は2回シリーズの後半です。
Q. 来年、中学受験の勉強を始める息子ですが、性格的に「努力し挑戦すること」に向いていないようで悩んでいます。勉強の理解度は低くないのですが、学校の先生には「ミスが多く、集中力に欠ける」と指摘されています。親として、何かできることはありますか?
A. FeelingとThinkingを育てて効果的な勉強を!
前回、中学受験の問題を解くときには「Feeling(感覚)」と「Thinking(思考)」の両方を使う必要があることをお伝えしました。まずはこの2つの定義について復習しておきましょう。
●Feeling(感覚)…直感や無意識の勘に従うこと
●thinking(思考)…ルールやテクニックにきっちり従うこと
「Feeling(感覚)」と「Thinking(思考)」の両方のバランスを気にせずに受験勉強をしてしまった場合、「Feeling(感覚)」寄りの子どもは引っ掛け問題のような解法テクニックを要する問題が解けずに本来の能力を発揮できません。「Thinking(思考)」に頼っている子どもも集中力や気力が持たずに本来の能力を発揮できません。
中学受験だけではなく勉強習慣を整えるのにも有効
さて、この2つは、中学受験の問題を解く際だけでなく、「勉強習慣を整える」ためにも役立ちます。
例えば「Thinking(思考)」は、勉強の計画を立てる際に必要となってきます。完璧なタイムスケジューリング能力を持って生まれてくる人間はいませんから、保護者がこれを手助けすることが大切です。
お子さんが課題に取り組む際には、「短いゴールを設定して、少しずつ取り組ませる」ということが有効でしょう。これは「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれる時間管理術になります。「集中して25分間勉強し、3~5分間休憩する」、これを繰り返すことで脳を休ませ、結果的に勉強の効率を高めることができると言われています。
【ポモドーロ・テクニック(時間管理術)】
集中して勉強する(25分間)+休憩する(3~5分間)
→このセットを繰り返すと効率UP!
一方の「Feeling(感覚)」も、集中力が弱まってきたときに役立ちます。例えば、文法の勉強に疲れてしまったとき。そんなときは体操をしたり、本を読んだり、ポッドキャストを聴いたり、丸1日そこから離れてみたりすることが有効です。これはつまり、「Thinking(思考)」が限界に達したときに「Feeling(感覚)」に頼ってみることで、判断力を高めることを意味します。
FeelingとThinking、足りないほうを伸ばすのが秘訣
ご質問に戻りましょう。息子さんはあなたが仰る通り、また先生の指摘から察すると、Feeling(感覚)寄りのお子さんでしょう。よってThinking(思考)の能力を伸ばし両者のバランスを取ればいいと思います。
Feeling(感覚)の能力を伸ばす方法をお伝えします。まずは勉強習慣を身につけさせること。そして、宿題を一緒にするとき、「どうやって答えを導き出したか」について説明してもらってください。法則やテクニックを使う際には説明もしてもらうことを習慣化してみてください。また、勉強のスケジュールを立てる際に協力してあげることも有効です。
お子さんの不得意な部分と得意な部分を理解しサポートを続けること。これこそが、お子さんが持つポテンシャルを最大限に引き出す秘訣です。
お話を伺った方
Distance Learning Course Head Teacher
Dan Pulvermacher 先生
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