今の子どもたちは昔より体格向上。さて、体力・運動能力は?
中学生ともなると、親よりも背が高くなる子も多く、手足もすらっとして、今の子どもたちは昔より体格がよくなっているだろう。各スポーツの日本国内および世界大会における日本人の記録も年々更新されているので、体力・運動能力も今の子どもたちのほうが昔より上回っているだろうと思いがちだ。しかし、このほどスポーツ庁が発表した「全国体力・運動能力調査」の結果によると、そうともいえないらしい。
スポーツ庁は10月18日、毎年行っている「全国体力・運動能力調査」の結果を発表した。同時に、今年は本来、東京オリンピックの開催年であったことから、前回の東京オリンピック開催以降の年度(昭和39~43年=1964~1968年)との比較分析も行われた。
今の子どもたちの体力は祖父母世代とほぼ同等か低下
1964~1968年と2019年との年数差は51~55年。いわば、その分析は祖父母世代の体力測定と比較しているといえる。そこで、以降は1964~1968年度の体力測定を「祖父母世代」、2019年度を「現在」と表記する。特に読者の皆さんが興味をお持ちであろう、青少年(6~19歳)の体力・運動能力の比較を中心に見てみよう。
握力・50m走・持久走の結果は、祖父母世代と現在はほぼ同等。ボール投げは男女ともすべての年齢で、現在より祖父母世代のほうが上回っている。また、現在の特に大学生(18~19歳)はいずれのテスト項目においても、祖父母世代より記録が下回っている。
体格は祖父母世代より格段に上回っているにもかかわらず……
祖父母世代と現在の体格差を見てみよう。
おそらく万人が実感している通りだが、男女とも体格(身長・体重)については、祖父母世代に比べて現在のほうがかなり向上している。それにもかかわらず、体力はほぼ同等か劣るとは……。残念な感が否めない「調査結果の分析」であった。
明日は、祖父母世代よりひとつ下の、親世代との比較も可能な「年次推移の観察」について言及した部分を見ていこう。
(取材・文/大友康子)