帰国後、日本でインターの初等部を卒業する際の注意点
「海外で受けた教育を継続できる」「英語力をもっと伸ばせる」等々、海外から日本に帰国後、我が子がインターナショナルスクールに通うメリットは数多くあります。でも日本でインターナショナルスクールに通うということは、教育制度上は、日本で外国人学校に通うのと同じこと。卒業後に向けて注意すべき点はいろいろとあります。
今特集では、そうした注意点を日本のインターナショナルスクール事情に詳しい国際教育評論家の村田学氏にヒアリング。また、日本にあるインターナショナルスクール6校に進学サポートや実際の進路について伺いました。
第1回目の今回は、まずは日本でインターナショナルスクールの初等部を卒業する場合の注意点からお伝えします。
日本の公立小に学籍を置くことを忘れずに
日本でインターナショナルスクールの初等部を卒業するにあたって、まず注意しておきたいのは、その在籍形態だ。日本の教育制度上、政府に「日本の学校」と認められている珍しいケースを除き、インターナショナルスクールは外国人学校であり、「外国人の子弟が通う学校」と位置付けられている。
「インターナショナルスクールの初等部に通っても日本の義務教育を受けたとはみなされません(中等部も同様)。そのため、居住地の教育委員会からの要請で、地元の公立小学校にも学籍を置くことになります。ただ実際にはインターナショナルスクールに通いますので、公立小学校には学籍を置くだけ、不登校という扱いになってしまいます」(村田氏)。
不登校扱いで問題はないのだろうか。
「不登校扱いでも、日本の小6の終わりまで学籍を置き続ければ卒業したということになりますので、実質的には問題になりません。卒業後に日本の学校に行く場合でも、私立の中学校であれば状況を理解し、実際に通ったインターナショナルスクールでの修学状況だけを見てくれるケースが多いです」(村田氏)。
初等部卒業後は、同じインターの中等部へそのまま進む児童が大半だが、近年増えてきたのが「プリスクールから日本の小4の終わりにあたる時期まで初等部に在籍し、日本の小5の4月に公立小学校へ転校して、私立中学校の受験に臨む」という流れだという。
「日本の授業や学校文化に慣れるため、中学受験の準備のため、そして内申書をよいものにする期間として、日本の公立小学校で小5〜6の約2年間を過ごすケースが多いです」(村田氏)。
この場合、転校前の数年間も、インターナショナルスクールの長いサマーブレイク(多くは6月下旬~9月初旬)やウィンターブレイク(多くは12月中旬~1月初旬)の期間だけ公立小学校に通って、転校に備えることが多いという。
さて、日本にあるインターナショナルスクールの初等部を卒業した後の主な進路はこの3通り。
日本にあるインターナショナルスクール初等部卒業後の主な進路
- 日本のインターナショナルスクール(中等部)
- 日本の私立中学校
- 海外のボーディングスクール
次回は、この3通りの進路における、メリットと注意点を紹介する。
お話を伺った方
国際教育評論家 村田学(むらた・まなぶ)氏
国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了した国際教育評論家で、プリスクール元経営者、幼小中インターナショナルスクールの共同オーナー。ウェブサイト「インターナショナルスクールタイムズ」(https://istimes.net/)の編集長。アメリカで生まれ、6歳で帰国して英語力を丸ごと失った、という苦い経験を現職に活かしている。
この特集の協力校(五十音順)/Aoba-Japan International School、Osaka YMCA International School、KIU ACADEMY-KYOTO INTERNATIONAL UNIVERSITY ACADEMY、Tokyo YMCA International School、Nagoya International School(学校法人名古屋国際学園)、Nishimachi International School
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