海外から帰国する際、帰国子女である子どもの学校選択には何かと悩みが生じるもの。そこで、今回は、海外から帰国後、子どもが東京大学に進学したという3名のママが登場。現地ではどのような教育を行ったのか、受験前に気持ちが不安定になったときはどう対応したのか?など、東大進学までの道のりを直撃しました。タイプはそれぞれ違えど、「芯のある子どもたちを見守る」図式は共通です! 今回は2回シリーズの後編です。
【帰国子女の母親・座談会メンバー紹介】
Aさん | イギリス・ロンドンに約5年滞在 |
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東大法学部4年の長男現地校→帰国し、公立中3年に編入→帰国生入試で国立高に入学→卒業後、一浪→一般入試で東大に入学 |
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Bさん | アメリカ・サンノゼに約2年、サンディエゴに約3年滞在 |
東大法学部→社会人1年の長女現地校(ハイスクール卒業)→帰国し、半年間、予備校生→帰国生入試で東大に入学 |
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Cさん | メキシコ・メキシコシティに約2年、メキシコ・モンテレイに約3年半、タイ・バンコクに約1年滞在 |
東大2年の長女(教養学部専攻予定)日本人学校(メキシコシティ)→インターナショナルスクール(モンテレイ)→帰国後、公立小に半年間ほど編入→インターナショナルスクール(バンコク)→帰国後、私立中学に編入→一般入試で東大に入学 |
―ご主人とは教育方針や進路についてどんな話し合いをしたの?
Cさん
うちの主人はノータッチでしたね。タイから日本に帰国して受験の準備が本格化したときも夫は単身赴任で一緒にいなかったので、娘の受験まで何も関わっていません(笑)。
Bさん
我が家も東大受験については何も言わなかったです。好きなことをやらせればいいという感じで。
ただ、アメリカで滞在したサンノゼは日本人がとても多い関係で、英語をまったく話せずに日本に帰る人も結構いて。このことについては、主人も私も疑問を抱いていました。せっかく海外で過ごしているのだから、英語は話せるようになったほうがいい、と。
ですのでサンノゼ時代は、先輩留学生にチューターを頼んで英語の勉強のサポートをしてもらい、娘も妹と一緒にかなり頑張って勉強に励みました。
Aさん
うちは男子ということもあって、イギリス滞在中は主人が息子の将来を心配していました。日本人としてどう仕事をしていくのか、そのあたりまで考えておいたほうがいいと。
しかし主人も私も特に進んでほしい学校や就いてほしい職業があったわけではなく「本人が決めるのが一番」という考えだったので、日本に帰ってきてからの進路については口出ししたことはありません。
―お子さんが受験勉強につまづいたとき、どう接した?
Aさん
受験に限らず何か大きな出来事があると眠りが浅くなるなど、息子はわりと頭で考えるタイプなのです。
ですのでそういうときはそのまま受け止めて、「大丈夫よ、それで人生決まるわけじゃないから。失敗したっていい」と、平気な風を装っていました。内心はこちらも不安でドキドキしているんですけど(笑)。
Bさん
私も娘に「大丈夫だよ」と言いながら、ただただ抱きしめたことがあります。
アメリカでは大学に進むために必死に勉強を続けていたのですが、帰国の1カ月前になって成績がガクンと落ちたことがあって。
東大だけではなく、私立で目指しているところも危ういかもとなったときはさすがに落ち込んで、泣きながら私の寝室に入ってきました。このときは抱きしめることしかできなかったですね。
Cさん
私は、本当に恥ずかしいのですが……、娘を励ましたり、「勉強しなさい」と言ったことが一度もないんです。
中学受験のときなんて、塾の先生に私が相談したぐらいですから。「勉強をしすぎていることが心配です」と。
Aさん
それはすごい(笑)。
Cさん
高校のときも、あまりにもずっと勉強をするので、娘に「ちょっとは休もうよ」と声をかけたのです。そうしたら、即答で「やるしかない!」と返されました(笑)。
娘はもともと群れないタイプで、一匹狼なんですよね。ひとりで決めてどんどん実行しちゃう。
―お子さんには、これからどういう大人になってほしい?
Bさん
我が家には、今までどの土地に住んでいても言ってきた家訓のようなものがあります。それは「自分が置かれた場所でできることを探して、そこで精一杯頑張ればいい」ということ。
娘はもう東大を卒業して今は社会人なのですが、引き続きその場でできることに取り組んで素敵な女性になってくれるといいですね。
Cさん
うちはメキシコにいたときにスペイン語を使っていて、今度大学3年で専攻するのも中南米科なんです。スペイン語圏に留学したいと決めているようなので、きっとこれからも勉強を続けるのだろうなと思います。
Aさん
大学名をひっさげて生きていくような人には、なってほしくないですね。
Bさん
奢ることなく、ですよね。
「東大出身」という学歴は絶対についてくるものだと思いますが、東大生だからといって偉そうにしていたら誰もついてきてくれないというのは、本人たちが一番自覚しているような気がします。
Aさん
そうですね。東大という名前はインパクトがあると思いますが、たとえば常に勉強をして切磋琢磨することより、仲間と伸び伸び過ごしたい子はそう過ごせる大学を選ぶほうがいいのではないでしょうか。
我が家の場合、次男は長男とはまったく違うタイプなので、彼は東大ではない学校に進みました。
結局、子どもの資質や性格に合った学校選びが大切なのだと思います。
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