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特集 帰国生受験の報告書|中学受験 報告書3

中学校の帰国生入試の合格者3名とそれぞれの保護者が合格までの道のりを詳しくご報告。あわせて、塾に教わった帰国生入試の最新事情もお届けします。

私立校の編入試験に合格したケース

fさんとご両親

 Fさんとご両親紹介

アフリカ・モザンビークに2年半滞在。本人は小5の夏からインターナショナルスクールに通学。姉の高校受験に時期を合わせて都内の私立中学の帰国生編入試験を受け合格。中2の4月に編入学。

通信教育を惰性で続けていた状態から一変、志望校を見つけてやる気がみなぎったFさんとご両親。

ねらい|中高一貫校に入って高校受験を回避

高校進学に向けた受験勉強に追われることなく、のびのびとした学校生活を送るため、中高一貫校に編入学すること。編入学のタイミングは姉の高校入学時と揃える(自身は中2の4月)。

戦略|国・算は学び続けつつ地元の公立中も視野に

いくら勉強のヤル気がわかなくても、帰国生入試で課されることの多い「作文の練習」だけは1日1時間、毎日必ずする。志望校決定後、作文に加えて必要なものの準備を始める。

進捗管理

小4
一般受験を希望して日本で通塾スタート
小5
モザンビークへ渡航、一般受験を断念
小5
4月
渡米前のA塾ではなくB塾で国算理社を勉強
小5
インターに通いながら通信教育を受講開始
小6
通信教育が合わず社会・理科は継続断念
小6
国語・算数の勉強だけは何とか続ける
中1
夏~
目標発見
編入学したい学校がみつかってヤル気100倍!
中1
巻き返し
苦手になっていた漢字の遅れも取り戻す
中1
1月
帰国生編入試験を受けて無事合格

通信教育を難しく感じてどんどん放置気味に

 Fさんとご両親は、先に私立中学に進学していたお姉さんに続き、中学受験は当然するものと考えていた。そのため小4から進学塾に通い始めたが、小5でモザンビークへ渡ることに。
「現地には塾がなかったため、渡航後は海外子女向けの通信教育(4教科)を受講することに。でも娘には塾で勉強するスタイルが合っていたようで、自力で指定範囲を計画通りに進めるのは難しくて。現地には余暇を過ごす場所もほとんどなかったので何となくは続けていたものの、社会と理科は半年ほどで断念しました」(Fさん母)
 Fさんのお母さんは、このとき、国語と算数だけは頑張るように促した。「もし私立中学に編入学するとしたら、試験で必要だと思ったからです。でも勉強に身は入らず、特に漢字力や読解力は衰える一方で…」(Fさん母)

目標ができて別人のように猛勉強スタート!

 転機は中1の夏。お姉さんの高校受験が半年後に迫り、Fさんも一緒に一時帰国をしたときだ。
「長女が受験する年明けにまた一時帰国をする予定があったので、そのときにドンピシャで編入試験を受けられる中学校を探しました。長女の高校入学に合わせて、中2の4月に編入学できたらと考えたのです」(Fさん母)
「そうしたら、『学校行事の運営に携わってみたい』という以前からの希望を叶えられそうな学校を発見できました。すごくワクワクしました」(Fさん)
 それからは毎日、自主的に勉強した。「漢字も文章読解も精力的に学び直し、2~3カ月で遅れを取り戻しました。編入試験当日は国語、算数、英語の試験と面接を経て合格。明確な目標があることがいかに大切か、娘の姿を見て痛感しましたね」(Fさん母)

考察1|終わった今思う、これが失敗!
【学校決定時期】

「渡航時に一般の中学受験が無理とわかった時点で地元の公立中学も視野に入れたので、どんな結果でも失敗とは考えなかったはず。しいて言えば、一時帰国を小6か中1の初めにして受験先を決めておいたらよかったかも。試験の準備期間を延ばせたため」(Fさん母)

考察2|終わった今思う、これが成功!
【目標立て】

「渡航して約2年はヤル気を出せず悶々としていましたが、中1の夏の一時帰国で『この学校に行きたい』という目標ができて、勉強のスイッチが入りました。このときの頑張りは合格のためだけではなく、日本の勉強の遅れを取り戻すきっかけにもなりました」(Fさん母)

賛辞/保護者から子どもへ

先が見えず、つらいときもあったと思うけど、向上心を忘れずにベストを尽くしてくれたね。目標に向かって努力できるのは大きな長所!

謝辞/子どもから保護者へ

「どんなときもそばで支える」という言葉が嬉しかった。インターでの学校生活も、編入試験の準備も、ふたりのおかげで頑張れました。

◆専門家の所見

「このケースは、『子ども自身の目標の明確化が、何よりも学習効果を高める特効薬になるということ』を示す好例ですね。学習が『親から言われてやらされる(しかたなく取り組む)もの』から、本当に自分が達成したい目標に向かって『やる気になって取り組むもの』に変化したことは、Fさんが合格を勝ち得た最も大きな要因でしょう」(JOBA)

お話を伺った塾

海外・帰国子女教育専門機関JOBA
海外校・海外提携校、オンライン校、国内校の運営などを通して、赴任前、海外滞在中、帰国後の子どもたちをトータルサポート。

※…「専門家の所見」でコメントした塾に、このケースのお子さんが通ったということではありません。家庭教師の場合も同様です。

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