中学校の帰国生入試の合格者3名とそれぞれの保護者が合格までの道のりを詳しくご報告。あわせて、塾に教わった帰国生入試の最新事情もお届けします。
私立の超難関校に合格したケース
Nさんとご両親紹介
アメリカ・ニューヨークに11ヵ月滞在。本人は小4の4月から現地校に通って翌年3月に帰国し、小5の4月、渡米前に通っていた首都圏の私立小に編入学。翌冬に帰国生入試を受けた。
教科や分野別に相性のいい塾を選択。多少無理してでも数塾をかけもちして、学力を思い切り伸ばしたNさんとご両親。
ねらい|海外大学進学と英語イマージョン
日本以外の大学に進学する選択肢も持てるよう、海外大学への進学実績の高い学校に合格すること。また、国語など以外、ほとんどすべての授業が英語で実施される環境を得ること。
戦略|複数の塾に通い、学力をバンバン伸ばす
教科や分野別に子どもと相性のいい塾を常に見極め、いざとなったら転塾もいとわない気持ちを持つ。また、学力の伸びかたや状況に応じて、多少無理してでも数塾をかけもちする
進捗管理
小4 4月 |
ニューヨーク現地校に通い始める |
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小5 4月 |
渡米前に通っていた日本の私立小に戻る |
小5 4月 |
渡米前のA塾ではなくB塾で国算理社を勉強 |
小5 12月 |
方向転換検討 帰国生枠を視野に入れて英語の勉強を開始 |
小6 4月 |
B塾に加え、C塾でも国語と算数を学ぶ |
小6 7月 |
方向転換 帰国生枠、英語受験をする方針を固める |
小6 夏~ |
さらに猛勉強 B、C、D塾をかけもちE塾で英語面接対策 |
小6 冬 |
11月に4校、12月に本命の1校に合格 |
転塾や追加の通塾にためらうことはなかった
ニューヨークの現地校に11ヵ月ほど通い、小5の4月、渡米前に通っていた私立小に戻ったNさん。中学受験に向けた学習は、渡米前に通っていたA塾ではなく、新たにB塾で開始させた。
「海外に11ヵ月いたため、まずはそのブランクを埋めて学校の授業についていけるようにするため、A塾よりは学習内容がやさしいB塾へ。ただ1年近く通っても国語と算数の学力は伸び悩んでしまって…。小6になってからは、より親身に教えてくれるC塾への通塾を追加しました」(Nさん母)
帰国生枠で英語受験をすると決めてから徹底的に対策
Nさんはこの頃、英語で受ける帰国生入試に興味津々。「いろんな教科の授業を英語で行う『英語イマージョン教育』を受けられる学校に行きたい」という気持ちも膨らませていた。
「ただ英語受験をするにはまだ力不足。C塾のおかげで小6の初夏には算数の偏差値が60を超えていたので、親としては複雑な気持ちで、一度は英語受験をやめるよう説得もしました。それでも娘の意志は変わらなかったので、思い切って『英語受験でいこう』と決めました。これを機に英語に特化したD塾、英語面接対策のための英会話学校(E塾)にも通い、1ヵ月後には英検準1級に合格。それ以降も娘は猛勉強を続けました」(Nさん母)
そして、Nさんは偏差値75オーバーのいわゆる超難関中学に合格した。
「最多で3つの塾と英会話学校1校をかけもちした時期もあって、とてもつらかった…。でもその分、合格がわかった瞬間の喜びは大きかったです。本命校の試験は英語(読解とエッセイ)、英語で受ける算数、日本語の小論文。面接は、英語面接と日本語面接の両方を受けました」(Nさん)
考察1|終わった今思う、これが失敗!
【海外滞在期間】
「現地では帰国生受験を検討せず、海外滞在期間の条件(1年間以上が基本)に無頓着で、結果的に『15日間足りない』という問題が発生。今回はコロナ禍での特例で受験資格を得られましたが、前もって考えたり動いたりすることの大切さをあらためて感じました」(Nさん母)
考察2|終わった今思う、これが成功!
【塾選択、追加】
「ある塾では日本の小論文対策と英語ライティングの基礎力アップを、別のある塾では本番の問題と変わらないレベル・内容の問題練習を…というように、臨機応変に学びの場を変えたり増やしたりしたことが大正解。頑張った娘には拍手を送りたいです」(Nさん母)
賛辞/保護者から子どもへ
親の反対を押し切り、自分で自分の道を切り拓いたあなたを心から立派だと思っています。楽しく充実した学校生活を送ってね。
謝辞/子どもから保護者へ
できることを精一杯したので、本番では問題や面接を楽しむことができたほどでした。応援ありがとう。楽しい学校生活を送ります!
◆専門家の所見
「Nさんのように、受験方式の決定が小6の夏以降になることは少なくありません。ただ、いずれの方式でも『基礎学力+α(英語力、作文力、プレゼン力など)』が重要になるため、早期からの学習開始と情報収集は必要不可欠です。また、『現状の学力と合格ライン』を正確に見極めた対応を、定期的に行うことも非常に大切です」(名門会)
お話を伺った塾
完全1対1の双方向型オンライン授業 名門会
「合格逆算カリキュラム」「社会人プロ講師のみの指導」が特徴。個々の志望校の合格基準に合わせた専用カリキュラムにて指導する。
※…「専門家の所見」でコメントした塾に、このケースのお子さんが通ったということではありません。家庭教師の場合も同様です。