企業の採用広報開始から 2 カ月。2023 年卒学生の就職活動はどのように進んでいるだろうか。就活サイト「キャリタス就活」を運営する「株式会社ディスコ」(本社:東京都文京区)が、5 月 1 日現在のキャリタス就活・学生モニターの就職活動状況について調査を行った。内定状況のほか、今後の活動方針や、内定企業に求める情報など、多岐にわたる項目を調査し、公表している。前年同期調査や先月調査との比較を中心に、全体的な活動状況を確認したい。
オンライン形式の企業セミナー参加経験者は95.5%
採用広報解禁から2カ月が経過した5月1日時点での就職活動状況を調べたところ、一人あたりのエントリー社数の平均は24.7社であることが分かっている。今年は3月時点から前年同月を下回っていたが、この1カ月の伸びは2.1社にとどまり、前年同期実績との差が広がった。属性別では、文系は先月より約3社増えた一方で、理系は伸びが限定的。理系学生の活動が落ち着いてきていることが見て取れる。
企業セミナー(会社説明会)の参加状況については、「会場型」に参加経験のある学生は前年同期より 10 ポイント近く増え、53.0%に。「オンライン形式(WEB セミナー)」の参加経験者も前年より増え、全体の 9 割超に上る(95.5%)。コロナ禍以後、企業研究はオンラインを中心に進んできたが、行動制限の緩和に伴い対面での機会も増えてきている。参加社数を見てみると、会場型が平均 4.0 社、オンライン形式は平均 14.6 社。前年同期と比べてそれぞれ増加し、積極的な姿勢が読み取れる。
ES提出社数は平均13.4社、筆記9.2社、面接7.4社
続いて、選考試験の受験状況を見てみよう。まず経験率は、エントリーシート(ES)、筆記・適性テスト、面接試験、最終面接のいずれも、前年実績を上回っている。特に最終面接は前年同期から約 7 ポイント増え、4 人に 3 人以上が経験したと回答(76.8%)している。選考の早期化に伴い、最終段階まで進むペースが早まったことが読み取れる。
経験率が上昇した一方で、一人あたりの受験社数は減少している。ES の一人あたりの平均提出社数は 13.4 社で、前年同期(14.9 社)より 1.5 社少ない。筆記・適性テスト、面接試験についても、エントリー社数の減少に伴い前年同期実績を下回る。但し、最終面接は前年を上回っており(1.9 社→2.2社)、進行の早さがここからも感じ取れる。
ES提出など本選考に応募した企業との接点について尋ねたところ、「インターンシップ(※)に参加した企業」(33.0%)、「インターンシップには参加していないが、2月以前から興味をもっていた企業」(35.6%)を合わせると、本選考応募企業の7割近く(計68.6%)は、採用広報開始前のプレ期に出合ったり、興味を持っていたりした企業だったことがわかる。さらに、理系学生では7割を超えていた(計72.2%)。
後編の記事では、5月1日現在の内定状況などについてお伝えする。
(取材・文/松井さおり)