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内定式前後の就活生調査(後編)|社会の大変さと人生の楽しみ実感

就活を経て、将来への思いは?

昨日株式会社マイナビ(東京都千代田区)が行った「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査」の9月版をチェックした。約3割の学生が、就職活動中の挫折・失敗体験が「人生の中でも大きなショックだった」と感じていることが分かった。一部には就職活動を続けている学生もいるだろうが、挫折・失敗を経験した学生もほとんどはその後に内定を獲得し、10月1日などに内定式に出席したはずだ。

本日は内定式後に調査して、将来への思いが表れた活動実態調査10月中旬版を見てみよう。

【調査概要】「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査(10月中旬)」

調査期間 2023年10月10日(火)~10月14日(土)
調査方法 マイナビ2024の会員に対するWEBアンケート
調査対象 2024年3月卒業見込みの全国の大学生、大学院生
有効回答数 1543名(文系男子387名 文系女子578名 理系男子304名 理系女子274名)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合がある。

4割弱の学生「就職活動を通じて人生が楽しみになった」

人生100年時代と言われるなか、今後の人生で、不安と楽しみのどちらが大きいか、また就職活動を通じて今後の人生についての考えは変わったかを聞くと、「元々不安の方が大きかったが、就職活動を通じて楽しみになった」(21.4%)が最多。「元々楽しみの方が大きかったが、就職活動を通じてより楽しみになった」(14.8%)と合わせると、36.2%の学生が就職活動を通じて人生が楽しみになったと回答した。

回答の理由として「自身の得意不得意を把握できたことで生きやすくなった」「働くということへの解像度があがった」という声があった。

就活の大変さから、「社会はもっと大変」とネガティブな意見も

一方で、「就職活動を通じて不安が大きくなった」という学生からは、「選考に落ちて自分に自信が持てなくなりネガティブに物事を見るようになった」「就職活動が自分の予想以上に大変だったため、社会に出てからはもっと大変なのではないか」「大手企業や安定職といわれていても、コロナ禍のようなことがあれば不安定になってしまう」という声もあった。

属性 人生100年時代の見直しと就職活動の影響 理由
文系女子
元々不安の方が大きかったが、就職活動を通じて楽しみになった これまで人生について考えたことが正直なかったが就職活動を通じて自身の得意不得意を把握できたことで生きやすくなったから。面接を体験したことでメンタルが強くなり、何があっても落ち込みすぎず、ポジティブな考え方ができるようになったから。
文系女子
就活を通じて業界や企業の解像度が上がり、社会の仕組みやそこに自分の仕事がどう影響していくかイメージが持てるようになったから。
文系男子
元々楽しみの方が大きかったが、就職活動を通じてより楽しみになった 働くということへの解像度がすこしだけ上がり、自分の人生の中で働くということの役割が定まったため。あくまで仮決めではあるが、ふわふわとしていた働くことへの考えがカチッと音を立ててハマった感覚があり安心したため。
文系男子
元々楽しみの方が大きかったが、就職活動を通じて不安が大きくなった 企業を選ぶというのは、思っていた以上に難しかったです。
文系男子
選考に落ちて自分に自信が持てなくなり、もともとの考え方もあってより、ネガティブに物事を見るようになったから。
文系女子
就職活動が自分の予想以上に大変だったため、社会に出てからはもっと大変なことが多いのでは無いかと思ったため
文系男子
元々不安の方が大きかったが、就職活動を通じてより不安が大きくなった 私は不安の方が大きい印象を受けました。理由は時代の変化による選択肢の多様化を実感したからです。一昔前は偏差値の高い大学生は一流企業に就職したり、新卒で入社した会社に長く務める終身雇用制などが主流でした。 しかし、時代の変化により、現在は終身雇用ではなく、転職が当たり前の時代になったり、YouTubeで生計を立てるなど生き方の多様化を実感しました。そのため、就活をしているとなぜ、企業に就職するのかさえも考えさせられることがありました。
文系女子
大手企業であったり安定職といわれていても、コロナ禍のようなことがあれば生活が不安定になってしまうことが往々にしてあると思ったため。また、これから先、自分の就職先がこれまで通り必要とされる企業であるかは不明で、先行きが見えない部分があるため。
理系男子
就活前は将来に対する漠然とした不安があったが、就活を経て、金銭問題や居住地、親の将来、自身の結婚といった具体的な不安に変わった。

2025年卒学生へのメッセージは?

後輩にあたる2025年卒の大学生に向けたメッセージを聞くと、「会社との相性があるため、落ちてもそこまで落ち込まなくても大丈夫」「周りの就職活動を気にしすぎると焦ってしまい不安になるので自分のペースで進めて」「SNSで就活や他の人の状況を検索しないほうがいい」のように、不合格になった時の気持ちの切り替えや、周囲の進捗状況に関するアドバイスが寄せられた。

自己分析に関する内容も多く、「今までの成功体験だけでなく失敗体験も十分振り返ること」「内定を取ることだけを目的にすると後悔するので企業研究や自己分析は深く行った方が良い」などがあった。また「早めに始めれば始めるほど余裕を持って活動ができる」というコメントがあった一方で、「焦って就活するより、大学での学業を優先するべき。将来を見据えた学習や大学でしかできないことに時間を費やす方が、おのずと面接で話すことが見つかる」など、さまざまなコメントが集まった。

属性 内容
文系女子
自分の能力も大切だけどその会社との相性というものがあるため、落ちてもそこまで落ち込まなくても大丈夫だと思います。
文系女子
就活が辛くなったら親や周りにいる信頼できる大人に相談したり、1週間でもいいので休むことがすごく大切だと思う。
文系女子
あまり周りの就職活動を気にしすぎると焦ってしまい不安になるので、あまり気にしすぎず自分のペースで就職活動を進めていってください。
文系女子
SNSで就活や他の人の状況を検索することはあまりしない方がいい。
文系男子
焦って就活するより、大学での学業を優先にするべきだと感じた。アルバイトは必要最低限、もしくは全くしなくとも問題はない。それより、将来を見据えた学習や大学でしかできないことに時間を費やす方が、おのずと面接で話すことが見つかると思う。
文系女子
焦って就活するより、大学での学業を優先にするべきだと感じた。アルバイトは必要最低限、もしくは全くしなくとも問題はない。それより、将来を見据えた学習や大学でしかできないことに時間を費やす方が、おのずと面接で話すことが見つかると思う。
理系女子
早めに始めれば始めるほど自分のペースで余裕を持って活動ができるので、早めに始めることをオススメします。就活が上手くいかなくても自分を責める必要はないです。周りの人を頼ってみてください。手を貸してくれる人はたくさんいます。
理系男子
早く始めることに越したことはないが、内定を取ることを目的にしてしまうと後悔してしまう場合があるため、企業研究や自己分析は深く行っていた方がが良い。
理系男子
自身の就職活動の後悔は、もっと企業研究であったり自己分析をしておけばもっと幅が広がったと感じているので、特に企業研究と自己分析は大事です。また面接についてですが、面接は練習をした方がいいのでたくさん数をこなして慣れることが重要になってくると思ったので、できるだけ頑張ってください。
就職活動はとても忙しく大変で、いやになることもあると思いますが、とても大事な時間ですので、何か困ったことがあればすぐに周りの人に相談をして、自分がこの会社に入れることができて良かったと思えるように頑張ってください。応援しています。

就職活動の経験を活かし、更なる活躍を!

質問事項が違うため当たり前ではあるのだが、9月の調査では就活での挫折・失敗を「人生で大きなショック」と嘆いていた学生が、内定式に参加して就活を振り返り、「就職活動を通じて人生が楽しみになった」と発言するとは何とも頼もしい。

そのような調査結果に対し、株式会社マイナビ「キャリアリサーチラボ」研究員の長谷川洋介(はせがわ・ようすけ)氏は次のように語る。

「3人に1人の学生が『就職活動を通じて人生が楽しみになった』と感じ、理由として、自己理解が深まったことや、社会や働くことへの解像度が上がったという声がありました。自己分析や業界研究などを通じ『決まった正解のない、わからないこと』を自分なりに分析・研究したという経験は、VUCA(予測困難)の現代を生きていく学生にとって貴重な経験になったはずです。

来年就職活動をする2025年卒の学生に向けたアドバイスでも、自己分析や業界研究の重要さを強調する声がありました。自分のやりたいことや社会の仕組みについて考えることは、社会人になってからも求められます。これからの人生においても就職活動の経験を活かし、自身をとりまく環境や社会について理解を深め、更なる活躍につなげてほしいと思います」

(取材・文/大友康子)