今、日本にありながら英語で学べる大学が増えており、帰国生の進学先の選択肢が広がっています。受験を検討する際に知っておきたいことや実際に通っている学生の声を紹介します。
N・Kさん(22歳)
立命館大学
グローバル教養学部 グローバル教養学科
●0~16歳、アメリカ・現地校
英語で学ぶ学科はコミュニティが国際的で、視野が広がったと感じている
Q 今の学科・コースに決めた理由は?
大学入試の際に、行きたい学部が定まっていなかったのですが、悩んだ末に幅広い知識を学べるグローバル教養学部を選びました。オーストラリアの大学への留学も可能なので、様々な観点からの知識を得て、最終的により深く勉強したいことを見つけるために選択しました。
Q 興味深い授業について教えてください。
『Asia and the World Historical perspective』という授業です。インド、中 国、日本を中心に移民の歴史や移民政策を学び、新たな視点を得られました。日 本語で歴史を学んでいたら習得の難しかった歴史分析の新たなスキルを身に付け ることができました。
Q 将来の夢を教えてください。
歴史の資料を扱うことに興味があるので、歴史に関わる仕事を目指したいです。働きながら、さらに知識を深めていきたいです。
Q 入学後に苦労したことは?
16年も海外に住んでいたので、日本の市役所での手続きなど一般常識で分からないことが多く、最初は苦労しました。勉強面では自分と同じような経験をした人が多かったので、特に困ることはありませんでした。
Y・Mさん(22歳)
国際基督教大学(ICU)
教養学部アーツ・サイエンス学科 言語教育メジャー(主専攻) 教育学マイナー(副専攻)
●4歳~6歳、スイス・インター
●12~18歳、アメリカ・現地校
奥がMさん。高校時代は日頃のテストを大事にし、課外活動にも励んだ
Q 今の学科・コースに決めた理由は?
中学高校と集中して勉強する時期を海外で過ごしていたことから日本語力にムラがあることを実感していました。そこで、帰国生に適切な日本語プログラムがあるICUに決めました。得意の英語を生かす資格として英語科の教員免許状を取得しました。ICUでは専門に関係なく教職課程を履修できます。専門は教えることが好きで言語学にも魅かれたので、言語教育をメジャー(主専攻)に、教育学をマイナー(副専攻)に選びました。
Q 英語で学ぶ大学に入って良かったことは?
自分と同じような教育歴の人が多いのでとても話しやすく、英語で日常会話をすることもあり、居心地がよいです。なにより、多くの学問は英語での研究が進んでいるので、英語の論文などを通して最新の知識を付けられることが嬉しいです。また、言語での音の並び方やその変化について深堀りする「音韻論(Phonology)」という授業がとても楽しく、今後は「第二外国語の発音について研究する」という目標もできました。
Q 海外在住の高校生にアドバイスお願いします
私自身は「高校生活自体が大学受験」と考え、日々の学業と課外活動に励んでいました。実際の帰国生入試では課外活動についてよく聞かれたので、参加しておきましょう。表彰状やメダルなど、活動の記録や成績がわかるものを保管しておくと、いざ入試の際に提出書類を書いたりするときに役立ちます。また、実際に大学を見学してみると、学内の雰囲気がわかってよいと思います。私自身もキャンパスツアーでグッときて、入学を決めました。
K・Hさん(21歳)
立命館大学
国際関係学部 グローバル・スタディーズ専攻
●9歳~19歳、アメリカ・現地校
大学入学を機に、今まで挑戦できなかったことを実行すると決意したという
Q 今の学科・コースに決めた理由は?
アメリカ生活で身に付けた英語力を伸ばし、将来は世界の環境問題の解決に携わる仕事に就きたいことから、すべての授業が英語で行われるグローバル・スタディーズ専攻を志望しました。
Q この大学を選んで良かったと思うことは?
グローバル・スタディーズ専攻には世界各国から学生が集まっています。様々な社会問題に興味を持っている学生がいて、刺激を受けています。そのような環境だからこそ、個性を大切に、互いを尊重する、という意識を持つ学生が多く、多様性を受け入れてくれる雰囲気があるので、とても居心地がよいです。
Q 興味を持って取り組んでいることは?
授業以外にも様々な課外活動に励んでいます。「SKPバディ」という立命館大学への短期留学生をサポートする団体では、留学生の相談に乗るだけでなく、遠足やパーティーを企画して国際交流を深める活動もしました。また、私自身が実家を離れて大学生活を始めたときにホームシックやカルチャーショックを受けた体験から、同じ境遇の学生のメンタルヘルスにつながる場をつくろうと、団体「HARU」を設立しました。もうひとつ、学生が食の多様性や気候変動、食糧危機などの社会課題を身近に感じる機会を提供することを目的に活動している学生団体「LiNK」の代表も務めています。食堂でヴィーガンメニューを常に提供してもらえるように働きかけたり、ヴィーガンに関する情報発信やイベントの開催などに取り組んでいます。
T・Sさん(20歳)
早稲田大学
政治経済学部 経済学科 英語学位プログラム
●6歳~18歳、中国・インターナショナルスクール
大学院に進み、自分が有意義だと思える自由な生き方をするのが夢
Q 今の学科・コースに決めた理由は?
経済学科を選んだのは、昔から人間の行動を観察し、推測し、また選択した行動 以外の選択肢について考えること(つまりは経済学)が好きだったからです。今好 きな授業は「Experimental Economics(実験経済学)」。経済学的な問題を実験 的な手法で学べ、議論ベースで進むので非常に楽しいです。英語学位プログラム にした理由は、高校までずっとインターだったので。
Q 入学準備で頑張ってきたことは?
一番は学業(IBDPでの高得点)ですが、同時に学年委員長を務め、陸上とボルダリングの2種目にも励んでいました。学業とスポーツを高水準で両立するためにはタイムマネージメントが重要なので、到達目標を短期・長期に分けて計画的に行動していました。
Q 英語で学ぶ大学に入って良かったことは?
卒園後は日本に住んでいなかったので、英語で学べる日本の大学に入ったことで、英語を使いつつ、日本での暮らしや日本文化を経験できていることです。
Q 海外在住の高校生にアドバイスをお願いします
将来の選択に迷う高校生だからこそ大切にしてほしいのは、自分と話し合う時間をとることです。自分は何を好きなのか、どんな人間になりたいのか、といった問いかけを常にすること。それによって、進みたい道が見えてくるはずです。