日本の科学技術に関する研究開発費や論文数をチェック!
科学技術や学術振興に関することを調査・研究する国立試験研究機関「科学技術・学術政策研究所」(NISTEP:National Institute of Science Technology Polisy)は8月8日、世界各国の科学技術活動を各種データに基づいて体系的に把握した『科学技術指標2023』と、論文の詳細な分析を行った『科学研究のベンチマーキング2023』を公開した。
●『科学技術指標2023』…日本と海外主要国の科学技術活動を、「研究開発費」「研究開発人材」「高等教育と科学技術人材」「研究開発のアウトプット」「科学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーに分類し、分野ごとに比べたもの
●『科学研究のベンチマーキング2023』…科学研究活動の成果である論文に着目し、世界と日本を比較・分析したもの
日本の科学技術に関する研究開発費や論文数など、世界各国と比較したレベルは日本人として少々気になるところ。今日と明日とで簡単にチェックしてみよう。本日はまずは『科学技術指標2023』から。
出典:「科学技術指標2023」,NISTEP RESEARCH MATERIAL,No.328,文部科学省科学技術・学術政策研究所.DOI: https://doi.org/10.15108/rm328
日本の研究開発費、研究者数は日米独仏英中韓7カ国の中で第3位
日本の研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の7カ国)の中で第3位。産・官・学それぞれで分けてみても、3~4位に位置してはいるが、伸びでは他の主要国と比べて小さくなっている。
日本の特許出願数、世界第1位
特許出願に着目し、各国・地域から生み出される発明の数を国際比較可能な形で計測した「パテントファミリー数」を見ると、1996-1998年は米国が世界第1位、日本が第2位であったが、2006-2008年、2016-2018 年では日本が世界第 1 位、米国が第 2 位となっている。ただし、日本の世界シェアは 2000 年代半ばから低下傾向にある。中国は 2016-2018 年で世界第 3 位であり、着実にその数を増やしている。
●パテントファミリー…ある特許出願を複数の国へ特許出願した場合の「特許出願のまとまり」のこと。
ミディアムハイテクノロジー産業貿易収支は主要国中第1位
ハイテクノロジー産業(医薬品、電子機器、航空・宇宙)の貿易収支比は、日本は最新年で 0.72で、主要国中第6位。1990年代の圧倒的な優位からは見る影もない。
ミディアムハイテクノロジー産業(化学品と化学製品、電気機器、機械器具、自動車など)の貿易収支比も日本は年々減少傾向にはあるが、最新年2.58であり、まだ主要国中第 1 位を保っている。中国は増加傾向が続いており、最新年は 1.76 となり日本に次ぐ値となっている。
明日は、世界における日本の科学技術分野の論文数を見てみよう。
(取材・文/大友康子)