(前編)からの続き。
7月より提供が始まった子ども向けSNSアプリ「4kiz(フォーキッズ)」(https://4kiz.jp/)は、株式会社4kiz代表取締役CEO、本山勝寛(もとやま・かつひろ)氏の子ども支援事業の活動や自身の子育て体験から生まれたという。では、同アプリがどのような点で子どもにとって安心安全なのか見ていきたい。
4歳から12歳の子ども限定、無料で利用可能
スマートフォンおよびタブレットで、Apple「App Store」またはAndroid「Google Play」から4kizアプリを無料でインストールできる。4歳から12歳の子ども限定で、まず保護者のメールアドレスを登録し、それに紐づけてアカウントを作る。年齢については、アカウント作成時に誕生日を登録し、13歳を迎えたらアプリは利用できなくなる。これについて本山氏は、「13歳以上にはさまざまなSNSがあります。4kizは、子どもがいきなり大人向けのアプリを使うのではなく、その準備段階として子ども向けアプリを使うことでネットリテラシーを学ぶことを目的のひとつとしています。そのため、13歳を迎えたら、4kizは卒業していただくことになります」と話す。
プライバシーにも配慮
氏名はニックネームとし、プロフィール写真は子どもの顔写真ではなく絵本作家の描いた顔の各パーツを選んで自分のアバターをつくることで、楽しみながらプライバシーを保護する。ペアレンタルコントロール機能を備え、コメントやいいね、フォローできるか、投稿の公開前に親の確認が必要かどうか、利用時間などを親アカウントにより設定できる。
NGワードも厳しく設定
現在、小学生でのSNSいじめが急増している。その背景には、ネットリテラシーを身に付けないままSNSを使っている子どもが多いという実態がある。本山氏は、「本アプリでは、NGワードを厳しく設定しています。『死ね』『うざい』『消えろ』などといった、いじめにつながりやすい言葉のほか、犯罪に巻き込まれやすい言葉も書き込めない設定にしています」という。
安心安全のための対策
子ども限定のアプリ、とはいえ、子どもになりすましてアカウントを作って混ざり込む悪い大人がいないとは限らない。「なりすましを完全に防ぐには、公的な身分証明書の提出を義務付けるしかなく、そうするとアプリを利用するハードルが高くなってしまいます。そのため、保護者のメールアドレスを登録する形式にしていますが、リスクはゼロではありません。そこで、4kizでは、1対1のやりとりをできないようにしているほか、疑わしいアカウントがあれば事務局へ報告する機能もあります。また、NGワードがかなり厳しいので、もし大人が犯罪のために誘導しようとしても、そのようなコメントを入力できないといえます」(本山氏)
このほか、家族間でのコミュニケーションを楽しめるよう、父母のほか祖父母や親戚も家族ユーザーとして招待できるので、子どもの夏休みの自由研究を遠方の祖父母が見る、ということもできる。そして、子どもたちはその家族間のコメントを友達に見られるのは恥ずかしい、という気持ちが出てくるので、コメント欄は子どものユーザー同士でコメントできる欄と家族欄と分かれており、家族欄のやりとりは他の子どもたちには見えないようになっている。
子どものSNS使用にはメリットもデメリットもあるが、もはやSNSなしでは難しい時代なので、子どもの年齢に見合ったアプリやサービスを保護者の管理下で使って慣れていくことが必要だろう。
(取材・文/中山恵子)