インターナショナルスクールの開校ラッシュともいえる昨今。その理由は?学校の特徴は?気になる最新情報をお伝えします。
イギリスの名門校もボーディングスクールを開校予定!
英国式国際カリキュラムを日本でも学べるように
「イギリス名門のハロウ校とラグビー校が日本進出」というニュースが日本の教育界で注目を集めているが、その他にも多くのインターナショナルスクール(以下、インター)が開校準備中だ。なぜ今、日本にインターが急増しているのか、インター事情に詳しい村田学氏に話を聞いた。
「イギリスに関しては、英国式の国際カリキュラムであるケンブリッジ国際を日本にも広めたいという目的があります。背景には、イギリスのEU離脱も関係していると思います。イギリスの欧州での覇権が揺らぐ可能性があるため、自国の教育カリキュラムを世界中に広めることで国際社会での力を保ちたいのでしょう。ハロウ校は上海や北京、香港、バンコクなどに、ラグビー校もバンコクに開校しています」
政策の一面もあるとはいえ、日本では国際カリキュラムといえば国際バカロレアが中心なので、ケンブリッジ国際も加わることで選択肢が広がるのは良いことだろう。
プリスクールや小学部など低学年での開校も!
ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(以下、ハロウ安比校)とRugby School Japanは中学部からだが、2022年の4月にはAIC World College京都 初等部が開校予定だ。
「幼児教育・保育の無償化の恩恵でプリスクールに通う子の保護者も、多くが年間44万円の補助を受けられることになりました。これを機にプリスクールの開校が相次いでいますが、プリスクール後の小学校開校という流れも出来つつあります。幼少期に英語で学んでも公立小学校に入学すると夏休み前には英語を話せなくなることも多く、継続的に英語で学ばせたいという親御さんの要望に応える形です」
トレンドは”自然”と”ボーディングスクール”
ハロウ安比校が岩手県の安比高原にフルボーディングスクール(全寮制)を開くことが話題だが、白馬インターナショナルスクールも北アルプスに寮を完備した中高一貫校を開校予定というように、地方に開校する傾向がみられる。また、同年、一条校の国際高等学校が国際バカロレア候補校として愛知県内に開校予定だが、こちらも全寮制だ。
「“自然”と“ボーディングスクール”も最近のキーワードですね。学校を作ることで地方創生という目的もありますが、アカデミックなカリキュラムにおいては人と自然の共生を学ぶことは重要なので、大自然の中の校舎や寮というのは理にかなっていると思います。また、寮には、自立心を育み、思春期の子どもたちが健全に学べるという良さがあります。国際高等学校は開校発表において、校長の次に寮長を発表しましたが、子どもたちの生活面を見守る寮長の存在はとても重要です。保護者としては、寮長の経歴や人柄もチェックしておきたいですね」
従来の日本型教育が変わりつつある今、インターの需要は今まで以上に増えるだろう。
「日本の公立や私立の高校生がハーバード大やスタンフォード大に合格、といったニュースもありましたが、今までなら日本の難関大学に進学したであろう優秀な高校生が海外の大学を視野に入れている時代です。インターのボーディングスクールが開校すると、その傾向はさらに高まるでしょう」
日本の開校予定のインターナショナルスクール情報
ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン
11歳〜18歳(Year7・小6 ~Year13・高3)の900名を対象とした全寮制。大自然の中で、世界トップクラスの英国式教育とスポーツや登山などの多彩な野外活動を学べる。
Rugby School Japan
タイに続く海外2校目を日本に開校。year7〜year13の男女合わせて780名の寄宿生と通学生を受け入れる。入学に関する問い合わせは、2022年秋以降に対応する予定。
白鳥インターナショナルスクール
長野県白馬村で寄宿生と通学生を受け入れる中高一貫校。国際バカロレア卒業資格を採択予定。大自然の中で持続可能性を軸に個々の可能性を最大限に伸ばす教育を提供。初年度は中1・中2を受け入れ。
国際高等学校
(NUCB International College)
一条校として25年ぶりに愛知県知事認可を受けた全寮制の高等学校。MBA流のリーダー育成を英語で実践し、次世代で活躍できるグローバルリーダーを育成。2021年11月より出願開始予定。
AIC World College 京都 初等部
ニュージーランドのAuckland International Collegeと広島のAICJ中学・高等学校(共に国際バカロレア認定校)の系列校。2021年4月には広島駅前にも初等部をすでに開校。
お話を伺った方
『インターナショナルスクールタイムズ』
編集長 村田学(むらた・まなぶ)氏
インターナショナルスクール、国際バカロレア教育、英語教育など、子どもたちがグローバルに活躍するための教育情報を配信しているウェブサイト「インターナショナルスクールタイムズ」の編集長。国内のインター各校を調査や取材にもとづき、中立公正に紹介している。
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