国際大会はすべて英語、強化合宿も開催
国際ロボット競技会「WRO(World Robot Olympiad)」の国際大会「WRO 2024 国際大会」が11月28日~30日の3日間にわたりトルコ共和国イズミルで開催され、日本からは計14チームが参加。高校生の2チームが金メダルと銅メダルを受賞するなど見事な成績をおさめた。※トップ画像はトルコ入りした日本チームと応援団。(C)NPO法人WRO Japan
「帰国便利帳」では、NPO法人WRO Japan 事務局長の櫻澤由里子(さくらざわ・ゆりこ)氏に取材。(前編)に続き、(後編)では国際大会の様子を中心にお伝えする。
Japan決勝大会で選抜されたチームは、国際大会に備えて、NPO法人WRO Japanが主催する2泊3日の「チーム強化合宿」に参加、技術力や表現力を磨いたという。
「競技にはいくつかの部門があり、発表部門では自分でプレゼンを行います。Japan決勝大会までは日本語でよいのですが、国際大会は英語で発表しなければなりません。国際大会は場内アナウンスから競技まですべて英語なんです。競技エリアにはコーチは入れないので、子どもたち自身が英語で伝えなければなりません。そのため、強化合宿では英語しか話してはいけない時間をつくるなど、英語の練習もしました」
競技と国際交流で成長する子どもたち
そして迎えた国際大会。選手とコーチを合わせた46名に保護者などの応援団も加わり、計101名がトルコ入りしたという。
「実際にメダルをとるなど良い成績を残せたことで本人たちもとても喜んでいました。日本は毎年入賞していますが、他の国々も力を入れてきたことで、ここ数年は日本チームのメダル獲得が少し難しくなってきていたので、日本チームの好成績をとても嬉しく思っています。発表部門に出場した小学生は、特訓の成果があって当日はきれいな英語で発表していたことも印象に残っています。また、主催者側のミスで日本の中学生のチームの調整場所がなかったのですが、そのチームの子は『チェア』と連呼しながらなんとか伝えたようです。そういった体験が子どもたちを強くすると思います」
競技以外にも、さまざまな国・地域の子どもたちと国際交流をはかれることも本大会の大きな魅力だという。
「子どもたちは名刺代わりのカードやお菓子を配ったりしています。英語が母国語ではない国や地域の子どもも多いので、英語力はあまり気にせず、コミュニケーションをとっていますね。交流の場では民族衣装を着る人も多く、日本チームも着物や法被を着たりして楽しそうでした。国際交流をする中で自分を表現する力も大きく育ってくれるといいなと思います」
“恩返しをしたい”とOG・OBの声
WROのスタートから20年。初期に参加した子どもたちが成人し、OB・OGとしてJapan決勝大会や強化合宿を手伝ってくれる人も多いという。
「“良い経験をさせてもらったから恩返しをしたい”と言ってボランティアとして帰ってきてくれるかつての子どもたちも多く、事務局冥利に尽きます。より多くの子どもたちに創造力、課題解決力、イノベーション創出力の育成環境を提供できるように引き続き努めてまいります」
2025年のJapan全国大会は東京で、国際大会はシンガポールで開催予定だ。
(取材・文/中山恵子)