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帰国子女教育情報|インターナショナルスクール 入学マニュアル④~学校の選び方~

国際化を背景に、日本国内のインターナショナルスクールは年々増加しています。読者の皆さんの中にも「帰国後は我が子をインターナショナルスクールへ」とお考えの方はいらっしゃるはずです。ではその場合、保護者として何をどう準備すればいいのでしょう。今特集では、その準備方法を専門家にヒアリング。ハウツーとしてご紹介します。今回は「学校の選び方」についてです。

Q. どんな学校を選べば安心できる?

A. まずは信頼できる認定校を選ぶこと、そして「海外で通っていた学校と近い環境・カリキュラムか」と「学力レベルが合っているか」にも着目を。(村田氏、石塚氏)

信頼できる教育施設の目印とは?

「インターナショナルスクールを選ぶ際、一番わかりやすくて大切な目印は、“認定校”であることです」(村田氏)

インターナショナルスクールの多くは一条校ではなく各種学校に相当するため、卒業しても日本の法律で定められた就学義務を履行したとはみなされない。しかし、国際バカロレア(IB)や国際的な評価団体(WASC、CIS、ACSI)などから認定を受けているインターナショナルスクールなら信頼性も高く、その修了後に一定の条件を満たすことで国際的な大学資格が認められる。国際バカロレアと国際的な評価団体、それぞれの詳しい説明は下の【注目】コーナー。

現在の学校に近い環境とカリキュラムを選択

次に大事なのは「海外で我が子が通っている学校と近い環境・カリキュラムで学べるか」だという。海外から日本へ帰国するだけでも大きな変化なのに、それに加えて学習環境、カリキュラムまで大きく変わるというのは子どもにとって厳しいもの。現在の学校と似た学校を見つけることで、子どもにかかる負担は大幅に軽減する。

「英語圏でもカナダで暮らしたお子さんはカナダ式のカリキュラムのインターナショナルスクール、アメリカならアメリカンスクール、イギリスならブリティシュスクールというように、環境とカリキュラムの両方が合致しているのが理想です。それが無理でも、規模や教育内容など、できるだけ海外で通っている学校と近い学校を選んだほうが親子ともに混乱は少ないでしょう。近年は海外滞在中から帰国後まで一貫して、国際バカロレアの認定校に通うお子さんも増えていますね」(村田氏)

グレードダウンが大正解ということも

「我が子の学力に合った学校であること」も大事だと話すのは石塚氏。

「『我が子の学力は、この学校のこの学年のレベルに達しているだろうか。無理をさせてしまわないか。達していないとしたら、グレードダウンして(編)入学させてくれる学校なのか』。これを頭に入れ、(編)入学前に学校側と相談してください」(石塚氏)

我が子の学力レベルは、願書提出時の書類などを通じて、海外滞在中の学校と帰国後に(編)入学を志望するインターナショナルスクールとが連携して確認してくれることが多い。

「この際にグレードダウンを提案されたとしても、まったく落ち込むことはありません。インターナショナルスクールではグレードダウンは日常的にあることです。個々の学力に合わせた学びを得やすいのもインターナショナルスクールの魅力だと言えるでしょう」(石塚氏)

さらに、前述の3点をふまえ、下に挙げることもチェックしておきたい。そしてできれば、一時帰国などを利用して実際に学校を見学しに行こう。

「『あの学校は〇〇らしい』といった噂はあくまで噂。気になることがあったら学校に足を運んで解決するのがベストです。見学に行けば、自分たち親子が学校選びで何を大事にしているかといったことも自然と見えてくるもの。“我が子と我が家に合った学校”を見つけてください」(石塚氏)

次のポイントもチェックしてみよう

◆卒業生の進路
卒業生が我が子の望む進路を実現していると心強い。

◆施設の充実具合
プールやコンサートホールなど、授業や活動のための施設は充実しているか。

◆在校生の国籍
外国籍が多い場合も日本籍が多い場合もある。双方の特徴は左の【実例】コーナーでチェック。

信頼できるインターナショナルスクールの種類

IB認定校 スイスのジュネーブで設立された、International Baccalaureate(国際バカロレア機構)から認定を受けた学校。修了後にIB Diplomaという資格を取得すれば、世界100カ国以上の国と地域の大学入学資格、一部単位が認められる。日本でもこれを活用した大学入試が増加中。
WASC認定校(※) アメリカに本部がある、The Western Association of Schools and Colleges(米国西部地域私立学校大学協会)の認定を受けた学校。
CIS認定校(※) イギリスに本部がある、Council of International Schools(インターナショナルスクール会議)の認定を受けた学校。
ACSI認定校(※) イギリスに本部がある、Association of Christian Schools International(キリスト教学校国際協会)の認定を受けた学校。

※この3種の認定校で12年の課程を修了した18歳以上の者には国際的な大学資格が認められる(高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者とされる)。

【体験談】我が家の学校選びの決め手はコレだった!

  • 学校見学時に先生からお話を聞き、教育方針に納得。「ここなら生徒一人ひとりに寄り添ってくれる。我が子も委縮せず個性を伸ばせるのでは」と感じたこと。(シンガポールのインターナショナルスクールからお子さんたちが中2・高1・高3時に編入学したE・Mさん)
  • 教育方針が素敵。(シンガポールのインターナショナルスクールからお子さんが高2時に編入学したT・Sさん)
  • IB認定校だったこと。(アメリカの現地校からお子さんが小1時に編入学したM・Cさん)
  • 海外で通っていたインタナショナルスクールーと同じカナダ系だったため、取得していた単位がそのまま有効になったこと。それと、見学した学校のなかで子ども自身にとって一番印象がよかったこと。(香港のインターナショナルスクールからお子さんが高2時に編入学したK・Iさん)
  • 先生が児童をしっかり尊重して、適度な距離をとって見守ってくれる学校だと感じたこと。また、子どもの通学時間の負担を考えて、家から近いということも重要だと思った。(マレーシアのインターナショナルスクールからお子さんが小5時に編入学したK・Aさん)
  • 渡航前にも在学していた。(ペルーのインターナショナルスクールからお子さんが高3時に編入学したT・Fさん)
  • 海外大学への進学率。(ポーランドのインターナショナルスクールからお子さんが高1時に編入学したT・Mさん)
  • 窓口のかたの対応が◎。(タイのインターナショナルスクールからお子さんが小5時に編入学したJ・Nさん)
  • 見て雰囲気がよく即決。(アメリカのプレスクールからお子さんが小1に時入学したY・Yさん)

【実例】児童・生徒の国籍で見るインターナショナルスクール

外国籍の児童・生徒が多いケース

Christian Academy in Japan
日本の国籍のみを持っているのは全体の約2割で、約4割以上が二重国籍を持っている。アメリカや韓国をはじめとする30か国以上の国や地域から児童・生徒を受け入れており、多様性や寛容性を育む環境を整えている。

日本籍の児童・生徒も多いケース

Aoba-Japan International School
日本籍の児童・生徒も多く在籍するが、重視するのは国籍ではなく、児童・生徒のバックグラウンドの国際性。国際経験が少ない外国籍の生徒と、豊富な日本籍の生徒が同時に出願すれば、後者が教育方針と合致する場合もある。

 

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