約半数の大学がいまだ対面授業は半数未満(10月20日時点)
現在、日本の大学の多くでは対面授業が通常の半分以下となっており(2020年10月現在)、あまり友だちにも会えず、期待した大学生活とは打って変わった生活を送って苦しんでいる学生が多い。1年生にいたっては友だちづくりの機会もほとんど得られていない。
そんな学生たちの理解・納得を得るため、大学側が行っている工夫例が文部科学省Webサイトに公開されている。遠隔授業や学生相談、就職支援など、全国13校の「コロナ禍の中で学生の理解・納得を得るための大学の工夫例」を写真入りで紹介。文部科学省が大学の取り組みを聞き取り、作成したもの。
本日はその一例を芝浦工業大学、明治大学、東京工業大学に見てみよう。
芝浦工業大学はオンライン授業の質向上のため、教職員・学生協働で努力
芝浦工業大学はオンライン授業の質の向上を図るため、昨年4月から計13回の研究会を教員間で実施。教職員のみでなく、学生の声も取り入れながら、質の高い学修機会の確保のために改善に挑んでいる。その結果、3つの大教室、46班のディスカッション用の小部屋、教員チームが協働で作業できる仕組みをすべてクラウド上に構築して、教員15人と学生500人による大規模オンラインPBL(問題解決型)の授業を実現した。
明治大学はコロナ禍でも「つながる」取り組みを実施
明治大学は、国内47都道府県と海外4カ国で組織する父母会と心を通わせるため、半年間で30回以上、「父母Zoom懇談会」「就職講演会」「オンライン父母交流会」などのオンラインイベントを実施。
また、多様な不安を抱える学生のために、オンラインによる相談体制を構築し、心身の健康や交流のためのオンラインイベントを半年間で約40回開催した。教員、カウンセラー、精神科医などがサポートを行う就職支援では、学生と1対1でのオンライン個別相談を行い、5月からの実施件数は8200件(12月8日時点)にのぼっている。
東京工業大学は夏期の実験実施と「チーム東工大」による支援
東京工業大学は入学早々登校できなかった1年生のために、夏期期間に実験科目を実施。感染防止策を徹底しつつ実験の授業をすることで、理工系の大学生らしい実感を味わえる機会を作った。
また、4月1日に教職員による新入生Welcomeチームを開設。Zoomによる新入生オリエンテーション(98.5%参加)、メール相談受付(7月中旬まで約2600件)を実施。5月に実施したアンケートでは、66%の新入生が東工大の一員と感じるようになったと回答した。その後もチームメンバーの学修コンシェルジュ(困りごとの解決支援)が、 9月にオンライン・キャンパスクイズラリーを実施するなど、学生が大学とつながる機会を作っている。
明日は、対面授業再開を目指して活動している「大学生対面授業再開プロジェクト」の大学生当事者に意見を聞いてみよう。
(取材・文/大友康子)
※画像出典:文部科学省「コロナ禍の中で学生の理解・納得を得るための大学の工夫例」