<第10回>白山麓キャンパス・レポート
Welcome to Hakusanroku!:創作活動を通して、発想力や表現力を身に付ける
国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa 以下、国際高専)は、英語で学ぶ工学基礎を重視したSTEM教育を行う新しい高等教育機関です。国際高専のウェブサイトでは、キャンパスの今を伝える「白山麓ジャーナル」を英語と日本語で随時配信しています。
この「白山麓ジャーナル」から、トピックスをピックアップして紹介する連載企画の第10回目は、「ビジュアルアーツ」の授業についてレポ―トします。
明確な制作意図をもってモノをつくり、考え、価値を見い出す
「ビジュアルアーツⅠ」は、1年生が美術や工芸、デザインなどの創作活動を通して、さまざま芸術に関する知識や感性を身に付け、発想力や表現力を養う授業です。手を使ってモノをつくりながら、考えるというプロセスを通して、学生たちの新たな気づきや思考の深化をうながします。
今回の授業のテーマは「CDのホールド機能とその構造を考える」でした。紙を使って、CDが一定の位置にとどまり、かつ、どんな方向に傾けてもCDがはずれない構造体を制作することが課題となりました。
学生たちはそれぞれ、紙の素材や特徴などの条件をふまえて、それにあう形状はどうしたらよいかを模索しながら、制作を進めていきました。課題では、モノを創造する表現者として、制作する意図を明らかにすることも重視され、制作を終えた学生たちは、各々の作品制作の意図などについて、プレゼンテーションを行いました。
「ビジュアルアーツの授業では、さまざまな視点からモノやコトを観察し、そこから発想することで、価値を見出していきます。学生たちの創造性豊かな表現力を引き出すとともに、創造に必要なマインドを育むことを目指しています。授業は2年生まで実施されます」(ビジュアルアーツ担当・小高先生)。
エンジニアリング教育の柱となる世界標準の工学教育フレーム「CDIO」
国際高専の教育の柱となる「エンジニアリングデザイン」は、単に知識を修得して、与えられた問題を解くだけではありません。授業ではさまざまな知識をもとに課題を発見し、その解決を目指す、課題解決型の活動を通して、理論と実践力をバランスよく身に付けます。この教育の大きな特徴は、CDIOと呼ばれる世界標準の工学教育のフレームワークとデザインシンキングというアプローチ手法を取り入れていることにあります。
CDIOは、Conceive(考え出す)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(運営する)の頭文字をとったものです。課題やものごとの必要性をみつけだし、考えて、解決策を設計。そして、それを実現させ、運用を目指すという課題解決型活動のベースとなる考え方です。
校舎内にある「Maker Studio」は、CDIOを実践する理想的な環境を提供しています。ここで学生たちはレーザーカッターや3Dプリンタなどの機器を活用し、思い思いのアイデアをプロトタイプ(試作品)として具現化しながら、より良い解決策を考えていくことができます。
デザインシンキングを重視し、ユーザー視点から課題を発見、解決を目指す
モノを創り出すには、「ユーザーが何を必要としているのか」や「ユーザーのニーズを把握するにはどんな調査を行ったらよいか」などについて考えることは不可欠です。デザインシンキングは、新しいものやサービスを考案するために、ユーザーの視点に立ち、必要とされる課題を発見・解決する手法です。国際高専の授業では、こうしたデザインシンキングを重視し、次のような力を身に付けていきます。
- ユーザーや将来ユーザーとなりえる人たちを観察し、共感することでニーズを理解し考える力
- 問題の本質をとらえ、見極めたうえで、チームで解決策を導き出していく創造的な発想力
- アイデアを形にして、ストーリーとしてまとめ、伝えるために必要なスキルや論理的思考力
これらは、実社会で必要とされる問題発見・解決能力にもつながります。グローバルに活躍する企業のCEOが自ら、新たな製品やサービス、計画などについて、プレゼンテーションをする姿をみたことがあるでしょう。これからのイノベーターには、自分のアイデアを相手にわかりやすく表現し、伝える力も必要とされているのです。
「パフォーミングアーツ」や今回レポートした「ビジュアルアーツ」の授業は、アイデアを形にして、ストーリーとしてまとめ、伝えるために必要なスキルや論理的思考力を身に付けることを目標としています。「パフォーミングアーツ」の授業では、ジャズシンガーをキャンパスに招き、『Fly Me to the Moon』などのジャズのスタンダートナンバーを学生と共に歌ったこともあります。また演技やダンスなども実施しています。
サイエンスや数学は世界共通。だからこそ英語で学ぶ
国際高専は、国内外から幅広く学生が集まるグローバルな環境で、刺激を受け合いながら、共に成長できる教育環境を整えています。プロトタイプを作りながら解決策を考えていく「エンジニアリングデザイン」の授業では、国連・SDGsの17の目標を念頭におきながら、地域の課題にチームで取り組み、サイエンスの知識とテクノロジーを応用しながらイノベーションを創出します。
教育の柱のひとつとして、英語で行う「STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育」を重視しています。それは、科学や数学が世界共通の真理であるため、これらの分野を英語で学ぶことは、のちに留学して専門分野を探究したり、卒業後グローバルな企業で活躍するのに役立つからです。
1、2年生は、自然豊かな白山麓キャンパスにある全寮制スクールで、英語で数学、理科、情報を学ぶほか、徹底した英語スキルの修得を目指します。3年生は、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクに留学。そして、4、5年生は併設校である金沢工業大学と連携し、分野横断型の研究やプロジェクトに取り組みます。
さらに金沢工業大学 大学院 情報工学専攻まで進学すると、最短2年間で全米ベスト大学の一つ、ロチェスター工科大と金沢工業大の2大学の修士号取得の道もあります。
「国際高等専門学校(5年間)」+「金沢工業大学の学部及び大学院(4年間)」の9年一貫教育により、グローバル・イノベーターを育成します。
【学校へのお問合せ】
金沢キャンパス
〒921-8601 石川県金沢市久安2-270
TEL 076-248-1080 FAX 076-248-5548
白山麓キャンパス
〒920-2331 石川県白山市瀬戸辰3-1
国際高専入試センター
Mail:admissions@ict-kanazawa.ac.jp
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