専門家に聞いた!後悔しない小学校選びとは?

保護者が主導権を握ることの多い小学校選びでは、入学後の生活をもっとよく想像しておけばよかった、という後悔が多いようです。小学校教育に詳しい野倉学氏を含む専門家にお話を伺いました。

「共感し合える帰国生仲間や帰国生に詳しい先生がいなくて、孤独を感じるそう ──」

【対応策】「知ってもらう」「割り切る」 の2つを試す
本人を知ってもらうことが周囲との新子で、、得意科目,在国での暮らしなどをとめた”自己紹介カードを作ってに配ると、共通の話をしめる友入ができることも」(中里氏)。「学校は新しい世界と割り切って美関係の習い事などに通わせ、学校外に帰国生関を作るのも手、保護者の話し相手もそこでできるはずです。 ただし、どうしてもつらい場合は私も選択に」(野倉氏)。

【予防策】通う意志がある場合は学校との連携を密に
地元の公立小など、帰国生仲間の少ない学校にも「近所に友人ができる」などのメリットが。「まずはそうしたメリットとデメリットの両方を書き出して天秤にかけるのがおすすめ。メリットが大きく、その学校に行きたいと考えるのなら、デメリットを補うために学校との連携を密にし、情報を得たり要望を伝えたりします。環境を整えることで本人の居心地は変わり、保護君も前向きにママ友作りなどを始められるはずです」(中里氏)。

「帰国後、初めての土地を選んだ上に学校が遠い。近所に友人ゼロで放課後は寂しそう ──」

【対応策】寂しさを忘れるくらい学校生活を充実させる
「帰国性に限らず、遠方の学校に通うと近所の友人はできにくいです。近場での習い事や地域の行事を通して本人が気の合う相手を探すのもいいですが、寂しさを感じなくなるくらい学校の友人との毎日を楽しめるよう保護者がサポートしたり助言したりするのもありでしょう。選んで通っている学校の友人とは考え方や学びたいこと、理想などが近い場合が多いもの。そうした相手とは、深い仲を築けることが多いです」(野倉氏)。

【予防策】可能なら、学校決定後に居住地を選ぶ
「学校決定後に居住地を選ぶことができるなら、そうするのがベスト。学校の近くを選べば、放課後に友人と遊ぶことも叶います。放課後にもママ会などができやすいでしょう」(野倉氏)。選べない場合は、入学してしばらくは安全管理もかねて送り迎えを。「雑談をしたりして親子の時間を密にすると、寂しさを感じにくくなるはずです。そうしているうちに同じ方向へ帰ること仲良くなり、親の出番がなくなることも」(中里氏)。

「数年ぶりに地元の小学校に戻ると、友人関係が様変わり。当時を覚えているだけに困惑 ──」

【対応策】重く受け止めるのはやめておく
「子供とはそういうもの。何かのきっかけでまた仲良くなって一緒に遊ぶこともあるだろう、と親子で肩の力を抜いてみてください。保護者同士で仲良くなって楽しく過ごすと、子ども同士がつられて仲よくなることもあります。」(野倉氏)。「渡航前の担任の先生や、渡航前にお子さんと仲の良かった友人とその親御さんに、会って話す機会をもらうのはどうでしょう。雑談が心のモヤモヤを晴らしてくれるかもしれません」(中里氏)。

【予防策】現在の情報をもとに通う学校を選ぶ
地元の小学校へ戻ることを考えるならまずは情報収集を。「渡航前の担任の先生(在校していたなら)や、渡航前にお子さんと仲の良かった友人の保護者に連絡をし、学校の様子や友人関係などについて聞きます。集めた情報をもとに親子で『地元の小学校にするか否か』を考え、可能であれば最終決定をお子さんに委ねます。その際は、地元の小学校以外の選択肢を示して気持ちをラクにさせてあげるのがベストです」(中里氏)。

「公立小に編入。英語の授業は初歩レベルで、海外で身につけた英語力が失われつつある ──」

【対応策】学校外に英語力の保持・伸長の場を設ける
公立小では”公立小のメリット”を享受して、英語力の保持・伸長の場は学校外に。「『流暢さと語彙力が落ちても発音・聞く力は維持されやすい』ということを念頭に置き、家庭では英語の海外のドラマやニュースに日々触れさせる努力を。また、帰国生向けの外国語保持教室や英語塾などに通わせて、英語を定期的に使う機会を作ることも大切。同年代の帰国性仲間との交流はモチベーション維持にもつながります。」(中山氏)。

【予防策】英語重視の学校選びをするなら慎重に
「小学校卒業以降、いずれ海外の学校に進学を。」と考える場合は公立ではない小学校の検討も。「小学校段階から、インターナショナルスクールや英語中心の私立に通うのも、帰国生の進路として珍しくありません。ただしその場合、中学校以降の進学で日本語を学ぶ一条校(学校教育法で定められている学校)を選ぶことはやや難しくなるというリスクもあるため、慎重に考えていきましょう」(中山氏)。

「一貫校で安心していたが内部進学基準が厳しいと知り、上に進めるか不安 ──」

【対応策】行ける学校が合う学校とポジティブに捉える
「無理をしてまで内部進学する必要はない。」と考えるのも、今の時代には合っていると野倉氏話す。「内部進学できなかったお子さんや保護者に思いを聞くと、『結果的にはそれはそれでよかった』と話してくれるケースが意外と多いです。ポジティブに捉えられたのは、進学先の学校で自分に合う学びや友人との出会いがあったからでしょう。内部進学できなかった場合の候補校も、前もって調べておくといいと思います」(野倉氏)。

【予防策】本人の学力を伝えつつ専門家に相談
”帰国”という大きな環境の変化を思うと、帰国後はなるべく同じ環境で穏やかに、と考えるのも親心。「小中一貫校、中高一貫校は増えてきています。通える範囲で比較検討し、我が子の性格、そして学力に合う1校を見つけたいですね。気になる学校の内部進学の割合、授業の進度、通塾率、補習の内容などについて、学校はもちろん、帰国生の教育に詳しい進学塾や保護者団体にも尋ねてみては」(野倉氏)。

「取材・文/本誌編集部・庭野真美 イラスト/いそのけい」

お話を伺った方

公益財団法人 海外子女教育振興財団 中山順一(なかやま じゅんいち)氏

国際基督教大学高等学校に創立2年目から勤務。担当教科は理科(化学)。教頭として帰国生入試の書類審査などにも数多く関わる。現在は上記財団にて、教育アドバイザーを務める。(掲載当時)

臨床心理士、公認心理師 中里文子(なかざと あやこ)氏

児童相談所等で親子関係の心理支援に携わる。現在は児童精神科クリニックを中心とした社団法人METKIDSでスーパーバイザーとして活動。企業内カウンセラーとして従業員支援も行う。

小中高の受験情報を発信 野倉学(のくら まなぶ)氏

リクルートにて大学の募集広報戦略を担当後、株式会社バレクセルを設立。“一人ひとりにあった学校選びを”をテーマに小学校受験の「お受験じょうほう」と「中学・高校受験スタディ」を運営。