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子どもの金融教育をユニークな視点で楽しく解説(前編)

みずほ×空想科学研究所による金融教室

近年、子どもに対するお金の教育が注目を集めている。日本では2020年度から段階的にスタートしている新しい学習指導要領によって、小・中・高校の学習の中に金融経済教育を盛り込むようになり、高校では2022年度から家庭科の授業で投資や資産形成まで含む金融経済教育が必修となったが、学校だけでなく家庭でもお金について教えることが重要といわれている。そこで、親子で楽しみながらお金について学べるサイト「空想金融教室プロジェクト」を紹介しよう。

このプロジェクトは、みずほフィナンシャルグループと空想科学研究所のタッグによるもので、日本の昔話など多くの人に親しまれている物語を「お金」という観点から再構成している。例えば、「さるかに合戦における、柿のタネとおにぎりの交換のリスクとリターンは?」「浦島太郎は、竜宮城に行く前に何をしていればお金が増えたのか?」といったユニークな視点で、資産形成や投資といった難しい話を検証していくのだ。

お金を知れば人生は豊かになる

執筆を担当しているのは、空想科学研究所の主任研究員・柳田理科雄(やなぎた・りかお)氏だ。マンガやアニメの世界を題材に科学的に考える面白さを子どもたちに伝える本を書いている柳田氏だが、お金については「かつて自分の学習塾の経営に失敗し、いまも空想科学研究所が赤字で困っている筆者」と自己紹介しているように、あまり得意ではないようだ。だからこそ、金融初心者の子どもたちに近い目線でお金に関する疑問を投げかけていて、それに対して現役のみずほ社員がわかりやすく解説をしている。

本プロジェクトのリーダーを務める、みずほ銀行 コーポレート&インベストメントバンキング業務部 山浦康二(やまうら・こうじ)氏は、企画意図などについて、「“金融”という言葉にはどうしても難しくて堅苦しいイメージがあります。でも、いざその考え方や知識を学んでみると社会の見方が変わって世の中が面白くみえてきたり、人生が豊かになると信じています。だからこそ、私たちは金融という一見とっつきづらいテーマを、誰もが楽しみながら学べるようにしたいと思い、この度、空想科学研究所のみなさまと空想金融教室というプロジェクトを立ち上げました」と語る。

大切なことだから子どものうちから考えたい

また、執筆を依頼された柳田氏は、こう振り返る。

「『そう来たか!』と思いました。僕は『空想科学読本』などで、アニメや昔話の世界を科学的に考えてきましたが、それは僕が科学好きだったからです。社会学でも文学でも、専門家が真剣に考えたら面白くなるだろうなあ、とずっと思っていたのですが、みずほフィナンシャルグループさんから『金融で』と相談されたときには、『その視点はなかった!』と驚き、モーレツにわくわくしました。また、僕は30代のときに、自分で学習塾を経営し、数年でツブした経験があります。会社経営はもちろん、おカネの問題などまったく知らないまま事業を始めてしまったのも、要因だと思います。

僕らが子どもの頃は『おカネのことを考えるなんて』という風潮がありましたが、大切なことなのだから、子どものうちからちゃんと考えるべきですよね。僕みたいに失敗しないように、子どもたちがおカネについての知識や考え方などを自然と身につけられる企画にしたい、と強く思いました」

柳田氏が「空想金融教室プロジェクト」を執筆するうえで意識していることは、「僕自身、金融についての知識は乏しいのですが、そこは包み隠さず、子どもと同じ立場(場合によっては子どもより無知)に立って、話を進めたいと思っています。子どもたちに『このプロジェクトでおカネについていっしょに学び、いっしょにおカネ持ちになろうぜ!』という露骨な姿勢をビシビシ伝えたい。一方で、話があまり専門的になってしまうと、まだ金融の知識が少ない子どもたちは置いてけぼりになる可能性があるので、まずは、楽しんでもらえるようにと意識することが何より大切だと思っています」と話す。

後編)に続く。

◆「空想金融教室プロジェクト」特設サイトURL
https://www.mizuho-fg.co.jp/csr/education/kyoshitsu/index.html

空想科学研究所公式HP
みずほフィナンシャルグループHP

<お話をうかがった人>

柳田理科雄(やなぎた・りかお)氏

空想科学研究所主任研究員。東京大学理科Ⅰ類中退。学習塾講師を経て、1996年『空想科学読本』を刊行。『ジュニア空想科学読本』シリーズなど著書の発行部数は880万部。